『極黒のブリュンヒルデ』(ごくこくのぶりゅんひるで、BRYNHILDR IN THE DARKNESS)とは、『週刊ヤングジャンプ』にて2012年9号(1月26日発売)から2016年18号(3月31日発売)まで連載されていた漫画である。単行本は全18巻。
概要
『ノノノノ』終了後に連載が開始された岡本倫の作品。ジャンルは純愛ダークファンタジーだが、明らかにSFが混じっているの比重が高い。
連載冒頭からいきなり主人公がヒロインを殺すシーンが描かれるなど、先が読めない展開が特徴。
『エルフェンリート』を気に入った方はおそらくこの作品もお気に召すと思われる。
あらすじ
信濃大学付属高校に通う青年・村上良太は、子供の頃に自分の不注意で死なせてしまった幼なじみの女の子・クロネコの事を今も忘れることができない。彼はNASAの研究員になって「宇宙人がいることを証明する」という彼女との約束を果たすべく、勉学に勤しみつつ天文部の所有する天文台で毎日夜空を見上げる日々を送っていた。
そんなある日、良太の前にその幼なじみをそっくり大きくしたような転校生・黒羽寧子が現れる。
登場人物
- 村上良太(むらかみ りょうた) 声: 逢坂良太
- 本作の主人公。幼馴染への思いからNASAの研究員を目指す高校生。唯一の天文部員で、毎日のように天文台の望遠鏡で星を観察している。学校では女嫌いとして有名。宇宙人の存在は信じるが魔法は「非科学的だから」と信じない。幼馴染にそっくりな黒羽寧子と出会い、彼女に迫る危険を守ろうとする。魔法使いの襲撃を受けて死にかける、犯罪を犯す、寧子の魔法のとばっちりを受ける、など碌な目に合っていないが、今のところは彼女を守れたことに幸福を感じつつ、期せずしてハーレム(ただし全員魔法使い)の形成にも成功している。
- 一見すると、単なる巻き込まれ型のヘタレ主人公に見えるが、全国模試で全国3位になるほど成績優秀者で電波暗室や薬の製造番号など、雑学にも詳しい。一度見たものを全て記憶出来る写真記憶能力を持つ。この記憶は記憶操作の魔法使いでも消すことはできない反面、辛い記憶は容易にトラウマとなりえる。
- 幼馴染を思い続ける一途さ、寧子のためなら殺されても構わないという度胸、死の恐怖に怯えるカズミ達を力強く励ます自信漲る姿、常に現状を的確に把握する沈着な思考と分析、困難を乗り越える強さと勇気など、高いスペックを誇り寧子達からの信頼も厚い。これらは基本的に、幼馴染を失った時のような悲劇をもう二度と繰り返さないという、強迫観念めいた信念に基づくものである。
- そんな彼だが「お金を払う価値のあるおっぱい」について女の子の前で真顔で真剣に語るというオープンスケベでもある。
- クロネコ
- 良太が小学生の頃に近所に住んでいた幼なじみの少女。 10年前のある日、宇宙人がいるという場所へ良太を連れて山へ向かうが、ダムを渡る際に谷底へ落ち、亡くなってしまう。このことは良太にとって完全記憶能力の弊害もあり深いトラウマになっている。
- 黒羽寧子(くろは ねこ) 声: 種田梨沙
- 破撃の魔法使い。だいたい目の届く範囲の物を破壊できるが魔法を使うと何かしらの記憶を失う。
良太のクラスに転校してきた女子生徒で容姿や雰囲気がクロネコと酷似している。
実験台として10年間研究所にいたが移送中に脱走し、捕まると殺されるという状況に追い込まれている。そのため簡単な漢字も読めず九九を知らないなど一般教養に欠けるが地頭は優秀で高校の授業にはついてこれている。
嫉妬心を抱きやすく、良太が女の子と仲良くすると全く無意識に周囲の物を魔法で破壊してしまう癖がある。
奈波曰く、本来はSクラス相当の能力を持っているとのことだが、今はその力を失っている。 - 橘佳奈(たちばな かな) 声: 洲崎綾
- 予知の魔法使い。数日~数時間以内に近くで起こる人の死に関することしか見えず、発動も発作的ではあるが100%当たる予知ができる。予知で見える未来は行動で変えることが可能。
自称「天文部のマスコット」。寧子と共に研究所を脱走してきた魔法使いで、何故か普段着がゴスロリファッション&縦ロールの毒舌家。なお、ゴスロリは本人の趣味。
施設での実験で全身不随になり呼吸することも困難だが、左手の指は動かせるため小型キーボード付きの機械による合成音声で喋れる。また食べ物を咀嚼できず、食事は全て流動食に加工してもらう必要がある。
年齢的には中学生だが、実はカズミよりも巨乳である。 - カズミ=シュリーレンツァウアー(Kazumi Schlierenzauer) 声: M・A・O
- 操網の魔法使い。素因数分解を瞬時に計算することでネットワーク上のシステムのセキュリティを解除し、あらゆるコンピュータを遠隔操作する事が出来る。
寧子達と研究所を脱走して、別行動している魔法使い。関西弁風の言葉を話すハーフでドイツ語も理解できる。依頼されれば魔法を使うが報酬として鎮死剤を要求する。
作中屈指の貧乳で、良太にとって彼女のおっぱいはお金を払う価値がないらしい、というようなことを良太本人が堂々と目の前で真顔で語り、カズミが激しいツッコミを(主に足蹴で)返すこともしばしば。
口を開けば猥談ばかりであるが、単に耳年増なだけであり、彼女自身にそういった経験は全くない。 - 鷹鳥小鳥(たかとり ことり) 声: 田所あずさ
- 転移の魔法使い。自分と任意の相手の位置を入れ替える能力を持つが、一度使うとハングアップしてしまうため24時間使えない。
- 突然天文学部に入部しに来た魔法使い。巨乳。千絵という魔法使いといっしょに脱走したようだが、小鳥曰く千絵は薬の節約に失敗して死んでしまったらしい。
- 学校には千絵の能力で転入しており、良太より一つ下の学年の1年生。
- その豊満なスタイルから、おっぱい好きの良太の目を引き、いつもカズミに嫉妬されている。カズミ曰く非常食。
好物は甘いもの(特に練乳)。食い意地がはっており、食べ物のことになると人が変わる。また、興奮すると口調が軍人や武士のようになったりする。 - ヴィンガルフから特別に目を付けられており、コードネームは「グラーネ」。
- これは、タイトルにもある戦乙女「ブリュンヒルデ」の馬の名前である。
- 他の魔法使いとは異なり、何かしらの特別性を有しているようだが・・・・・・?
- 斗光奈波(とこう ななみ) 声: 沼倉愛美
- 視憶と操憶の魔法使い。目を見た相手の記憶を読み取り自由に書き換えられる。 作中でも屈指の強能力であり、最終的な組織の評価はAAA相当。
- 比較的小さめの背丈にロリータファッションで、金髪を短いツインテールで結んでいる。逃げ出したネコら魔法使い達を追うため駆り出された刺客。
- だが、今までの刺客とは異なり、魔法使いの情報を知っている良太に遭遇しても、殺しはせず、ただ記憶を消し去るだけに留めようとした。
苦労して手に入れた千円を子供のケンカの仲裁に使ったり、無銭宿泊したホテルのチェックアウトに記憶操作の魔法を使うことに罪悪感を感じたりとお人好しな面もある。 - 記憶を変えられても頑なに友達を信じようとする寧子に心打たれ、彼女たちの友達になろうと決意するが…。
また、作中屈指のアホの子であり、得意であると豪語した絵があまりにもアレ、人の目線を集めるために下着になる(本人曰く下着でコンビニくらいなら行ける)、千円を稼ぐためにおっぱいを晒すなど、刺客でありながらギャグシーンの割合はかなり多い。可愛い。非常に可愛い。隠れハーレム要員であり良太の脳内嫁。 - 若林初菜(わかばやし はつな) 声: 内山夕実
- 再生の魔法使い。即死級の傷を受けても再生することができる。鉄オタであり、電車に乗るとテンションが上がる模様。性格はドSであり、普段は冷静な面が強いが予想外のことがあると非常にテンパる。
- 脱走後カズミ達と再会した当初は人間を信用せず、良太の本意を試そうとするが、自ら演出した危機的状況にもかかわらず、命がけで自分を助けようとする良太の姿に心変わりし良太に交際を申し込むも、当の本人からまともに受け取られず袖にされている。
実は他人の傷を治せるAクラス相当の魔法を隠し持つ。その能力は致命傷すら瞬時に治療することができるほどであるが、代償として体が溶け始め、限界を突破するとハングアップしてしまい、暫く行動不能となる。 - 柱谷小五郎(はしらたに こごろう) 声: 伊藤健太郎
- 良太の叔父で三十二歳。独身。そして独身たる理由はモテないから、ではなく、単に女性嫌いだかららしい。大の乗り物嫌いで東京-長野間ですら徒歩で移動する。薬学の造詣が深く優秀な研究者で、数々の研究機関からも招聘を受けるが、自分を招きたいなら近くに研究所を作れと言い、その全てを断っている。
- 劇中で良太も零すとおり、偏屈な人間。コーヒーを飲む時ソーサーを摘まんでカップを傾けるという実に独特な方法を取り、知的好奇心を満たすという条件で鎮死剤製造に様々な協力を行う酔狂人。
- そんな偏屈な小五郎も、知的好奇心云々を抜きにしても、一応ではあるが良太に親類の情を向けている様子。
- 九千怜(いちじく ちさと) 声: 東地宏樹
- 寧子達魔法使いを管理する研究所の所長。容姿は涼やかで端麗に描かれているが寡黙で言葉数も少ない謎多き人物。全ての命に価値はないという考えを持っているため、目的のためであれば自分の命すら省みない。
- ヴィンガルフの所長で高千穂と呼ばれる(もしかしなくてもゼーレ)、おそらくはヴィンガルフのパトロンである存在と協議しつつ、魔法使いの回収計画を勘案する。
- その研究者としての能力、探究心共に人並み外れたものであるとされているが、人材管理に関しては無能。
- ヴァルキュリア(古ノルド語: Valkyrja) 声: 能登麻美子
- 魔法使いの中でも、Sクラスに属し「ヴァルキュリア」のコードネームで呼ばれる。一説には人類を滅亡させられるほど、とも。
- 本名、藤崎 真子(ふじさき まこ)。
- 容姿はネコと酷似しており、違うのは髪の色と性格だけ。その他にも、仲間である魔法使いを無惨に殺している割に、ネコにははっきりと親愛の情を示すなど、何かしらの関係を思わせる間柄。辛いものが苦手であり、ボンカレーの甘口が限界。ジョロキア食わせれば倒せんじゃね?
- また特筆すべきは、Sクラスに恥じぬ、その尋常では無い戦闘能力だ。
- 彼女が有する能力の数はなんと8個以上とされている。(二つ以上有することが「ハイブリッド」として持て囃されている世界観の中で異常な数)
- 実際に劇中でその常軌を逸する戦闘能力を発揮した例としては
- ・ヴァルキュリアを制御する為に用意されたA~AAクラスの魔法使い7人を瞬殺
- ・ヴァルキュリアを連れ戻しに来た特殊部隊を、反物質を生成し、付近の山もろとも消し去る
- ・グラサンがどれほど足掻いても探し出せなかったネコ達の居場所に一瞬でワープ
- そしてその戦闘能力故か、酷く傲慢で残酷な性格をしており、丘から見下ろす景色を独り占めする為に、周囲に居たカップルを瞬殺するなどの行動を見せている。
- 佳奈の談では「まるで虫を殺すように人殺しをする」
- 後、セルフ突っ込みを多用する。過去の出来事から九に心酔しており、その想いは自分が九から計画に必要な道具程度としてしか見られていないと知っていても全く揺らぐことはない。
用語
- 魔法使い
- 魔法使いを管理する組織の施す手術と薬により様々な特殊能力を持った人間の名称。
- 現在、作中に登場している魔法使いは全員女性で、男性の魔法使いがいるかは不明。
- 首の後ろに「ハーネスト」と呼ばれる機械が埋め込まれられている。
- 鎮死剤という薬を毎日1錠飲まないと肉体の崩壊が始まり、個体差はあるが、その後、六十時間以内に死亡する。 脱走した魔法使い及び魔法使いの存在を知った人間は研究所によって殺害される。 上からS、AAA、AA、A、B、Cという6段階のランクがあり、AAA以上はコードネームが存在し、Bクラス以下は処分場へ送られる。そしてSクラスは「ヴァルキュリア」の名で呼ばれ、凄絶な戦闘能力を有する。一説には人類を滅亡させられるほど、とも。基本的には能力で決定するようだが組織への忠誠も加味されるためランクが低いから能力が低いとは限らない。
- 作中の描写では魔法使いは何らかの生物に寄生されているようだが詳細不明。そしてそれらが人類の衰亡に関わるようだが、やはり詳細不明。
- 余談だが、魔法使いは大抵甘い物好き。それが研究所での食生活が抑圧されていたという単純な事情から来るモノなのか、それとも魔法使いの本能としてあるのかは分からない。
- ハーネスト
- 魔法使いの、うなじに当たる部分に埋め込まれている機械。
- 形状は中央部分は円形で、上と下部の左右に一つずつ据え付け用の板とスイッチが付随する。
- 魔法使いが魔法を使用しすぎると、中央の円形部分が若干浮き上がる。その状態をハングアップと呼び、ハングした状態では魔法を使えない。またハーネストには魔法で干渉出来ない。
- 右下にあるスイッチはハングアップボタン。これを押されると魔法使いはハングアップし、一日魔法を使えなくなる。
- 左下にあるボタンはイジェクトボタン。これを押されると中央の円形部分がハングアップ時よりも更に浮き出て、その瞬間魔法使いは身体を液状に溶かして死亡する。
- 残るもう一つのボタンが押された場合だが、どうなるかはネコ達にも分からないらしい。しかし死ぬより恐ろしいことになるらしいと研究員に聞かされている。
- 刺客として魔法使いが外へ出される場合、このハーネストにビーコンが取り付けられる。
- ビーコンは魔法使いの逃走・反逆時等に管理者が作動させ、ハーネストを強制的にイジェクトさせる。つまりボタン一つでいつでも殺せるわけだが、それを支配力として、強力な能力を持つ魔法使い達を操るわけである。
- 天文学部
- 村上良太が所属している部活。山奥にある天文台で活動を行う。天文台には寝泊まりする施設があり、近くには
混浴の温泉がある。そしてお察しの通り、この温泉では、主人公である良太が日々、所謂スケベでラッキーと呼ばれる展開に巻き込まれている。 - 研究所
- 魔法使いを研究、管理している施設。その研究内容により、世間からは秘匿されている。
- 正式名称、魔女の宮殿(ヴィンガルフ)、別名「高次生命機構研究所」。秘匿性を高めるため、山中奥深くにある。
- エルフェンリートよろしく、年端もいかない魔法使いの少女達に非人道的な行いを、研究と称して行っている。
- 尚、そんな秘密組織の人材集めだが、作中の描写によると、配属される人員は二年間、施設を出ることが許されないらしい。その為、それが不自然でなく心配もされない、且つキャリア候補である優秀な人間に配属辞令が届くようだ。
- 魔女狩り(ヘクセンヤクト ドイツ語: Hexenjagd)
- 魔法使いの存在を知るもう一つの組織。研究所とは異なる目的で脱走した魔法使いを追う。
テレビアニメ
2014年4月~6月に放送された。全13話。
ニコニコ動画の公式チャンネルから配信されている。第1話は無料。
アニメ第10話Aパートまでは原作単行本4巻の最後までを描き、それ以降は原作の一部エピソード(スカジこと瑞花の話など)を省略しつつも単行本11巻の冒頭までを描き上げた。
こういった構成だったため、アニメ終盤の展開は駆け足だったという声が放映当時に多く聞かれた。
スタッフ
主題歌
- 前期オープニングテーマ「BRYNHILDR IN THE DARKNESS -Ver. EJECTED-」
- 作曲・編曲:鴇沢直
- 後期オープニングテーマ「Virtue and Vice」
- 作詞・作曲・編曲・歌:Fear,and Loathing in Las Vegas
- エンディングテーマ「いちばん星」
- 作詞:keity.pop / 作曲:モチヅキヤスノリ / 編曲:小森茂生
- 歌:黒羽寧子(種田梨沙)、橘佳奈(洲崎綾)、カズミ・シュリーレンツァウアー(M・A・O)、鷹鳥小鳥(田所あずさ)
放送局
放送局 | 放送開始日 | 放送時間 |
---|---|---|
TOKYO MX | 2014年4月6日 | 日曜 22:00~22:30 |
読売テレビ | 2014年4月7日 | 月曜 25:59~26:29 |
中京テレビ | 月曜 26:22~26:52 | |
BS11 | 月曜 27:00~27:30 | |
AT-X | 2014年4月11日 | 金曜 23:00~23:30 |
各話リスト
話数 | サブタイトル | 演出 | 作画監督 | 動画 |
---|---|---|---|---|
第1話 | きみを待ちながら | 竹下健一 | 鳥宏明 | |
第2話 | 魔法使い | 玉田博 | 村司晃英 松本純平 |
|
第3話 | 鎮死剤 | 駒屋健一郎 | 小関雅 | |
第4話 | 失われた記憶 | 渡部周 | 松本純平 Jang Min Ho |
|
第5話 | 天体観測 | 西村博昭 | Lee Sang Min | |
第6話 | 微笑の理由 | 高村雄太 | 濱中明子 村司晃英 |
|
第7話 | 希望のかけら | 松本マサユキ | 中村深雪 | |
第8話 | 残された手がかり | 渡部周 | 松本純平 Yu Min Zi |
|
第9話 | 模造の記憶 | 駒屋健一郎 | 荒尾英幸 | |
第10話 | 生きている証 | 高村雄太 | Jang Min Ho Yu Min Zi |
|
第11話 | 突然の再会 | 西村博昭 | Park Hey Ran Lee Seok In |
|
第12話 | 魔女狩り | 渡部周 | 松本純平/Yu Min Zi 洪範錫 |
|
第13話 | 守りたいもの | 今泉賢一 | 鳥宏明/今泉賢一 Hue Hey Jung |
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