標準型戦艦とは、アニメ「銀河英雄伝説」(石黒監督版)において、戦闘の主力として量産される戦艦のことを指す。
この記事では自由惑星同盟の標準型戦艦を扱う。
概要
標準型戦艦は、艦隊の中枢として数万隻規模で建造することを前提に平均的な能力を持たせ、量産に対応して画一的に設計された艦艇のことである。時代の流れと技術の革新に伴ってその姿を変えつつも、自由惑星同盟軍の主力としてその滅亡までの長きに渡って活躍した。
突出した能力を持たず、単艦の戦闘能力では旗艦級戦艦に及ばないが、主力艦として十分な能力をバランスよく載せた標準型戦艦は、会戦の主力としてその身を持って自由惑星同盟を守り続けた。
標準型戦艦に限らず、自由惑星同盟軍の戦闘艦艇は銀河帝国軍と戦闘することを主目的に建造されているため、基本的に実用一辺倒な艦であり(帝国軍艦艇は帝国や貴族の威信を示す役割を持っているため、外見も内装もデザインに気を配られている)、量産性を考慮してブロック式、モジュール工法を採用されている。また、大気圏降下能力も持たず、惑星との人員や物資のやり取りはシャトルを用いて行う。その代わり、艦外に通信アンテナやレーダーといった電子戦装備を設置する場所を多く取れるため、電子戦においては伝統的に同盟艦の方が帝国艦より優位にある。
本編中の標準型戦艦
本編中、つまり主に宇宙暦796年から801年にかけてのストーリーに登場する標準型戦艦。
少なくともエル・ファシルの戦いがあった宇宙暦788年には辺境の防衛艦隊においても量産艦艇として使用されており、半世紀ほどに渡って使用されているようである。ダゴン星域会戦以来、同盟艦の常である無骨で機能的な外見は大きく変わっていないものの、技術の進歩に伴う内部の更新は行われ続けている。
艦型は長方形、帝国艦のような下部の張り出しがない分エンジンは集中的に配置され、情報通信用の大型アンテナが突出している。艦首主砲は長距離中口径ビーム砲8門。その他、側面対空砲座多数、対艦ミサイル、戦闘艇スパルタニアン9機などを搭載している。
ちなみに、ライバルである同時期の銀河帝国の標準型戦艦と比較すると、艦の規模が小さいために防御力と単座式戦闘艇の搭載能力では帝国に劣るが、攻撃力(砲の威力と門数)と機動力、電子戦能力は同盟が決定的に勝るとされる。また、建造コストと量産性においても同盟が優位である(同盟艦は、良く言えば無駄がない、悪く言えば余裕がない)。
破壊される標準型戦艦
本編中では大抵において帝国軍が圧倒的に優勢であり、ヤンやビュコックといった同盟諸将と違い帝国側に奇策を弄する必要がないためか、帝国の標準型戦艦に比して同盟の標準型戦艦は真っ当に敵の砲撃の直撃を受けて破壊されることがほとんどである。
とはいえ、アムリッツァ前哨戦の様に被弾漂流した標準型戦艦がルフェーブル中将の乗るク・ホリンを巻き添えにして小惑星に激突するなど、僅かながら特殊な破壊のされ方をした例も見られる。
なお、標準型戦艦が破壊されることが多いのは艦隊を支える主力として戦闘の最前線に立っていたことを示すものであって、標準型戦艦は断じて雑魚などではない。
旗艦としての標準型戦艦
帝国軍と違い、同盟の標準型戦艦は基本的に分艦隊より大規模な艦隊の指揮能力を持たない。よって帝国軍のように正規艦隊を指揮している例は無いが、分艦隊旗艦としてはそれなりに活躍を見せている。また、辺境星域の警備艦隊や小規模な独立分艦隊でも旗艦として使用されている。
艦名 | 座乗司令官 | 備考 |
---|---|---|
グメイヤ | アーサー・リンチ | エル・ファシル星域にて降伏 |
シャムシュ | ラムゼイ・ワーツ | 第六次イゼルローン要塞攻防戦で撃沈 |
ベレノス | ザーニアル | |
ユリシーズ | ヤン・ウェンリー / ユリアン・ミンツ | 回廊の戦い以降 |
モートン艦 | ライオネル・モートン | 第八次イゼルローン要塞攻防戦時に座乗 |
標準型戦艦のバリエーション
同盟末期には、帝国領侵攻作戦の大敗による財政窮乏により標準型戦艦にある程度旗艦としての指揮能力をもたせた改良型が登場し、正規艦隊の副旗艦や分艦隊旗艦として数隻が使用された。
アバイ・ゲゼル
標準型戦艦を元に旗艦向けの指揮設備を設置、さらに攻撃能力を強化したタイプ。本来の標準型戦艦に比べて艦首部分が60mも延長されている。通信設備に関しても、艦後部に大型の通信アンテナがX字状に配置されたことで大幅に強化された。
マルドゥーク
標準型戦艦を元に分艦隊旗艦として改良再設計を行ったタイプ。レダ級巡航艦によく似た艦橋設備を持っており、艦体が若干延長されている。通信能力向上のため、艦首上部に超光速通信用アレイアンテナの入ったドーム状の盛り上がりを設置している。
独立部隊の旗艦として、サンドル・アラルコン少将が座乗した。
ムフウエセ
標準型戦艦を元に大幅に攻撃能力を強化したタイプ。艦首上部から左右に主砲ブロックを突出させ、従来の二倍を越える18門の主砲を設置した。また、分艦隊旗艦として指揮通信設備も強化されている。
第二次ティアマト会戦期の標準型戦艦
外伝「螺旋迷宮」中の第二次ティアマト会戦シーンに登場する、宇宙暦740年代頃に活躍したタイプの標準型戦艦。
艦後部、エンジンが非常に大きく、艦中央部付近から後部にかけて上方面への突出部があるのが特徴で、ダゴン星域会戦時の艦とも、本編時間軸の艦とも大きく違う、横幅が広く折れ曲がりの多い艦型をしている。艦首主砲は8門。
この時代においても、艦隊旗艦には旗艦級戦艦が当てられるのが通常であり、分艦隊ふくめ旗艦として登場した標準型戦艦は存在しない。艦名が判明しているのは、アレクサンドル・ビュコック軍曹が乗艦していたシャー・アッバスただ一隻。
ダゴン星域会戦期の標準型戦艦
標準型戦艦 Cosmic battle ship |
|
---|---|
就役時期 | 同盟初期 |
全長 | 605.6m |
全高 | 155m |
全幅 | 62m |
乗員 | 465名 |
宇宙暦640年に発生したダゴン星域会戦で使用された標準型戦艦。
OVAで数カット登場した。
第二次ティアマト会戦期の戦艦に比べ、本編時間軸の標準型戦艦に非常によく似た形をしており、同盟の滅亡まで続く同盟軍艦艇の建艦戦略の基礎が伺えるが、本編の戦艦ほど技術的に洗練されておらず、弱点も多い。
当時は艦隊の規模が現在より小さかったため、旗艦級戦艦は存在せず標準型戦艦が艦隊旗艦となっていた。この時期の標準型戦艦で艦名がわかるのはその内の一隻、同盟軍総旗艦としてリン・パオ中将が座乗したサンタイサベルのみである。
将来の標準型戦艦
帝国軍に新たなタイプの標準型戦艦の原型があったように、同盟軍でも未来を見据えて新技術を導入した標準型戦艦の計画があったものと思われる。アムリッツァでの大敗による財政窮乏のせいで通常の艦隊を揃えることすら難しくなったため新しい標準型戦艦が登場することは遂に無かったが、新世代巡航艦として建造されたレダ級巡航艦にそのイメージを掴むことが出来るだろう。
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