28人の棒をお返しします。
これは棒の手紙と言って知らない人から私の所に来た死神です。
あなたの所で止めると必ず棒が訪れます。
○○さんという人は止めたため殺されました。
12日以内に文章を変えずに28人に出してください。
棒の手紙とは、
- いわゆる「不幸の手紙」の一種。
- 作家「折原一」による小説作品。元は「青沼静也」という別名義で『チェーンレター』と言うタイトルで2001年に刊行されたものだったが、2020年に光文社文庫から再刊された際にこのタイトルに改題された。
本記事では上記の1.について説明する。
概要
「不幸の手紙」というものがある。要するに「この手紙は不幸の手紙である。この手紙をあなたのところで止めるとあなたに不幸が訪れる。止めたために殺された人も居る。それが嫌ならこの手紙の文面を変えずに複数の人間に送れ」という内容の迷惑な手紙である。
この「不幸の手紙」の厄介なところは、いわゆる「ねずみ算」式に増えていくという点。この「不幸の手紙」が日本中に出回ってしまっていた時代もある。
そんな流行時代のただ中であった1996年頃、巷に出回っている「不幸の手紙」の中に、本記事冒頭に例示しているような「棒の手紙」が増え始めたのだという。そして一度「棒の手紙」が主流になってしまうと、その後に出回る「不幸の手紙」よりも「棒の手紙」の方が多くなっていたほどであるという。[1]
発生原因
なぜこんなことが起きたのかと言うと、途中で「不幸の手紙」を書き写した者の中にやたらと字が汚い者が居たからだと推測されている。
本人としては
「不幸」
と書いたつもりだったが、
「木奉」
とも読めるような汚い字で記されていたため、次に受け取った者は
「棒」
と読んでしまい、そのまま書き写して次の人間に送ってしまったのであろう、というわけだ。
普通はこんな手紙が届いても「『棒の手紙』ってなんだ?」「『棒が訪れる』って何だ?」と疑問に思って「ああ、『不幸』って書いてあるのか」と気づいて改めるのではないか……と疑問に思う人も居るだろう。だが、そういった冷静な判断ができる人はそもそも次の人間に回したりはしない。気づいても「でも『文章を変えずに』って書いてあるし……多分『不幸』の間違いなんだろうけど怖くて書き換えれられないよ」と感じた人もいたかもしれない。
当時はインターネットは日本でほとんど普及しておらず、現在のように「疑問に思った事はまずネットで検索してみる」と言ったこともできなかったのである。
創作作品での題材として
- 「久米田康治」による漫画作品『かってに改蔵』の第20話「さびしがりやのあいつは…!?」(通常の単行本(少年サンデーコミックス)2巻、および新装版(少年サンデーコミックススペシャル)1巻に収録)
- 「山本弘」による小説作品『悪意の連鎖』(1998年刊行の複数作家による合同短編集『妖魔夜行 しかばね綺譚』に収録)
- 「青沼静也」による2001年刊行の小説作品『チェーンレター』 (2004年に「折原一」名義で角川ホラー文庫で文庫化され、2020年に光文社文庫から『棒の手紙』と改題されて再刊)
以上の中にはホラーテイストの作品もある。「棒が訪れて殺される」という謎の文章に、馬鹿馬鹿しさに加えて一抹の不気味さも感じる為だろうか。
作者の一人「山本弘」は自らの個人サイトで、この作品の背景として当時の「棒の手紙」の流行について記している。
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関連項目
脚注
- *雑誌『Sapio』の1998年3月号に収録されている亀井肇「SAPIO語身術 NEW WORLD QUIZ」という企画ページでこの「棒の手紙」という言葉が扱われており、「そうした「不幸の手紙」の中に「棒の手紙」が増え始めたのは96年の秋頃からであるという。一度「棒」が定着するとその後はほとんどが「棒」という文字になっている。」と記されている。
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