概要
TVアニメや映画のサウンドトラック、楽曲の提供で知られており、特に真下耕一監督作品での活動が有名。ニコニコ動画ではMADLAXの挿入歌「nowhere」(通称:ヤンマーニ)などが有名。曲中でピアノを演奏することも多く、ライブ活動(後述)でも披露している。
オリジナルアルバムも制作しており、2003年8月6日には1st『FICTION』をリリースした。2011年3月30日には、およそ7年7ヶ月ぶりとなる2nd『FICTIONII』が発売された。
また、アニメーション業界では、女性作詞・作曲家として菅野よう子と双璧をなす個性派・実力派として知られ、海外での知名度も高い。手がけたサウンドトラックに、ボーカル曲を比較的多く含むことも、両者の共通点である。また、作曲家主体としては珍しくライブ活動も活発であり、「Yuki Kajiura Live」と銘打って定期的に開催しているほか、下述のKalafinaも積極的にライブを行なっている。
梶浦語
梶浦由記の用いる言語体系。本人により「梶浦語」と呼ばれ広く知られている。それらは楽曲のメインボーカルやコーラスなど、梶浦曲の至るところで聴くことができるが、音楽にのせられて歌われるにも関わらず口頭による伝承もなく表記する文字も不明、その内容は複雑で常人には解読不能であるため、その歌の多くを担当している貝田由里子と歌詞に用いることの多い梶浦由記にしか分からないとされる。 [以下ネタバレ]→ 梶浦由記による造語歌詞の総称(本人が独自の造語による歌詞を好んでいるので、様々な曲で多用されている)
作曲法(作曲家・梶浦由記さんが作品との関わり方や作曲方法について語る/GIGAZINE
より)
主題歌はキャラクター寄り、劇伴は世界観寄り、というのが自分の中では大きく違います。どちらも自分の中では
読書感想文の様なもので、例えば原作のある作品であれば、その漫画や小説を読んで浮かんでくるものを形に
しているのですが、主題歌はキャラクターの存在や心情に寄せることが多く、劇伴は作品世界全体との整合性が重要に
なってきます。もちろん主題歌も作品世界全体とのリンク感は大事ですが、劇伴の方が更に近い、むしろ完全に
混ざり合うくらいが理想です。劇伴はどんなにいい曲を書いても、作品の世界観と整合性がとれていないと意味がない
ので、そこはすごく考えています。劇伴制作時は作品の背景画のデータ頂いてそれを見ながら作る事も多いですね。
全体のテンションを掴みます。テンションというのは「楽しい」「悲しい」ではなく、感情の波の高さのことで、
作品によって全然違うものです。どこまでみんなの感情が上がるのか、ピークは何処なのかと作品とつきあい始めて、
それに合わせて感情の高低を決めて……という様に、割とイメージ的な所から始めます。(空の境界)
全体としては割とすぐに書けました。まどかの脚本は凄く面白くて、どこが山か、どこが落ちている所かもわかりやすく、先程お話したテンションを掴むのもすんなりいきました。あと、脚本に沿った形で音楽メニューを
いただけたのも大きかったです。テレビシリーズの音楽は話数が多いのもありシーン合わせで書くことは殆どないので、
「悲しい曲を3曲、楽しい曲を3曲、盛り上がる曲を4曲」といったオーダーを頂いて作ることもあるのですが、
まどか☆マギカは「この曲はこのシーンをイメージしています」と具体的に使う予定のシーンを伝えてもらったので、
テレビとしては珍しく、絵合わせ(シーン毎に曲を書く事)の様に作らせて頂けました。(まどか⭐︎マギカ)
絵合わせの場合、事前にある程度絵がないと曲が作れないので、絵を作る人が相当前倒しで作業していないとできないんです。これはufotableさんの頑張りが大きかったです。できる限り絵合わせをしようという話になりました。
例えば、ごつい方々がどんどん消えていく時に、梶浦さんの曲が絵合わせで入っていて、映像と音が完璧に
シンクロしたら最高だよねという様なことですね。
2ndシーズンでみなさんが散っていくシーンや衝撃的なシーンはほぼ絵合わせで、しかもすでに声優さん達がアフレコをしてセリフが入った映像に合わせて曲を作らせて頂けたので、
それに釣られて出来た曲が何曲もあります。(Fate/Zero)
活動
石川智晶とのユニット「See-Saw(シーソー)」として、1993年にBMGファンハウス(現:BMG JAPAN)よりデビュー。しかし2年後に活動休止となったため、以降は作詞・作曲活動に専念するようになった。
2001年にはレコード会社をビクターエンタテインメントに替え、See-Sawとしての活動を再開。同時期に放映されたTVアニメ「NOIR」「.hack//SIGN」で劇伴音楽を手がけ、監督の真下耕一とともに高評価を得た。以降、同監督の「MADLAX」「ツバサ・クロニクル」「エル・カザド」等でその個性を遺憾なく発揮し、熱狂的なファンを数多く獲得した。
アニメ業界でも屈指のヒットメイカーとしても知られ、See-Saw「あんなに一緒だったのに」は、アニメ「機動戦士ガンダムSEED」エンディング曲として、オリコン週間チャート最高5位、シングルCDの売り上げも20万枚を突破する大ヒットを記録。その後FictionJunction YUUKA「暁の車」「焔の扉」や、有坂美香「Life Goes On」、See-Saw「君は僕に似ている」など、「SEED」関連で手がけたCDも軒並み高セールスを叩き出した。
そして、「SEED」を機に「FictionJunction」名義の活動が活発化。特に南里侑香と組んだ「FictionJunction YUUKA」にて、上記の「暁の車」「焔の扉」のほか、アニメ「MADLAX」の主題歌「瞳の欠片」や挿入歌「nowhere」(ニコニコ動画では「ヤンマーニ」として親しまれている)、そしてアルバム『Destination』『circus』をリリースしている。2009年2月25日には、「YUUKA」も含めたFictionJunctionの総括として、アルバム『Everlasting Songs』をリリースしている。
奈須きのこ原作の劇場版アニメ「空の境界」にて、全7章の劇伴・主題歌を制作しており(「終章」も含めるなら全8章)、各章DVDの初回版にはサウンドトラックCDが付属している。梶浦いわく、「短い効果音的な、断片的な音まで収録したのは初めてだった」としている。[1]なお、これらの音楽をリアレンジ・再編集し、2枚組のアルバムとしてまとめた「the Garden of sinners-劇場版「空の境界」音楽集-」が、2011年3月2日にリリースされた。
そして、「空の境界」主題歌制作のために結成されたプロジェクトが「Kalafina」であり、シングル・アルバムを含めたすべての関連CDが、オリコン週間チャートTOP10入りを果たしている(期間限定の「Re/oblivious」を除く)。「空の境界」の一連のリリースが終了した後に解散される予定だったが撤回、現在も精力的に活動している。現在は『Seventh Heaven』『Red Moon』『After Eden』『Consolation』の4枚のアルバム[2]と、多数のシングル、ライブDVD等を発表している。詳しい解説は「Kalafina」の記事を参照。
2011年:『コゼットの肖像』でもタッグを組んだ、シャフトは新房昭之監督の『魔法少女まどか☆マギカ』にて、劇伴音楽とED主題歌(Kalafina『Magia』)を担当。サウンドトラックのCDは単体では発売されず、ブルーレイ・DVDの初回限定版に付属している(『空の境界』と同じ方式)。[3]また、アニメのサウンドトラックとしては珍しく、単曲の着うた配信も行われている。→ ニコニコ市場で検索してみる
2017年12月22日:所属事務所のスペースクラフトプロデュースを2018年2月に退社し、Kalafinaの活動休止を検討されていることが報道された。
2018年2月20日:スペースクラフトを退社し、同時にKalafinaのプロデュースからも離れる意向であることを翌日自身のTwitterで報告。Kalafinaについては今後も同事務所に残留して活動を継続することとなったが、メンバーのKeikoは同年4月1日に。Wakanaは10月17日に初の全国ソロツアーの追加公演を行い、来年初旬にソロデビューすることが発表され、Hikaruは10月20日をもってスペースクラフトプロデュースを退社し、ユニットを脱退し、各々にソロデビューを果たしている。また、梶浦本人と関連ボーカリストの公式ファンクラブである「FictionJunction CLUB」も、同年5月31日をもって運営終了となった。
2018年6月30日に行われた「Yuki Kajiura Live Vol.14 25th 〜Anniversary Special〜」のMCで、個人事務所「FictionJunction Music」の設立を発表。社名は、自身のソロプロジェクト「FictionJunction」に由来する。同年10月1日には、新たなファンクラブ「FictionJunction Station」が発足した。
代表的なサウンドトラック
- ダブルキャスト(1998年)
- ブギーポップは笑わない Boogiepop and Others(2000年)
- NOIR(2001年)
- アクエリアンエイジ(2002年)
- .hack//SIGN(2002年)
- .hack//Liminality(2002年)
- MADLAX(2004年)
- コゼットの肖像(2004年)
- 舞-HiME、舞-乙HiME(2004年~2005年)
- ゼノサーガシリーズ(エピソードII[善悪の彼岸]2004年、エピソードIII[ツァラトゥストラはかく語りき]2006年)
- エレメンタルジェレイド(2005年)
- ツバサ・クロニクル(2005年~2006年)
- 劇場版ツバサ・クロニクル 鳥カゴの国の姫君(2005年)
- 真救世主伝説 北斗の拳(2006年~2008年)
- エル・カザド(2007年)
- OVA ツバサ TOKYO REVELATIONS(2007年)
- 空の境界(2007年~2009年 / 2011年)
- アキレスと亀(2008年)
- 歴史秘話ヒストリア(2009年~)
- Pandora Hearts(2009年)
- 15歳の志願兵(2010年)
- 魔法少女まどか☆マギカ(2011年〜13年 / 2021年) →「まどか☆マギカBGMリンク」
- Fate/Zero(2011年~2012年)
- 僕だけがいない街(2016年)
- プリンセス・プリンシパル(2017年)
- ソードアート・オンライン(2012年~2014年:Extra Edition・第1・2期)
- ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-(2019年)
- 鬼滅の刃(2019年 / 2020年)
- ヴァニタスの手記(2021年)
- 海賊王女(2021年)
参加したユニット・プロジェクト
- See-Saw
- FictionJunction(ソロプロジェクト)
- FictionJunction YUUKA → 現在は、「FictionJunction ○○(コラボレーション相手の名前)」名義をすべて「FictionJunction」に統合、これまでフィーチャリングしてきた5人の「歌姫」と、梶浦によるプロジェクトとして活動している。
- Kalafina
関連動画
関連商品
Solo Works - Original Soundtrack - サントラ付きBlu-ray - See-Saw - FictionJunction - Kalafina - 楽曲提供・コラボレーション
Solo Works
Original Soundtrack
サントラ付きBlu-ray
See-Saw
FictionJunction
Kalafina
楽曲提供・コラボレーション
関連コミュニティ
関連項目 |
外部リンク |
脚注
- *梶浦由記公式ブログの記述より。
- *3rd『After Eden』は、オリコンウィークリーチャートで最高3位を記録、梶浦由記がこれまで手がけてきたアルバムの最高順位を更新した。
- *なお、サウンドトラックCDはDVD・Blu-rayのVol2,4,6にそれぞれ収録されているが、そのいずれも両フォーマットの合計売上が6万枚を突破しており、またTVアニメのBlu-ray売上記録を更新している。
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