楽天モバイル(株)とは、楽天グループ傘下の携帯電話事業者である。
概要
2014年からNTTドコモの回線を利用したMVNO事業者として市場に参戦。
楽天グループということもあり、利用料に応じて楽天スーパーポイントが貯まる。
リアル店舗も存在し、それらの店ではSIM・端末の即日引き渡し、MNP即日転入も可能。
2017年、FREETELのブランドで格安SIM事業に参入していたプラスワン・マーケティング(株)が経営不振に陥り事業撤退するのに際し、FREETELの格安SIM加入者の受け皿を担うことを表明・移管した。
(旧プラスワン・マーケティングについても当記事で解説する。)
2018年1月、MNO事業への電撃参戦を表明。その準備会社として子会社「楽天モバイルネットワーク(株)」を設立。(2019年4月に楽天モバイルに名称変更。)
同年4月には総務省主催の電波監理審議会にて電波の割り当てが楽天に認可されたため市場参戦が許可された。
MNO(移動体通信事業者)はMVNOとは異なり、自前で交換機や電波塔を設置・運用しなければならない責務がある。そこで楽天では主に電力事業者と協力し、送電線の鉄塔や電信柱に基地局機能を備え付けることを行っている。
2018年10月、NTTドコモに続き、KDDI(au)の回線を利用したMVNOも開始。
2019年7月、DMM.comが取り扱っていた格安スマホ事業「DMMモバイル」と光回線事業「DMM光」を23億円で買収することを発表した。9月1日をもって「DMMモバイル」と「DMM光」はそのままの名称で会社分割されて楽天モバイルに引き継がれる。当分の間はDMMの名称は冠されたままになるらしい。[1]
2019年10月、「無料サポータープログラム」と称して東京23区・名古屋市・大阪市・神戸市内に在住する5000人を限定に無料の先行サービス(事実上のベータテスト)を提供開始。2020年1月にはテスターの人数を2万人に増加。
2020年3月にMNOのプランを発表、そして2020年4月8日正式サービスを開始。これに伴い、2020年4月7日の20時59分(実店舗ではその店の営業終了時間)、MVNOサービスの新規受付を終了した。楽天モバイルMNOのサービス開始後も、今のところは当面の間MVNOのサービスは継続する予定で、契約変更を行わない場合今後もMVNOのサービスを利用可能。MNOに切り替えた場合MVNOに戻ることは出来ない。
旧プラスワン・マーケティングについて
2012年に創業したベンチャー企業で、その始まりはオリジナル端末販売企業だった。あくまでも”オリジナル”とは称しているものの、アジア製の廉価な端末を日本の通信事情に最適化したうえで総務省の技適を取得し販売するというものだった。
MVNO事業は2014年から開始。当時はフリービットの回線を又借りするというものでそのクオリティは芳しいものではなかったが、2015年にはフリービットからの又借りをやめNTTドコモにレイヤー2接続を開始。
当時のフリーテルでは「増速マラソン」と称して頻繁に回線増強、つまりNTTドコモから借りる帯域を日に日に増やしていき、加入者も増えていった。
しかし、速度強化に関し水増し行為(スピードテストアプリでは速い速度が出ているのに実際の通信速度は遅いという。「スピテス番長」とも言う)や、景品表示法違反による消費者庁からの措置命令等による加入者の減少に加え、さきの増速マラソンで身の丈に合わない運営コストの増加により、とうとう経営破綻。
2017年に民事再生の手続き開始に至り、解散した。
端末部門は東京都にある「MAYA SYSTEM」という業者が事業継承者となったが、2019年頃には多くのFREETEL端末のサポート業務を切り捨てている。OCN等の大手MVNOがセールを行うとIT系ニュースサイトで話題になるが、FREETELは公式サイト上のオンラインショップでセールを行っても全くと言っていいほど話題にならないため、FREETELブランドがそのうち不採算事業として葬り去られるのも時間の問題かもしれない。
周波数帯
MNOとしての楽天モバイルは以下の電波帯の割り当てを受けている。
LTE | |
5G |
料金・速度
MNOプラン
MNOでは以下のプランが提供されている。物理SIMカード・eSIMどちらかが選択可能。
2020年11月4日に「ZERO宣言」を発表し、2020年10月12日よりSIM再発行・交換・物理⇔eSIM変更手数料を先駆けて無料化、2020年11月4日より契約事務手数料・MNP転出手数料を無料化。
しかし、2023年12月13日より物理SIMカードの交換・再発行手数料(3300円)を徴収するようになった。eSIMの場合はこれまで通り手数料の徴収は行わない。
2021年7月1日より通信契約約款が変更され、最終使用日から180日間利用のない回線は強制的に利用停止となる(強制停止前にはメール・SMSで事前告知あり)。
従来までは1GBまで使用する場合、1回線目のみ月額使用料がかからない制度が設けられていたが、2022年7月からのUN-LIMIT Ⅶよりこれが廃止され、既存のユーザーの1回線目も含め全契約で月額料金がかかる形となる。
基本データ
- 提供開始時期:2023年6月1日 ※既存ユーザーはその日に自動的にそのプランに切替。
- 基本料金:月間使用データ量により変化。
- 縛り(最低契約期間):無し
- 国内データ通信
- 国内音声通話・SMS(ショートメール)
- 楽天指定の66ヶ国でのローミング
- 速度制限の回復料金
- 提供開始時期:2023年1月26日
- 基本料金:4840円 ※各種割引キャンペーン適用前の正規料金。
- 縛り(最低契約期間):無し
- 契約事務手数料:3300円 ※各種割引キャンペーン適用前の正規料金。
- 通信可能エリア:楽天モバイルの4Gエリア(LTEバンド3)・5Gエリア(バンドn77)。 ※auへのローミングは実施しない点に注意。
- 通信容量制限:公称無制限
- 制約:他社のホームルーター(Home 5G・WiMAX Home・Softbank Air等)のように、登録した住所でのみ通信可能。
特徴や注意点、Tipsなど
- 楽天の指定するSIMフリー端末以外では使えない場合あり。しかも相性問題は結構厳しい模様。au端末をSIMロック解除すると使えるパターンは多いが、楽天の電波(バンド3)⇔auの電波(バンド18・26)の自動切り替え機能が作動しない、ETWS(緊急地震速報エリアメール)の受信が出来ない、緊急通報用番号(110・118・119)へかけた際のGPS位置情報提供が出来ない、APN自動設定が行われない等の弊害が存在するためおすすめはしない。
- iPhone・iPadに関しては従来までは公式には動作保証対象外と公言していたが、動作確認が取れている機種であれば非公式・自己責任で使用可能というスタンスだった。iPhone XS・XR(香港・マカオ・中国大陸版を除く)以降のeSIM対応機種であればeSIM契約で使用可。楽天リンクアプリに付いては当初はAndroidのみだったが、2020年7月7日にiOS版もリリースされたため、iPhoneでも同アプリによる無料通話・SMS送信が可能となった。
そして2021年4月30日よりiPhone 12シリーズ及びiPhone SE(第2世代)を正式に販売開始するとともに、それに先駆けて同年4月27日より楽天モバイル用のキャリア設定のデータが配信開始され、iPhone 6S以降+iOS14.4以降で正式に動作するようになった。 - auへのローミングは原則2019年10月1日から2026年9月30日まで実施すると公表されている。なお以前は「各都道府県内で楽天モバイルの人口カバー率が70パーセントを超えた時点でローミング終了」という契約がKDDI間となされていた。しかし、2023年4月に締結された新協定により一転してローミングの継続・拡大が公表され、これまで当初からKDDIのローミング対象外であった東京23区内・名古屋市内・大阪市内でも地下鉄駅構内や地下街内、一部の繁華街等対象を絞った状態ではあるがローミングを実施する方針に転換した。
楽天オリジナル端末
- Rakuten mini(楽天ミニ) 型式名:C330
- 2019年9月公開、2020年1月発売。楽天MNO用の端末として発売された。発売当初の価格は約19800円。中国のTinno Mobile Technologyが製造。物理SIMカードスロットは無く、eSIM(バーチャルSIM)専用の端末。SIMロックはかかっていないのでIIJ等のeSIMも使用可能。最大の特徴はなんと言ってもその小ささ。本体質量は79グラムしか無い。液晶は3.6インチ。おサイフケータイ(FeliCa)チップを内蔵。IPX2の防滴、IP5Xの防塵基準をクリア。しかしその分バッテリー容量が犠牲になっており僅か1250mAh、ガラケーに毛が生えた程度しか無い。
- 2020年6月にRakuten UN-LIMITとの同時契約で端末代1円というばらまき策をやったのもつかの間、利用者にも告知しない形で周波数バンドが異なる機種を発売していたことが判明。特に後期型の機種で使用可能なLTEバンドセッティングを日本の主要キャリアが使っているバンド1から北米で使われているバンド4に変えていたことで大ブーイングとなった。さらに技適申請の不手際や技適マークの表示誤りも発覚(それに加え最初期のモデルもバンドが異なることから、バンドの違いで合計3種類あることも判明)。これには流石に総務省から法令違反だということで大目玉を食らうことになった。
- 対応バンドはIMEIで判別することが可能。※IMEI…International Mobile Equipment Identityの略。国際的なシリアルナンバーと考えると良い。
前期型:IMEIが「351676110356708」まで。
中期型:IMEIが「351676110356716」~「351676110680487」の範囲内。
後期型:IMEIが「351676110682491」以上。
バンド | 1 | 3 | 4 | 5 | 18 | 19 | 26 | 28 | 38 | 41 |
前期 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |||
中期 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
後期 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
バンド | Ⅰ(1) | Ⅳ(4) | Ⅴ(5) | Ⅵ(6) | XIX(19) |
前期 | ◯ | ◯ | ◯ | ||
中期 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
後期 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
- Rakuten Casa(楽天カーサ)
- Rakuten BIG(楽天ビッグ) 型式名:ZR01
- Rakuten Hand(楽天ハンド) 型式名:P710
- Rakuten WiFi Pocket(楽天WiFiポケット) 型式名:R310
- Rakuten BIG S(楽天ビッグS) 型式名:3917JR
- Rakuten Hand 5G(楽天ハンド5G) 型式名:P780
- Rakuten Turbo 5G(楽天ターボ5G)
MVNOプラン(新規受付終了)
ドコモ | au | |
スーパーホーダイ | ○ | × |
組み合わせプラン | ○ | ○ |
スーパーホーダイ
ドコモ回線のみ利用可能な料金プラン。音声通話SIMのみ提供。料金(税込)・容量は以下の表のとおり。
プラン | S | M | L | LL |
高速通信容量 | 2GB | 6GB | 14GB | 24GB |
最初の1年目までの基本料金 ※楽天ダイヤモンド会員はここから更に550円引き |
1628円 | 2728円 | 4928円 | 6028円 |
2年目以降の基本料金 | 3278円 | 4378円 | 6578円 | 7678円 |
提供開始当時は縛り(最大3年間)があったが、新規受付末期には縛りが完全撤廃されていた。
国内の一般固定電話・携帯電話に対し番号の頭に「003768」を付けて電話をかける(専用アプリでも可能)と、通話開始から最初の10分間が何度でも無料になる。10分を超えた場合30秒11円かかる。
インターネットに関しては、低速通信の速度が他社よりも若干速いのが特徴。ユーザー自身で低速⇔高速の切り替えが可能で、低速モードにしている場合は高速通信容量を消費しない。低速モード時の最大速度は時間帯により異なる。以下のとおり。
最高速度 | |
12:00~13:00 18:00~19:00 |
300kbps |
それ以外 | 1Mbps |
組み合わせプラン
スーパーホーダイが始まる前のプランを楽天モバイルではこう称するようになった。音声通話対応SIMだけでなく、データ専用SIM、データ+SMS対応SIMも提供している。au回線はSMS無しのデータ専用SIMは無い(全てSMS標準付帯)。
これもスーパーホーダイ同様、新規受付末期には縛りが無くなっていた。
このプランでも低速⇔高速切替は可能だが、低速時の最大速度が200kbpsとスーパーホーダイよりも遅い。
データ専用 | データ+SMS | 音声通話対応 | |
ベーシック(高速通信容量無し) | 577円 | 709円 | 1375円 |
3.1GB | 990円 | 1122円 | 1760円 |
5GB | 1595円 | 1727円 | 2365円 |
10GB | 2486円 | 2618円 | 3256円 |
20GB | 4455円 | 4587円 | 5225円 |
30GB | 5995円 | 6072円 | 6765円 |
関連動画
関連項目
関連リンク
脚注
- *インタビューによると、DMMとは同業者ということもあり以前から交流はあったとか。互いに事業について模索していく中で今回の件に至ったという。
- *2020年4月時点では宮崎県宮崎市・西都市・児湯郡高鍋町・児湯郡新富町、長崎県五島市・西海市・南松浦郡新上五島町、鹿児島県阿久根市・薩摩川内市・いちき串木野市内が設置不可能だった。
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