森内俊之(もりうち としゆき)とは、将棋棋士である。1970年10月10日生まれ。神奈川県横浜市出身。勝浦修九段門下。棋士番号183。
いわゆる“羽生世代”のひとりに数えられる強豪棋士。竜王戦1組以上通算18期、順位戦A級以上通算22期。タイトル戦登場25回、獲得12期。十八世名人資格者。
ネット上でのあだ名は“ウティ”。祖父は同じくプロ棋士の京須行男。弟子に竹俣紅、野原未蘭。
あ、棋歴です
小学生の頃に将棋を覚え、6年生のときに小学生将棋名人戦で3位となる。このときの優勝者が、長きに渡ってライバル関係となる羽生善治だった。同年に奨励会に入会し、三段の頃は佐藤康光とともに島朗の“島研”に参加して実力を磨く。1987年に四段昇段(プロデビュー)。なお、島研には後に羽生も参加している。
三段リーグ中に参加した新人王戦で勝ち進み、四段昇段後に史上最年少(当時)で優勝。1989年には全日本プロトーナメントで優勝。18歳5ヵ月での全棋士参加棋戦優勝は当時史上3番目の年少記録だった。25歳でA級八段となる。
以降も何度も棋戦優勝・タイトル挑戦を果たすが、なかなかタイトル獲得とならず“無冠の帝王”と呼ばれた。しかし、2002年度の名人戦で丸山忠久名人を破り、初タイトルの名人を獲得。翌年には羽生善治に破れ名人を失うが、竜王、王将を羽生から次々と奪冠。 竜王戦では4連勝でストレート勝ちしたが、羽生をタイトル戦でストレートで降したのは森内が初である。
翌年の2004年にはA級順位戦を9戦全勝し名人挑戦権を得る。名人戦で羽生善治から名人を奪還し三冠になり、史上3人目の“竜王・名人”となる。A級順位戦を9戦全勝したのは森内と羽生の2人だけ(後に渡辺明も達成)だが、A級順位戦を9戦全勝した直後に名人になったのは森内のみである。しかし竜王は、当時20歳の渡辺明に奪われてしまう。
2005年、当時最強コンピュータ将棋ソフトだったYSSとの対局が実現する。角落ち&30秒将棋のハンデ付きで、ソフト側に有利な条件だったが森内が快勝した。ソフト開発者は「名人の壁は厚かった」と語っている。
2007年に名人獲得5期を達成。羽生に先んじて永世名人の資格を得る。
2013年の名人戦では羽生善治に4勝1敗で勝利し、名人戦3連覇を達成。竜王戦でも渡辺明に4勝1敗で勝利し、9連覇中の渡辺から竜王を奪還。自身2度目の“竜王・名人”となり最高タイトルを独占する。しかし2014年は名人を羽生、竜王をタイトル戦初挑戦の糸谷哲郎に奪われ、挑戦者として挑んだ棋聖戦でも羽生に敗北し、2008年に名人を奪取されて以来の無冠となった。
2017年、22期在籍したA級順位戦から陥落。フリークラス転出を宣言し「対局者とは別の立場で順位戦・名人戦を盛り上げていければと思っております。」と語った[1]。同年、紫綬褒章を受賞した。
あ、棋風です
居飛車党。強靭な受けの棋風で“鉄板流”と呼ばれる(本人はあまり気に入っていない模様)。“優駿流”や“鋼鉄流”と呼ばれることもある。その棋風通り、無理な攻めを仕掛けない受け将棋で受け潰しには定評がある。
しかし、その受けの中に絶妙な攻めの仕掛けが時折仕組まれており、長期戦にも強いことから大局観に長けた棋士としても知られ、古参の棋士には受け将棋の名手、大山康晴十五世名人のようだとも称される。
順位戦・名人戦を得意とし、順位戦26連勝の歴代棋士トップ記録を持つ。順位戦では第69期(2010年度)まですべて勝ち越していた(参加した順位戦は18期、うち、A級は11期)。名人失冠直後の第73期順位戦(2014年度)で負け越しを記録し、順位戦連続勝ち越し記録は途絶えた。
あ、エピソードです
多数の趣味をもっていることでも知られており、その中でも“クイズ”は、2005年にアタック25で優勝する程の実力を誇る(ちなみに「いかに効率良くパネルを埋めるか」という研究を、奨励会時代から仲の良い佐藤康光、羽生善治の3人で集まり、事前に共同研究していた、と後日明かしている)。
また、チェスやバックギャモン、麻雀などテーブルゲーム(ボードゲーム)が好きだという。ちなみに、チェスを始めてルールを教わったその日に、チェスの先生に勝ってしまったという逸話があり、レーティングで日本トップ5に入ったことも。
2013年の年末、知人の将棋ライターとバックギャモンについて語り合っているときに「来年の8月、バックギャモンの世界大会があるんだけど、出てみない?」と誘われたのをキッカケに、本格的にバックギャモンの勉強を始める。将棋の対局の合間を縫ってバックギャモンプレイヤーが集まる例会に通い、様々な戦術を意見交換しながら研究を重ねていく。途中、将棋の対局時と同じ感覚で長考しピンチになってしまうなどのクセが判明するが、それらも克服し実力を上げていき、半年後にモナコ公国のモンテカルロで開催された第39回世界バックギャモン選手権に出場。持ち前の粘り強さで勝ち上がり、世界ランク1位のプレイヤーを破るなど大金星を挙げるが、最後は惜しくも敗退。4位入賞という結果に終わった。
ネクタイにこだわっており、2013年に主に高級ブランドを扱うファッション雑誌『GQ』にて、『GQ』が注目するエルメス8cmタイの23人に選ばれ、エルメスのネクタイをして表紙を飾った。
自他共に認めるカレー好きであり、対局ではカレーを注文することが多い。曰く、
- 基本的に、カレーは好物。
- カレーは“外れ”がない(どの旅館やホテルでも、美味しいものが出てくる)。
- 対局に集中して考えてるときに、ご飯のことを考えるのが面倒くさい。
- カツカレーが多いのは「あくまで偶然」であり、基本ご当地メニューを頼む。
- 周囲がカレー、カレーと言うので、他のメニューを頼みにくくなってしまった(一種のファンサービス)。
とのことである。2016年には三菱IHクッキングヒーターのキャンペーンに「厳しい勝負になるほど、『カレー』と注文することで知られる森内九段」として登場した。
youtuber 森内
2020年6月16日、youtubeに森内俊之の森内チャンネルと題したチャンネルが作られた。プロや女流でチャンネルを持った棋士は複数いたが、タイトル経験者、ましてや永世名人位獲得者がyoutuberになることは、驚愕を持って迎えられ、1日で1万人以上の登録がなされた。
あ、お絵カキコです
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あ、関連リンクです
- プロフィール(日本将棋連盟)
- 青葉将棋クラブ(森内が代表を務める将棋道場)
あ、関連項目です
脚注
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