横山秀夫単語

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ヨコヤマヒデオ
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横山秀夫(よこやま ひでお)とは、日本小説家、元漫画原作者である。

概要 

1957年東京生まれ。上毛新聞社の記者だった1991年に「ルパンの消息」で第9回サントリーミステリー大賞佳作を受賞。作家デビューできると思って退社したが、受賞作が出版して貰えず、その後8年に渡ってフリーライター漫画原作アルバイトで食いつなぐ羽になる(その後『ルパンの消息』は2004年稿のうえで出版された)。

1998年に『陰の季節』で第5回松本清張賞を受賞し、ようやく作家デビュー(ちなみにそれ以前にフリーライターとしての著作が2冊、原作を担当した漫画の単行本が2冊出ている)。2000年に第2作『動機』で日本推理作家協会賞を受賞。第3作の『半落ち』が2002年ミステリーランキングを総なめにしたことで大ブレイクする。

作家になる前の新聞社の記者としての経験も生かした警察小説に定評があり、現在警察小説ブームの立役者。もともと警察小説といえば、ハードボイルドのように「組織にはあまり囚われず、孤高に活躍する刑事」といったものが多かった。一方、横山秀夫の警察小説は「警察組織の一員として、エリート組も含め皆のプライド・出世欲・保身がせめぎあう現場」を描くという点が決定的に異なる。例えば映画化された『半落ち』では、映画版では容疑者・梶聡一郎の悲哀が強調されているが、原作ではむしろ彼を巡る警察記者・検事のぶつかり合いがメインになっている。

警察ものは大半がドラマ化されており、特に『臨場』のドラマは高視聴率を記録し第2シリーズ製作映画化もされた。ほか『半落ち』『出口のない』『クライマーズ・ハイ』『64』が映画化されている。

短編の名手でもあり、著作は短編集、短編連作が中心。純な長編小説は『ルパンの消息』『クライマーズ・ハイ』『震度0』『64』ぐらいである。

『半落ち』では直木賞補となり受賞有と見られていたが、結末に関連する設定に関して選考委員の誤解によりケチをつけられて落選。このことに関連して一部の選考委員がミステリー業界と読者を非難する発言をしたことに対し、横山激怒して直木賞と決別宣言するに至った。なお、一部ではそれがければ『クライマーズ・ハイ』は受賞確実だったと言われている。

2005年まではかなりハイペースで作品を発表していたが、前述の直木賞落選騒動あたりから理がたたって体調を崩し、『震度0』を最後に刊行がパタッと止まる。それ以降は継続していた雑誌連載以外は、『臨場』ドラマ化の際に出たスペシャルブックに未収録短編が数本まとめられた程度で実質的に沈黙状態が続いた。

2012年、『64』(2004年2008年に連載)が大幅に稿された上で単行本化され7年ぶりに復活。各種ランキング切間際の刊行で単行本648ページの分量にもかかわらず、「このミステリーがすごい!2013年版、「週刊文春ミステリーベスト10」2012年度でともに1位となった。
しかしその後も刊行ペースは戻っておらず、2019年に『ノースライト』が出るまでまた7年いている。

作品リスト

基本的にどれから読んでも問題ないが、『顔 FACE』だけは『陰の季節』を先に読んでおかないとネタバレになるので注意。

  1. 平和の芽 りつぐ原爆沼田子ものがたり1995年講談社
  2. 出口のない 人間魚雷回天特攻作戦の悲劇1996年講談社マガジンノベルスドキュメント
    → 出口のない2004年講談社、全面稿→2006年講談社文庫
  3. 陰の季節1998年文藝春秋2001年、文文庫
  4. 動機2000年文藝春秋2002年、文文庫
  5. 半落ち2002年講談社2005年講談社文庫
  6. FACE2002年徳間書店2005年、徳間文庫
  7. 深追い2002年実業之日本社2005年ジョイノベルス2007年新潮文庫
  8. 第三の時効2003年集英社2006年集英社文庫
  9. 2003年双葉社2006年双葉文庫
  10. クライマーズ・ハイ2003年文藝春秋2006年、文文庫
  11. 踏み2003年祥伝社2007年祥伝社文庫
  12. 看守眼2004年新潮社2007年ジョイノベルス2009年新潮文庫
  13. 臨場2004年光文社2007年光文社文庫
  14. ルパンの消息2005年カッパノベルス2009年光文社文庫
  15. 震度02005年朝日新聞社→2008年朝日文庫
  16. 642012年文藝春秋2015年、文文庫[上下巻])
  17. ノースライト2019年新潮社2021年新潮文庫

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1 ななしのよっしん
2009/07/10(金) 18:44:03 ID: TCN6/1ik/f
1げと
ルパンの消息はマジでオススメ
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2 ななしのよっしん
2010/01/06(水) 07:49:57 ID: ZI4NAivbNN
文庫で60ページぐらいの短編を書くのがとにかくべらぼうに上手い。
『第三の時効』はまさに職人芸、もっと評価されるべき
若い人には横山作品では異色な青春小説の『ルパンの消息』がオススメ。

難点はどれを読んでも作が一緒なせいで個々の作品が印に残りづらいことだなw
どれも隙がくきっちりまとまるから尚更りづらいし。
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3 ななしのよっしん
2010/11/06(土) 00:45:31 ID: 47ktPX+BJo
「第三の時効」は素らしかった。
クライマーズ・ハイ」も良かった。実際に日航事故の取材に携わった人だから、描写がリアルだった。
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4 ななしのよっしん
2010/12/26(日) 01:25:14 ID: 1k2IHClZ2y
クライマーズ・ハイ補になった時の山本周五郎賞の選評よんだんだけど、とにかく各選考委員が残念残念だ、と書いていてなんともいえない感じに...

で出したとはいえ直木賞受賞は確実だったかどうかわからんよ。もちろん名作であることは間違いないと思うが。
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5 ななしのよっしん
2011/08/20(土) 01:06:19 ID: REvkFocle7
「陰の季節」を読んでみたら、かなり面かった。
他の小説にも手を出してみようかなー
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6 ななしのよっしん
2012/12/06(木) 01:28:46 ID: KWgzkRzewd
この人の作品はそれなりに安定してるのがいい
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7 ななしのよっしん
2013/07/07(日) 22:33:35 ID: xs+FYhXGEF
64はここ5年くらい読んだ小説の中で一番ガツンときた
クライマーズハイ格に第三の時効ミステリー要素も取り入れ全体的に完成度を高めたような、まさに集大成の名にふさわしい作品
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8 ななしのよっしん
2015/04/14(火) 02:13:43 ID: jhA/teRN7h
第三の時効の朽木さん見さん村瀬さんが好き過ぎる
もっとこの三人の話が読みたい・・・
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