椎名高志(しいな たかし 1965年6月24日~)とは、『週刊少年サンデー』専属契約の漫画家である。大阪府出身。既婚。妻は高橋留美子の元アシスタント。
代表作は「[有]椎名百貨店」、「GS美神 極楽大作戦!!」、「絶対可憐チルドレン」など。
誌上における一人称はワタシ、冗談っぽくいう時はセンセイ。
作風
小学館伝統のSF(すこし・ふしぎ)に裏打ちされた正統派ギャグストーリー漫画を得意とする。のっぴょっぴょーん!!
「異能が普通に存在する世界」を構築することに長けており、小道具、専門用語、特殊能力についていちいち説明臭くせずとも作中へ登場させられる稀有な作家である。エリクシャー。えらいくさい。
大阪のノリ・ツッコミをフルに駆使した過激なドタバタコメディをメインギャグとしており、女王様的主人公が下僕体質の男をシバき回すパターンはもはや様式美と言える。ちち、しり、ふとももー!
ストーリーやギャグの合間にちょいちょいパロディを挟むことも多く、コアな元ネタであっても自然に放り込んでくる。
その内容はターミネーター的破壊モノからドラマ、映画、小説、SF、神話、歴史、オカルトまで多岐に渡る。
パロディギャグは原作愛好者にとって鼻につくようなナメた描写になりがちだが、そういった批判を回避できるほどの巧妙さを持つ。
特にシャーロック・ホームズは思い入れがあるようで、「GS美神外伝」として読み切りを2本描いている。
かつてはスターシステムを採用していた。
昔の作品に出したキャラを現行の連載用にリビルドするといった手法を好んで使用していたが、現在はあまり見られなくなっている。
また、あまり知られていないがデビュー当時から4コマ漫画の実力に確かなものを持っており、表現のフィールドが狭くともしっかりした世界観を作り上げる点は当時から現在まで全くブレがない。
※現在も週刊連載しつつ4コマ2本同時掲載という無茶を絶賛継続中。
今日言われている「萌え要素」のいくつかを漫画的記号として完成させているが、何故か表立って評価される機会に恵まれないという少々不遇な面も。
ツンデレ女王様(+ロリ)・ケモ娘・半人半妖・ドジっ娘ロボ・幽霊・巫女・カマトト・天然など、どっかで聞いたことがあるような属性はほとんどキャリア前半で描きつくしている。
これをネタに、セルフパロディ漫画を描いてホームページに掲載したこともある。
「GS美神」以降長期的人気を獲得するような作品が育たず、一時低迷したが、読み切りで試行錯誤を繰り返し、ついに「絶対可憐チルドレン」で2度目の長期連載、アニメ化を勝ち取った。
近年はさらに進化を重ね、現代の需要にマッチした作風へシフトしつつある。
しかしこれにはごく一部の心ないファンから批判も寄せられるようになってしまった(いわゆる腐臭がするとか)。
作者の代名詞とも言える超重要キャラ「横島忠夫」が似なくなった、というのも根拠の一つらしい。
Twitterでの指摘があまりにしつこく「似てないって言われるから(横島)描くのヤダ」とつぶやいたほどであった。
作者自身は「GS美神」を今でも大事に思っていると常々発言しており(大人の事情さえ都合がつけば再びアニメ化したい、など)、決して過去の作品を切り捨てているわけではない。現世利益最優先!!…っちゅーことで。
主な著作
- [有]椎名百貨店 1989年~1994年週刊少年サンデー他各誌掲載。全3巻。
連載デビュー作「Dr.椎名の教育的指導!!」を含む短編集。読み切り&4コマの2部構成になっている。
ドジっ娘アンドロイド・ミソッカスや従者キャラの乱破・氷雅などはこの作品が初出。
「GS美神」に出てくる脇役の多くはここからリビルドされたキャラクターである。
例:六道家のメイド・フミさん、GS資格試験の九能市氷雅、犬塚シロなど。
- GS美神 極楽大作戦!! 週刊少年サンデー1991年30号~1999年41号掲載。全39巻。
オカルトコメディ霊能格闘異種恋愛煩悩漫画。第38回小学館漫画賞少年部門受賞作品。
少年ジャンプ全盛期にメディア化されるという快挙を成し遂げた代表作。のちにDVD化もされる。
アニメは好調だったもののグッズが売りにくいジャンルだったため1年で放映終了となった。
主演声優である鶴ひろみ(美神役)、堀川亮(横島役)、國府田マリ子(おキヌ役)とは現在も交友が続いている。
- MISTERジパング 週刊少年サンデー2000年14号~2001年46号掲載。全8巻。
戦国SF漫画。日吉ことのちの豊臣秀吉が尾張のバカ殿と邂逅し、不思議な能力を持つ渡り巫女・ヒナタを巡って武田騎馬軍や危ない宗教家率いる謎の坊主軍団と丁々発止する話。
史実に則っているのはほんの一部だが、そこにストーリーのキモが据えられているとも言える。
- 一番湯のカナタ 週刊少年サンデー2002年21・22合併号~2003年2号掲載。全3巻。
経営難の銭湯を切り盛りする高校生の元に異星人の王子・王女が居候する非日常SFコメディ漫画。
よくも悪くも小学館の伝統という域を出ず、途中でテコ入れのために2週休載する。
しかし復帰直後のセンターカラーからわずか5週で打ち切りとなってしまった。
「絶チル」のCカラー時には過去のトラウマとして上記の件が語られており、作者にとってかなり辛い連載だったようだ。
- [有]椎名百貨店超 GSホームズ 極楽大作戦!! 1996年・2002年~2003年少年サンデー増刊号掲載など。
短編集第2弾の通算4冊目。シャーロック・ホームズを「GS美神」の世界観に取り込んだ「GSホームズ」はここが初出。
他に「江戸浪狼伝」、「零式といっしょ。」、「破壊僧ジョドー」、「家電少女MISOCCUS」を収録。
いずれも椎名ワールド全開の作品である。
- ウルトラマンネクサス てれびくん2004年12月号~2005年8月号掲載。全9話。全1巻。
初の幼年向け・版権モノ。異動した元担当が執筆を持ちかけてくれて連載が実現した。
今作で子供のことを考える時間が増えた結果、「絶チル」の連載安定につながっており、漫画家・椎名高志のキャリアにおける重要作品と言える。
連載終了から10年経った2015年にようやく単行本化。
- (有)椎名大百貨店 椎名高志短編集 2003年~2005年ヤングマガジンアッパーズ、月刊サンデーGX掲載。
短編集第3弾の通算5冊目。
「GSホームズ 極楽大作戦!!」の2話目、「パンドラ」、「TIME SLIPPING BEAUTY」、「蜘蛛巣姫」を収録。
単なるドタバタコメディから一歩抜け出し、基本は押さえつつも重厚なストーリーを全面に押し出した意欲作。
他誌掲載を行ったり巻末にセルフライナーノートをつけたりなど、当時の苦闘が垣間見える。
- 絶対可憐チルドレン 週刊少年サンデー2003年7月増刊号(プロット版)、2004年39号~42号(短期集中連載)、2005年33号~2021年33号(本編)。全63巻。
プロット版や短期集中連載を経て紆余曲折の末に長期連載をもぎ取った第2の代表作。
超能力少女育成SF漫画。破滅的未来の到来を偶然知ってしまった青年が、破滅の元凶となる少女の成長を助け、未来を変えるために奔走する話。
青年と女子児童、という設定に対し結構すったもんだがあり、連載開始が遅れた。
その後も敵対組織の表現について問題になったりしたが、設定を練り直して安定化に努めた結果、アニメ化を始めとして、ゲーム、ドラマCD、キャラソン、OVA、ガイドブック発売とメディアミックスでも成功を収めるに至っている。
2013年よりスピンオフアニメ「THE UNLIMITED 兵部京介」が放映された。ニコニコでも配信中。
2014年13号にて中学生編に一区切りがつき、一時休載。同年39号より最終章となる高校生編が始まった。
2021年33号を以って完結。短期集中連載を含めて約17年、全63巻に及ぶ長期連載となった。
- 〜異伝・絵本草子〜 半妖の夜叉姫 週刊少年サンデーS2021年11月号~連載中。
高橋留美子原作のアニメ「半妖の夜叉姫」のコミカライズ作品。
椎名が「犬夜叉」のスピンオフの企画を聞き、「誰も描かないなら自分がコミカライズをやるよ?」と冗談交じりに発言したところ本当に話が進み、連載が決まったという経緯を持つ[1]。
関連動画
公式チャンネル
関連項目
外部リンク
脚注
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