森祇晶単語

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森祇晶（1937年1月9日～）とは、読売ジャイアンツに所属していた元プロ野球選手であり、西武ライオンズ及び横浜ベイスターズで監督を務めていた人物である。本名及び現役時代の登録名は「森昌彦」

現役時代は正捕手として巨人のV9を陰ながら支え「V9の頭脳」と称され、監督としては1986年から1994年まで在籍した西武では在任9年でリーグ優勝8回、日本一6回という西武黄金時代を築きあげるなど多大な実績を残している。

現役時代

生まれは大阪だが、戦争による空襲で岐阜に疎開、父親は実業家だったがこの時家や財産を焼かれたため、以降は貧しい暮らしを強いられることになる。
野球は中学生から始め、当初は内野手だったが2年生時に捕手に転向、高校では捕手兼主将として3年次に甲子園にも出場しているが、初戦で股間にファウルを受けて交代している。
高校では野球だけではなく勉強面も優秀な成績を残しており、当然ながら様々な大学から誘いが来るが、森は貧しい家庭の事情を考え進学を断念し、55年に巨人に入団。

ルーキーイヤーの55年は2軍スタートとなるが、6月に1軍に昇格、しかしこの時は当時「カベ」と蔑まれるプルペンキャッチャーの補充要員としての昇格であったため、試合どころか練習を観察することさえ叶わなかった。
しかしこの時のちに通算310勝を挙げることとなる大投手・別所毅彦と出会い、別所に気に入られた森はしばしば別所の投球練習の際に駆り出されることとなり、この際に森はキャッチングについて勉強したという。

2年目以降は徐々に出場機会を増やしていくが、当時巨人の正捕手を務めていた藤尾茂は強肩強打で有名であり、少なくとも打撃面では森は全く敵わないと考えていたため、インサイドワークなどを磨く事を決意。

転機となるのは59年、藤尾が持ち前の打撃力を活かすため、守備の負担が少ない外野にコンバートされると、森は空いた正捕手の座を手に入れることに成功し、鍛え上げた守備とリードで投手陣を牽引してこの年の巨人の優勝に貢献。特に藤田元司はこの年27勝で最多勝に輝いている。
しかし日本シリーズでは巨人は南海ホークスの杉浦忠の4連投4連勝という常識外れの投球の前に敗れた。

60年は三原脩率いる大洋ホエールズに振り回され2位に終わる。この年はチーム防御率はリーグ5位、森自身の打率もわずか.197に終わるなど攻守双方に精彩を欠く1年となり、監督の水原茂はこの年で退任となり、川上哲治が監督に就任、翌61年はエースの藤田元司や堀本律夫が怪我で精彩を欠く中、森は中村稔や伊藤芳明、9月に急遽入団した村瀬広基といった若手の投手を引っ張り、過去4年間で3勝しか挙げられなかった中村は17勝を、伊藤も13勝を挙げる活躍で巨人は2年振りに優勝を決め、日本シリーズでも中村らの活躍で南海を下し8年振りの日本一を達成した。

65年には中村稔、城ノ内邦雄、そして「8時半の男」と呼ばれた宮田征典が皆20勝を挙げ、国鉄から移籍してきた金田正一が最優秀防御率を獲得するなど投手陣の目覚ましい活躍により優勝、森はこの年他の選手の不振もあり、打順では5番を打って打率.277、5本塁打58打点と打撃でも好成績を残し、日本シリーズでも南海を下して打撃賞にも輝いている。

66年はルーキーの堀内恒夫の開幕13連勝という活躍をアシストしチームもその勢いでV2、67年はキャンプで足を痛めるというアクシデントがあったものの、堀内、城ノ内、金田ら投手陣を引っ張りV3を決め、日本シリーズでは第3戦にホームランを放つ活躍などで打率.227にもかかわらず日本シリーズ最優秀選手に選ばれている。

その後も短期決戦となる日本シリーズでは巨人のVに大いに貢献。70年の対ロッテでは強打者アルトマンとの勝負を徹底的に避けて打線を封じ込め、71年の対阪急ではシーズン106盗塁という驚異的な数字を残した福本豊に盗塁をほとんど許さず、これまた阪急の打線を機能させなかった。

72年からはバッテリーコーチを兼任し、74年に巨人がV10を逃し2位に終わるとこの年で現役を引退した。
結局V9まで巨人の正捕手の座を譲ることは無かった森だが、当時は捕手の地位が低かったこと、同年に「ミスター」こと長嶋茂雄も引退を表明していたため、森は長嶋のようなセレモニーも用意されず、ひっそりと引退したという。

引退後

引退後しばらくは解説者などを務めていたが、78年にヤクルトで監督を務めていた広岡達朗の要請でヘッドコーチに就任、森は広岡の意向に従い、選手たちに練習から日常生活まであらゆることに口を出し選手たちを管理、いわゆる「嫌われ役」に徹し、さらに現役時代にも生かした観察眼や分析力でこの年のヤクルトの初優勝に貢献した。
しかし79年は嫌われ役を続けた結果選手たちからの評判がますます悪くなり、それを憂いた球団の判断により、森は解任された。

82年には西武ライオンズの監督を務めていた広岡の下で再びコーチに就任、ここでもヤクルト時代同様の役割に徹し、82年、83年は2連覇を達成するが、84年は主力選手の衰えにより3位に終わる。
監督の広岡は優勝を逃した責任を森に取らせ、森はそれまで与えられていた選手管理の権限などを取り上げられた。これにより森と広岡は決裂し、森は西武を退団。しかし広岡は85年の日本シリーズにて吉田義男監督率いる阪神タイガースに敗れ日本一を逃すと監督を退任し、その後任に森が選ばれた。

西武ライオンズ監督時代

監督1年目の86年、広岡監督時代の打線の中心だった田淵幸一や山崎裕之はすでに引退していたため、西武はドラフト会議にて「KKコンビ」の清原和博を指名、見事交渉権を得て獲得に成功する。

シーズンではその清原が開幕二戦目に登場し、南海の藤本修二から初ホームランを放つと、その後一時ノーヒットが10試合続くなどの不振に陥るが、森は清原を信じて起用を続けた結果、4月30日に2号本塁打を放って以降は調子を取り戻し、この年打率.304,31本塁打78打点という成績で新人王に輝く。

清原が加わった打線もこの年落合博満と打点王を争い、最終的に敗れたものの清原を超える41本塁打115打点を記録した秋山幸二、1番ショートで打率.329、27本塁打89打点を記録した石毛宏典らが引っ張り、投手陣はベテランの東尾修や松沼兄弟が調子を落としていたものの、若手の工藤公康やこの年最多勝を獲得したまだフサフサだった渡辺久信、先発・抑えの両方で結果の残した郭泰源らの大活躍によって、最後まで岡本伊三美率いる近鉄バファローズと激しい優勝争いを展開、残り1試合というところで見事就任1年目での優勝を決めた。
日本シリーズでは阿南準郎率いる広島と対決、先に3連敗を喫し王手をかけられるが、そこから4連勝を決め見事に日本一に輝いた。

87年はそれまで遊撃の絶対的なレギュラーだった石毛を三塁にコンバートし若手の田辺徳雄を抜擢、さらに前年二塁のレギュラーだった辻初彦がオープン戦で死球を受け離脱したため代わりに笘篠誠治を置いた。
だが春先は秋山・清原といった打線の中心の調子が思わしくなく、5月には一時最下位にも落ちている。
しかし投手陣は工藤公康、郭泰源、東尾修の3本柱が奮闘し、その活躍によって5月27日には一気に2位にまで浮上、しばらくは首位を走っていた阪急ブレーブスに追いつけずにいたが、夏場になって辻が復帰、秋山のバットからも快音が聞かれるようになってくると西武は勢いを増し、8月11日は阪急を逆転して首位に、そして10月10日の近鉄戦において両チーム計7本塁打を記録する打撃戦になりながらもこれを9-7で制し、西武は3年連続でリーグ優勝を決めた。

MVPには15勝9敗、防御率2.59を記録した東尾が選ばれ、その東尾と最後までMVPを争った工藤は防御率2.41で最優秀防御率を獲得。打線では秋山幸二が43本塁打で初の本塁打王を獲得した。
この年は打線こそリーグ最低の.249に終わったが、防御率はリーグトップ及び唯一の2点代である2.96、完投もリーグトップの66完投を記録するなどいわゆる「守り勝つ」チームだったと言える。
日本シリーズでは王貞治率いる読売ジャイアンツと対決、先発・抑え双方の役割をこなした工藤の活躍もあり、4勝2敗で見事日本シリーズ2連覇を達成した。

88年、投手陣は東尾が前年オフに麻雀賭博に手を染め謹慎となったが、工藤・郭・渡辺の3本柱が打線は秋山・清原・バークレオの3・4・5番が全員30発以上を記録する活躍で開幕から首位をひた走り、7月には一時工藤・郭が調子を落とすが、打線は清原が勝負強さを見せチームの勢いを引き戻すと、9月13日には2位の仰木彬率いる近鉄に6ゲーム差をつける。しかしここから近鉄の猛追撃が始まり、あっという間に差を詰め始め、西武は73勝51敗6分でシーズン全試合を終了、この時点で近鉄は後2試合を残し73勝52敗3分のため、2連勝すれば西武の勝率を上回り逆転優勝出来るという展開にまで持ち込む。
だが近鉄は10月19日のダブルヘッダー第1試合は制したものの、第2試合は延長時間切れにより引き分けに終わったため、西武は4年連続優勝を決め、日本シリーズでは星野仙一率いる中日ドラゴンズを4勝1敗で圧倒し、日本シリーズ3連覇を達成した。

89年、西武は5年連続での優勝を目指すが、前年活躍したバークレオが徹底マークにより調子を落とし7月まではBクラスを彷徨う。しかしバークレオと入れ替わりに昇格したオレステス・デストラーデがその穴を埋めて余りある活躍を見せ、後半からは新人の渡辺智男の奮闘もあり、8・9月を31勝13敗1分という驚異的な快進撃で首位に返り咲く。しかし10月12日、前年と同じく西武と優勝争いを演じていた近鉄とのダブルヘッダー、西武は第1試合に郭泰源を当てたものの、近鉄の主砲ラルフ・ブライアントに4回にソロ、6回に満塁弾と2打席連続本塁打を浴び5点を失い降板、5-5で同点の8回に森は2日前に近鉄戦に登板していた渡辺久信をぶつけるが、ブライアントは渡辺が最も自信を持って投げ込んだ高めのストレートを弾丸ライナーでライトスタンドまで運び、これが決勝点となって西武は1戦目を落とすと、ダブルヘッダー第2試合もまたもやブライアントにホームランを浴び敗戦、結局この直接対決に敗れたことが響き、西武はこの年3位、森は監督就任後初めて優勝を逃した。

10月19日、森は西武のオーナーの堤義明をシーズンの結果を報告するために訪れるが、この時堤オーナーからは「監督がやりたいのであれば、どうぞまた頑張ってやってください」と一言、他にこれといった励ましや労いの言葉もなかった。（のちに堤オーナーは「あんな突き放すようなニュアンスでは言ってない」と語っている。）

再び優勝しオーナーを見返そうと決意した90年、森は巨人からトレードで鹿取義隆、ドラフトでは潮崎哲也を獲得、シーズンでは開幕ダッシュに成功し、5月末の時点で28勝9敗1分と圧倒的な強さを見せ、6月には上田利治監督率いるオリックスに0.5ゲームまで詰め寄られたもののすぐに引き離し、以降首位の座を1度も明け渡すことなく9月23日に球団最速での優勝を決めた。
投手陣は鹿取が抑えで27セーブポイント、潮崎が43試合に登板し7勝4敗8セーブという成績を残し、先発陣は18勝で最多勝を獲得した渡辺久信、13勝をあげた渡辺智男、プロ2年目ながら8勝を挙げた石井丈裕らの活躍が光った。
打線も辻発彦・平野謙の1・2番コンビが機動力を発揮すれば、球界初の30本塁打50盗塁を達成した秋山幸二、最終的に無冠に終わったものの打率.307、37本塁打94打点の成績を残した清原和博、42本塁打106打点で二冠王を獲得したデストラーデの「AKD砲」が大爆発と投打がかみ合った年だった。

日本シリーズでも斎藤雅樹・槙原寛己・桑田真澄という強力な投手3本柱を擁する巨人を4勝0敗と完膚なきまでに打ち砕き、見事に去年の屈辱を晴らした1年となった。

91年は開幕8連勝と最高のスタートを切り、5月時点では2位近鉄に10ゲーム近い差をつけたが、ここからまたもや近鉄が驚異的な追い上げを見せ、7月17日には初めて首位から陥落する。
しかし西武は首位を陥落してからも近鉄から引き離されないよう勝利を重ね、9月6日から行われた直接対決で3連勝し首位を奪還、9月21日からの最後の3連戦も1勝1敗1分でマジックを減らし、ついに10月3日の日本ハム戦、西武は先発の西崎幸広らハム投手陣を打ち砕き13-1で勝利、前年に続き2年連続の優勝。
この年の西武はリーグ最高得点＆最少失点を記録し、MVPは15勝6敗、防御率2.59という好成績を残した郭泰源が受賞、他には渡辺智男が防御力2.35で最優秀防御率、工藤公康が16勝3敗の勝率.842で最優秀勝率を、オレステス・デストラーデが本塁打・打点の2冠王を達成した。

日本シリーズでは山本浩二率いる広島東洋カープと対決、5戦目にて先に王手をかけられるものの6・7戦目は自慢の投手陣が広島打線をそれぞれ1点に抑え込み逆転で2年連続日本一を決めた。

92年、この年は前年と違い開幕ダッシュに失敗し4月は8勝11敗で5位とイマイチなスタート、しかし5月には秋山とデストラーデが打ちまくり17勝3敗という驚異的なペースで勝ち星を重ねると、6月にはAKD砲の中で一人不振に陥り、一時はスタメンを外れたこともあった清原も復調、6月24日には史上最年少での200本塁打を達成している。
8月9日には早くもマジックが点灯し、9月1日には追いすがる近鉄を22-0と圧倒、そして9月30日には見事リーグ3連覇を達成した。
投手陣では石井丈裕が15勝3敗3セーブ、防御率1.94という自己最高の成績でMVPを獲得、潮崎哲也・鹿取義隆のWストッパーも2名合わせ15勝26セーブを記録、打線もAKD砲のデストラーデが打率.266、41本塁打87打点で本塁打王を獲得し、秋山・清原もタイトル獲得は成らなかったがそれぞれ打率.296、31本塁打89打点で8年連続30本塁打以上、打率.289、36本塁打96打点という成績を残している。

日本シリーズでは現役時代同じ捕手として、親友として、ライバルとしてしのぎを削った野村克也が率いるヤクルトスワローズと対決。
1戦目は延長12回までもつれ込む大激戦となるが、12回裏ヤクルトの攻撃にて鹿取がヤクルトの代打杉浦亨にサヨナラ満塁ホームランを浴び3-7で敗戦、2戦目は西武・郭泰源とヤクルト・荒木大輔の投手戦となるが、6回に清原の2ランが飛びだし、郭が7回打球を受けて降板というアクシデントはあったものの、後続を潮崎が最後まで抑え2-0で勝利、3戦目は石井丈がヤクルトを広沢克己の1発だけに抑え6-1で勝利、4戦目も秋山の1発で1点を取ると、後は渡辺智・鹿取・潮崎のリレーでヤクルトを完封し1-0で王手をかけるが、5戦目は延長戦の末に潮崎が池山隆寛に勝ち越し本塁打を打たれ、6戦目も延長にて疲れを見せていた潮崎が秦真司にサヨナラ本塁打を許す。
両者王手で迎えた7戦目、先発はヤクルトが岡林洋一、西武が石井丈裕でスタート、西武は4回にエラーがらみで1点を失うが、7回には石井丈自らのタイムリーで同点とし、そのままゲームはシリーズ4回目となる延長戦を迎え、延長10回表西武の攻撃にてついに岡林が秋山に決勝点となる犠牲フライを許すと、その裏石井はヤクルトの攻撃を3人で抑え、森西武は2度目となる日本シリーズ3連覇を達成した。

93年はデストラーデがメジャー復帰のために退団、残った清原・秋山も不調で打線は例年ほどの迫力を失ってはいたが、辻発彦が打率.319で首位打者を獲得する意地を見せ、投手陣は新たに加入した杉山賢人が潮崎・鹿取と共に「サンフレッチェ」を結成しフル回転、先発も15勝3敗、防御率2.06でMVPに輝いた工藤らが活躍、この年は得点はリーグ4位ながら失点はリーグ最少に抑え見事4年連続で優勝を決める。

日本シリーズでは前年同様野村克也率いるヤクルトスワローズと対決し、これまた前年同様7戦目までもつれ込む激戦となるが、今度は西武打線が川崎憲次郎＆高津臣吾に抑えられ2-4で敗北し日本シリーズ4連覇は達成できなかった。

94年は長年チームの主軸として活躍してきた秋山幸二を渡辺智男・内山智之と共にダイエーにトレードし、代わりに佐々木誠・村田勝喜・橋本武広を獲得。また平野謙もロッテに放出した。
開幕時こそ若干低調気味だったものの6月には2位と最大6.5ゲームをつける。しかしオールスター以降はまたもや調子を落とし、ダイエー、オリックス、近鉄と空前絶後の熱戦を繰り広げるが、9月に11連勝を記録して一気にトップに躍り出ると、そのままパ・リーグ初となる5年連続優勝を達成した。

しかし長嶋茂雄率いる読売ジャイアンツとの日本シリーズにおいて2勝3敗で王手をかけられた6戦目前夜、なんと「森監督勇退」という記事が流れるという異常事態が発生、これにより西武の選手たちは動揺し結局日本シリーズも巨人の日本一で終わる。
実はこの頃になると森がいくらリーグ優勝を決めてもフロントからは「森の野球はつまらん、観客数も伸びない。」という2011年にどっかのセ・リーグの球団でも聞いたことがあるような難癖に近い批判をされ対立気味だったと言われとおり、結局森はリーグ優勝を決めながら監督を退任という異例の形で西武を去って行った。伊東勤からは「広岡さんに鍛えられた選手たちがレギュラーになり、選手が揃っていた時期に森さんが監督になっただけで森さんは特にやることはなかったと思います」と述べ、オーナーの堤義明と共に清原を甘やかしたと言われ、清原逮捕時には広岡達朗と野村克也から批判された。

横浜ベイスターズ監督時代

西武の監督退任後は再び解説業に復帰、97年には横浜、98年には巨人の監督になるのではないかと噂されたがいずれも実現しなかった。
しかし2001年、権藤博の後を受けて横浜ベイスターズの監督に就任する。

横浜1年目は98年の優勝の立役者ともいえる強打者のロバート・ローズが退団、一部では森と対立したからとも囁かれたが、ローズは権藤監督時代から引退を仄めかしていたものの権藤監督から強く慰留され、「権藤が監督の間は引退を考えない。」という考えを表明していたため、権藤の退任と共に去っていくのは仕方のないことであった。

ともあれ主軸の退団により、森は種田仁・小川博文らを獲得、さらにそれまでのマシンガン打線と称された打ちまくることによってつなげる打線にメスを入れ、前任の権藤とは対照的にバントを積極的に用いるようになる。
また投手陣も斎藤隆を「俺はお前と心中する」という一言と共に抑えに、そしてそれまでの抑えの木塚敦志をリリーフエースに転向させている。
この年は序盤こそ出遅れるが6月頃から白星を重ね始め、7月には12勝4敗1分と大きく勝ち越し、最終的に69勝67敗4分で前年と同じく3位という結果となった。余談だが8月16日のヤクルト戦にてヤクルトのアレックス・ラミレスの捕球に対し「ワンバウンドした後に捕球をした。」と28分に渡る抗議をし、プロ生活35年目にして初めての退場を宣告されている。
チーム内では抑えに転向した斎藤が7勝27セーブ、防御率1.67という好成績を、木塚が9勝3セーブ、防御率2.48で最優秀中継ぎのタイトルを獲得、チームバント数は前年の61から151に増え、守備ではリーグ新記録の18試合連続無失策という記録を残した。

しかし森からリード批判され、確執があった正捕手の谷繁元信が中日に、12勝を挙げた小宮山悟がメジャーに移籍と主力の流出が相次いだ2002年は開幕から調子が上がらず、5月には13連敗を喫しそのまま最下位から浮上できず9月25日には途中休養、そしてシーズン終了をもって監督を解任された。この年はチーム打率・本塁打・得点がリーク最下位を記録、かつてのマシンガン打線と恐れられた打線は完全に終焉を迎えた。

現在はアメリカの永住権を取得しハワイに移住して暮らしているため、おそらく日本球界への復帰は絶望的と思われる。

人物

今でこそV9の頭脳と称えられる森だが、現役時代は苦労が多かった。
まず巨人の正捕手で居続けるためには怪我も我慢して出続けねばならなかったため、森は突き指や捻挫程度では決して試合を欠場しなかった。また監督であった川上哲治は森に信頼を寄せてはいたが、森の危機感・競争心を煽る為、ドラフトでは「森は嫌われているのか？」と他球団の人間が思うほど捕手を取り続けたため、森は決して安心感になど浸れない日々を送っていた。
さらには優勝決定戦ではいつもパリーグのチームの偵察に向かわされていたため、グラウンドで優勝の瞬間に立ち会えないこともあった。
そして試合では「試合に勝つこと」を第一と考え、投手の調子が少しでも悪いと見るや監督に「もう無理です」とはっきりと伝えていたため、 投手陣からの心証は決して良いとは言えないものだった。

ヤクルト・西武でのコーチ時代も広岡監督の指示もあったとはいえ、選手たちに対し厳しい管理指導を行った結果、「森CIA」などと言われ忌み嫌われていた。
しかし自身が西武の監督に就任してからは前任の広岡とは対照的に「主役は選手」というポリシーを貫き、優勝を決めた時はチャンピオンフラッグを選手に持たせて自分は最後尾を歩くなど、監督としての責任は負いながらも積極的に選手よりも前に出ようとはしなかった。
そのためか森繁和、辻発彦、清原和博など、西武黄金時代の選手たちは今でも森に対して非常に好意的であるが、石毛宏典は中立的で、伊東勤、渡辺久信などは批判的である。

野村克也とはリーグこそ違えど現役時代から親交があり、日本シリーズ前には野村の家を森パリーグの情報を聞きに訪れることがしばしばあったため、「野村の家には森の歯ブラシがある」などという冗談が生まれている。

通算成績

野手成績

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