橋とは
人や物が交差物・障害物を乗り越えるための建造物である。橋梁(きょうりょう)とも呼ばれる。
乗り越える対象となるのは主に川・海・湖・道路・線路などであるが、谷状の地形をショートカットする目的で建造されることもある。跳開橋・可動橋など水上交通への配慮や防衛に用いる場合もあれば、橋が壊れたり任意の場所で渡る際に臨時に架橋するものもある。
橋とは何であるか
橋とは愛である
古来より、「こと座のベガ星に恋するわし座のアルタイル星」や「向こう岸の竜の魔王を倒したい伝説の勇者の血を引く青年」などが川や海を渡れずぐぬぬ状態であったが、不思議な力を駆使して橋を架けることに成功し、己の野望を達成したと言われている。また、「サメを騙して海を渡ろうとして酷い目に逢った兎の逸話」や「愛の力で海を泳いで渡ったはいいが映画化までに相手の犬が死んでしまい撮影のためだけにやっぱり泳いで海を渡ってしまった犬の悲劇」など、橋が無かったことだけに起因する悲劇も数え上げれば枚挙に暇が無い。
そう、世間にはとかく障害物が多いものなのである。目的地までまっすぐたどり着ければ楽なのに、さまざまな阻害要因が我々の往来を邪魔しようとする。そのような困難に立ち向かうべく人類が発明した「会いたい」をカタチにしたもの、それが橋である。つまり橋は愛であると言うことができる。
ラブイズビューティフル
この世で唯一「愛」を具現化した存在であるといっても過言でない橋であるが、当然そのフォルムは美しさに溢れている。いや、正確には「愛であるがゆえに美しくなった」と言うべきであろう。
水害や地震といった災害で簡単に壊れてしまったり、耐用年数が短かったり、建設にお金や時間がかかりすぎてしまっては、とても愛を語ることなどできはしない。古来より人類はそう考え、多大な努力を橋のために捧げ、物理学という学問を発展させた。物理学の発展により、橋を造る技術は飛躍的に向上したのである。
優れた橋は力学的なアプローチがそのまま構造に表れるため、きわめてシンプルな幾何学模様と重なることが多い。シンプルな幾何学模様は美しい。故に、橋には「優れた設計のものほど美しい」という基本的な法則がある。また、優れた橋は「その橋を造った人物が何を目的としたのか」がひと目で分かるデザインとなりやすい。これも橋の美しさを知る重要な手がかりと言うことができる。
愛の探求者たち
このように、橋を知ることで我々は本当の愛を知ることができる。残念ながら、そのことを知っている者は決して多くないのが実情ではある。しかし、本当の愛を知るため、日本中・世界中の橋を追い求める探求者はまあそれなりにぼちぼちちょこっと気持ち程度は存在している。
ところで、あなたは「レインボーブリッジはなぜ吊り橋なのか」を考えたことがあるだろうか?レインボーブリッジの東側の長いスロープ・西側のループ、橋桁のトラス構造、わりかし低めの主塔、これら全てにちゃんとした意味があることをご存知だろうか?
橋について学ぶと、レインボーブリッジがなぜあのデザインとなったのかが理解できるようになる。すると他の橋についても見え方が変わる。この橋はなぜこの形なのか、この形によって掛け渡される愛は何であるのか。このような見方ができるようになれば、あなたの退屈な生活は一変するであろう。
橋の種類
用途による分類
陸橋(りっきょう)
川や海、湖などを渡ることを目的としない橋を陸橋と呼ぶ。なお、川などを渡ることを目的とした橋について特別な呼称は特に存在しない。
跨道橋(こどうきょう)
道路を越える目的の橋のこと。もっともポピュラーなものは横断歩道橋であろう。
跨線橋(こせんきょう)
線路を越える目的の橋のこと。鉄道マニアには絶好の撮影ポイントとなることが多い。
高架橋(こうかきょう)
地上に連続して架けられた橋のこと。特定の道路や線路を越えるためではなく、交差点や踏切の数を少なくすることを主な目的とすることが多い。地域の断絶を防ぐ効果もある他、騒音・振動対策としても有効。
道路橋
主に自動車用の道路を渡すことを目的とした橋。大抵は文字通り道路となっている。
鉄道橋
鉄道を走らせるための橋。無道床のデッキガーダー橋など鉄道橋特有の構造も見られる。鉄道道路併用橋と呼ばれる鉄道橋と道路橋の両方を合わせたものも存在する。
水道橋
水道が橋の上を通るもの。日本でよく見られる水道管だけが渡されたものを水管橋と呼んだりもする。ちなみに世界最大の吊り橋である明石海峡大橋は世界最長の水道橋でもある。
水路橋
水路を渡すためのもの。特に運河を通すものを運河橋と呼ぶことがある。橋の上を船が通る様は圧巻。
構造による分類
桁橋
橋脚と橋桁で構成される、もっとも標準的な機構の橋である。曲げモーメントによる応力が大きいため支間(橋脚の間の長さ)を大きくすることが難しく、橋脚が多くなってしまうことが多い。大きな船舶が下をくぐることのないような、幅の広い河川などによく架けられる。道路橋の場合、橋桁の支えである「支承(ししょう)」の上部の路面に伸縮対策のしくみがなされていることが多く、車で通行すると「ゴトンゴトン」と音がする。
力学的な工夫の余地はあまりない(というより工夫を施したものがトラス橋だったりアーチ橋だったりする)ため、構造的な見所は少ない。せいぜい支間(橋脚と橋脚の間の距離のこと)を長くするために橋桁の中央を薄くする程度である。非常にシンプルなスタイルであることもあり、欄干や街頭の美しさを語るにはもってこいの橋でもある。
ラーメン橋
橋脚と橋桁が完全に一体化している橋のこと、と考えて差し支えない。コンクリートで作られることが多い。桁橋が「橋脚を作って橋桁を乗せたもの」なのに対し、ラーメン橋は「ウルトラマンよりも大きな巨人がコンクリートでおもちゃの橋を作り、川の上に置いたもの」のような特性をもつと考えてほしい。剛性が強く地震などに強いと言われている。物理特性は桁橋と大きくは変わらないが、橋脚を斜めにしたり橋桁にヒンジを使用するなどの工夫ができ、構造によっては支間距離が200mを超えるような大きな橋を造ることも可能である。
山間部の高速道路を越えるための連絡路として採用されている例が多い(桁橋も多いが)。橋脚が斜めだったりVの字だったりするとマニアは「ほう・・・」と満足げな顔を浮かべる。また、支間が極端に広いラーメン橋を見ただけで突然指をさして笑い出したりすることもある。
なお、ラーメンはドイツ語で鋼節骨組という意味であり、おなかを空かせる必要はない。
トラス橋
トラス構造を橋桁に利用したもの。トラス構造とは三角形を基本単位とし、その組み合わせで構成される構造である。三角形を基本構造としているため、変形に強い。また、三角形の各辺はピン接合(つまり各接点で各辺が自由に回転できるということ)であると考える場合、各辺には圧縮・引張力のみがはたらくことから、力学的にも強度が保障されている(実際には剛接合されることが多いためこの限りではない)。単純な桁橋よりも支間を長くとることができる利点がある。
よく分からないという人はダンボールを思い出してほしい。ダンボールの断面構造こそ一番身近なトラス構造である。トラス橋がダンボールでできているわけではない。
トラス橋には種類が多く、大阪の港大橋に代表されるカンチレバートラスなどという馬鹿デカいものもある。トラス橋は特に鉄道橋などでおなじみの橋であり、標準的なものはあまり橋マニアには好まれないが、ただの桁橋の橋桁の下をトラス補強した安っぽい上路トラスなどを見るとニヤニヤできたりする。鉄道模型Nゲージなどで下路トラス鉄橋製品を上路トラスに改造して使うなどは日常茶飯事である。
なお、吊り橋などの橋桁にトラスが使われることもあるが、この場合はトラス橋と呼ぶことは少ない。また、旧余部橋梁のように橋脚のみがトラス構造である場合もトラス橋と呼ぶことはない。
アーチ橋
アーチ構造を基本とした橋。アーチ構造を形成することで曲げモーメントを小さく、圧縮力を大きくすることができる。支間を長くするための基本的なアプローチであり、形状もいろいろなものが存在する。
もっとも理解しやすいのは、錦帯橋に代表されるような橋桁そのものがアーチを描いているものである。日本以外でも伝統的な橋梁技術によく見られる形である(ただし、一般的に錦帯橋のような複数の橋脚をもつものは桁橋に分類することが多い)。現代では橋桁自体がアーチ状でないものが一般的である。橋の下部にアーチ状のアーチリブをもつ上路アーチや、橋の上部にアーチ構造をもつ下路アーチ、トラス構造を有するブレースドリブアーチなどがある。
長大な支間に虹を架けたような雄大なアーチ橋は景観にも優れ、それ自体が観光名所となることもある。水面上に上路アーチが2つ並ぶとメガネ橋などと呼ばれることも。トラスを有する下路アーチなどは、素人にはトラス橋と勘違いされてしまうケースが多いが(それが間違っているわけではないが)、アーチを中心とした吊り下げ型の力学バランスをとっていることは理解しておきたいところである。
吊り橋
支間を長くしたい場合の決定的な手法。メインケーブルと呼ばれる丈夫なケーブルを2点間に垂らすようにつなげ、その引張応力で橋桁を支える構造となっている。特に長大な吊り橋の場合は、メインケーブルの支点に主塔と呼ばれる巨大な塔とアンカレイジなどと呼ばれる巨大な重りを用いる。橋桁の保持にはハンガーロープと呼ばれるケーブルをメインケーブルから垂直に降ろすことが多い。メインケーブルとハンガーロープの接合をピンとすることにより、橋全体の応力をほぼ全てメインケーブルの引張力に変換できるところが最大のポイントである。このため、他の方式では到底不可能な1キロ以上にも及ぶ支間距離を確保することが可能である。
吊り橋はマニアでなくとも憧れる橋界隈の大スターであり、大きいものもボロいものも愛されやすい傾向にある。吊り橋構造の素晴らしさに感極まってドキドキしてしまい、一緒にいる異性に恋しているとうっかり勘違いしてしまう「吊り橋理論」なるものがその象徴といえるだろう。
吊り橋は特に「橋脚を作ることができない(難しい)」「橋の下を大きな船がくぐるため橋桁を高くする必要がある」このどちらかのケースに該当し、かつ橋を長くする必要がある場合に選択されることが多い。マニアは巨大な吊り橋を見ると、その橋がデザインされた経緯について悶々と妄想をはじめるものである。余談であるが、筆者は巨大なアンカレイジを見るだけで性的興奮をおぼえる。
斜張橋
吊り橋の一種とも、また吊り橋の構造を簡素化したともいえる橋。メインケーブルを廃し、塔から直接ケーブルで橋桁を支える構造である。このためケーブルは斜めに配置される。吊り橋ほどではないが、500mクラスの支間距離を実現でき、かつ(支間距離に対して)塔の高さも抑えられることが特徴。塔の数は何本であっても構わないところもポイント。ケーブルの張り方として放射型・ファン型・ハープ型などがある。
近年の日本では一大勢力になっており、大小さまざまな斜張橋が登場している。もはや食傷気味とも言えるが、それでも好きなんだから仕方がない。ハープ型が一番美しいという意見に賛同しつつも、並行でないケーブルを間近で見てファン型もいいなあなどとハアハア息を荒げたりする。最近はデザインの凝ったものも増えてきている。
エクストラドーズド橋
見た目は「塔の低い斜張橋」であるが、特性的には桁橋に近い。斜張橋よりも支間がさらに短くなるが、ケーブルの疲労強度が大きく、コストダウンをはかりやすい。支間距離200m程度までであれば斜張橋よりコスト的に有利になると言われている。これは斜張橋と比較して橋脚が多くなることを意味するが、橋桁を高くする必要がないのであれば塔の高さも大幅に抑えることができ、コストにも景観にも有利に働く可能性が高い。
現在もっともホットな橋の一つであり、さまざまな応用技巧が吟味・実行されている。撮り鉄の聖地、余部橋梁の新しい橋にも採用され、鉄道ファンにも認知されるようになった。今後、特に河川や湖水の横断橋としての採用が進むであろう。わくわく。
日本人と橋
日本は島国で、雨も多いことから川も多く、古来より多くの橋が架けられてきた。また、地震大国・台風天国でもあることから、架橋技術は世界でも有数のものとなっている。世界最大の吊り橋である明石海峡大橋をはじめとして、巨大で壊れにくい橋を量産している。日本の建築業界そのものに言えることであるが、リフトアップ工法やスライド工法などユニークで効率的な建築方法にも定評がある。
ただし、橋マニアからすると「日本の橋は地味」とする声もある。そもそも日本は国土が狭いため、ダイナミックな橋を造る必然性に乏しいという理由もあるが、海外の橋の大胆なデザイン、シンプルでないデザインにも学ぶものはあるだろう。また、海外の橋の建設に日本の技術が使われることが多々あることも忘れないようにしたい。
日本の橋、世界の橋
日本の橋
- タウシュベツ川橋梁
- 北海道河東郡上士幌町、国鉄士幌線の橋梁として架橋されたもので、現在は橋としては利用されていない。北海道遺産に指定された旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群の構成物件のひとつであり、そのなかでも最も有名な橋梁である。ダム湖の中にあるため満水時には湖底に沈み、その美しい形状も相まって「幻の橋」と呼ばれているが、場所が場所だけに保存活動を行うことができず、もはやいつ崩落してもおかしくないほど劣化が進行している。見たい人はお早めに。
- レインボーブリッジ
- ご存知、封鎖できたりできなかったりする東京の顔。吊り橋としては決して規模の大きいものではないが、これは上空を飛ぶ羽田空港発の飛行機に配慮した設計となっているため。また、湾内に進入する豪華客船等に対応できるよう、橋桁もかなり高くなっている。これらの要求により、橋へ向かう道路には長大なスロープとループが建設された。橋桁は2層構造のトラス橋で、上段は首都高速、下段は一般道とゆりかもめが走っている。また、下段は歩いて渡ることも可能。
- 日本橋(東京)
- 五街道の基点となる江戸の華。現在の日本橋は1911年に建設された洋風の二連アーチ橋で、日本各地へ向かう高速道路の基点であるのは今も変わらない。上空を高速道路が通っており、日本橋に空を復活させるプロジェクトも一時さけばれた。
- 横浜ベイブリッジ
- 横浜みなとみらいからよく見ることのできる日本でもっとも有名な斜張橋。こちらも上段の高速道路と下段の一般道で構成されている。完成時は夜景見たさに高速道路上で停車するフトドキモノが沢山いたという。
- 勝鬨橋
- こち亀などで有名な隅田川にかかる可動橋。かつては高さのある船が通る時に、中央部が跳ね上げられていたという。現在は交通量が増え、残念ながら動くことはない。しかし橋マニアから言わせれば、左右のアーチ橋の力強さを十分に堪能できる名橋であることは周知の事実である。
- 名港トリトン
- 名古屋港に3連続する巨大な斜張橋。赤・白・青と塗り分けられた塔が目印。伊勢湾岸自動車道という高速道路のものであるが、ルート的に第二東名と新名神を結ぶ道路として存在感が増してきている。
- トゥインクル
- 名港トリトンと同様、伊勢湾岸自動車道の一部となる巨大なエクストラドーズド橋。新名神の開通により、東京と大阪を結ぶ高速バスはこちらを通ることが多くなった。橋マニアとしては歓喜の極みである。付近にナガシマスパーランドという遊園地があり、巨大建造物ファンとしてはそちらも見逃せない。場内の観覧車やジェットコースターからトゥインクルを眺めるというのも悪くない。
- 港大橋(大阪)
- 大阪の港湾部に聳え立つ巨大なトラス橋。カンチレバートラスという構造で、トラス橋としてはありえないような支間長をもつ。筆者はこれを見たいが為に、海遊館前の観覧車に一人で乗ったことがある。
- 余部橋梁
- 撮り鉄の聖地として有名な景勝地。1980年代に起きた事故により立て替えの必要性が叫ばれ、つい最近新しい橋に立て替えられた。古い橋もそれはそれは素敵なものであったが、エクストラドーズド橋として建設された新しい橋もなかなか立派なものである。橋上から見えるエメラルドグリーンの海と撮り鉄の群れは何よりも美しい光景。
- 江島大橋
- 鳥取と島根の間に登場した日本最大の支間長をもつ桁橋。何もない空間に走りあがっていくその姿はまるでジェットコースターのようであると評されており、山陰一の観光スポットであると述べる橋マニアも多い。「江島大橋」で画像検索し、その神々しい姿を眺めてほしい。
- 錦帯橋
- 山口県岩国市の歴史あるアーチ橋。17世紀に建てられて以来、250年以上流失しなかった日本の架橋技術のシンボルである。デザイン的にも非常に優れており、景勝地としても名高い。
- 本州四国連絡橋
- 四国と本州を結ぶ3系統の橋グループの総称。神戸・鳴門ルート、児島・坂出ルート、尾道・今治ルートの3系統がある。多くの離島を経由する沢山の橋で構成されており、島間を結ぶ大型の橋はほとんど吊り橋か斜張橋で構成されている。中には明石海峡大橋や多々良大橋などの世界的に見てもきわめて巨大な橋も含まれており、橋マニアの天国として知られる。四国へのアクセスは非常に便利になったが、事業として成功しているかというとそうでもない。
- 関門橋
- 本州と九州を結ぶ自動車橋。日本の吊り橋史を語るには避けて通れない存在である。車で九州へ行こうとしたら必ず通らなければならないので、一般的な認知度も非常に高い。
- 池間大橋・来間大橋・伊良部大橋
- 沖縄県は宮古島の離島連絡橋3兄弟。日本とは思えないようなアメリカっぽい海上桁橋で、写真で見かける度に沖縄に行きたくなる雰囲気をもつ。伊良部大橋は2012年完成予定。
世界の橋
- ゴールデンゲートブリッジ(金門橋)
- サンフランシスコ湾の入り口にかかる世界を代表する吊り橋。30年以上もの間、世界一の支間長(1280m)を保持していた。オレンジ色の美しい景観は観光客にも非常に人気があるが、同時に自殺の名所としても大人気で、現地では対応に頭を抱えているという。サンフランシスコ湾には規模の大きな橋が多く、瀬戸内海と並ぶ巨大橋スポットとして知られている。交通量はアメリカの方が桁違いに多いが。
- ジョージ・ワシントン・ブリッジ
- こちらはニューヨークにある、世界でもっとも美しいといわれる吊り橋の一つ。メタルギアソリッド2のオープニングでスネークがバンジーする橋としても有名。ここではアメリカの歴史ある2つの吊り橋を紹介しているが、アメリカは他にも新旧多くの吊り橋がある吊り橋天国である。特にニューヨークにはマンハッタン橋、ブルックリン橋、ウィリアムズバーグ橋、クイーンズボロー・ブリッジなど19世紀~20世紀初頭に建てられたデザイン的にも歴史的にも価値のある橋がゴロゴロしている。いいなあ。
- タワーブリッジ
- ロビンマスクの必殺技としてもおなじみの、ロンドンのテムズ川にかかる可動橋。いかにもロンドンという風貌をしており、上記のアメリカの橋と比較するとその違いがよく分かる。ライトアップされた夜景はあまりにも幻想的で美しい。テムズ川も橋のテーマパークと言わんばかりに素敵な橋が揃っている。落ちることで有名なロンドン橋も現役だ。隅田川ももっとがんばってほしいものである。
- ハーバーブリッジ
- オペラハウスの後ろにある、いや、オペラハウスが後ろにある、オーストラリア・シドニーのシングルアーチ橋。アーチ橋としては世界でも最も有名でカッコいい橋の一つである。自動車の車線数が8つに線路が2本というやたら幅の広い橋でもある。
- ミヨー橋
- フランス南部のミヨーにある7つの主塔をもつ連続した斜張橋。橋桁の高さは最高270m、主塔の高さは最高343mに達すると言うなんともふざけたスペックをもつ。つまり、東京タワーよりも高い主塔に、横浜ランドマークタワーの展望台並の高さに橋桁がくっついているというわけだ。このような橋でも、高低差300m以上、幅2km以上の谷をショートカットする目的で造ったもので、その設計意図ははっきり見て取ることができる。この谷に霧が発生すると、まるで雲上の天空都市に造られたかのような幻想的な姿が見られる。
- 蘇通長江公路大橋
- 近年経済活動が活発な中国では大規模な架橋計画が相次いでいるが、その中でも記録的なものを一つ。2008年北京オリンピックの開会に合わせ、長江の河口付近に世界最長支間1088mを誇る斜張橋が架けられた。斜張橋のくせに主塔が300mもあったりケーブル数がやたら多かったりと見所が多く、2つの「A」が並ぶシャープでシンプルなデザインはなかなかに美しい。そもそも長江の幅が8キロ程度もあるため、大規模な橋を造る必然性は日本より高いと言えよう。羨ましい。
- ルースキー島連絡橋
- そしてこちらは2012年開通予定のロシアの斜張橋である。支間長1104mと蘇通長江公路大橋を超える規模になる予定だが、どうやら建設が遅れているらしい。2012年のAPECに間に合わせて急ピッチで工事をしているようだが、安全第一でお願いしたい。Googleマップで建設中の様子を見ることができた
のでリンクを張っておく。
- ラファエル・ウルダネータ橋
- こちらはベネズエラの斜張橋。最大支間長235mと規模的には大したことはないが、それをにも複数つなげ、斜張橋部分で1.5kmほどの長さとなっている。1962年竣工という斜張橋としては比較的歴史の古いものだが、デザインが何かスゴいことになっていて筆者のお気に入りである。星型のようなタワーのデザインも素敵だし、ケーブルをバラさないのも潔い。ゴツいのに脆そうなのもポイント。
- メッシーナ海峡大橋
- まだ未完成の橋である上に本当に建設されるかどうかも分からないものだが、イタリア南部シチリア島に世界最大の吊り橋を作る計画がある。支間長3300mというまさに別次元の建造物となる予定だそうだが、イタリアンマフィアの利権問題や景観問題などでイマイチ造るかどうかがはっきりしない。一時は取りやめになりつつもその後再び建設を決定した経緯もあるが、果たしてどうなるか。
- タコマナローズ橋
- 吊り橋史を語る上で外せないアメリカの橋。架橋後まもなくあっという間に崩壊してしまったことで知られる。この事故で犬1頭が亡くなったようだ。わんわんお(泣)。崩落の原因は設計上の限界からは程遠い少々の風であった。風により橋が自励振動したことで吊り橋の触れ幅がブランコのように大きくなり続け、最終的に崩壊を起こしたものとされている。この事故は後の吊り橋建築に大きな影響を与え、これ以降の橋桁にはトラス構造やボックス構造などで補強を行う対応がとられている。なお、この橋が崩壊する瞬間の映像はバッチリ残っており、YouTubeなどで簡単に見ることができる。ここニコニコ動画にもアップロードされている。
詳細はタコマ橋の項へ。 - ビスカヤ橋
- スペインのネルビオン川に架かる世界最古の運搬橋。1893年に建設され、2006年には世界遺産に登録された、が、橋とは認めん。あれゴンドラじゃん。
応急的に架橋する
特殊な例で、臨時に橋が必要になる場合もある。
- 自然災害や敵の攻撃によって橋が流されたり破壊されてしまった。
- 任意の場所で河川や塹壕(大きな溝)など渡らなければならない。(1)も含む。
…といった場合において、壊れたのが例え5メートル程度の小さな橋であっても非常に困る。
単純に通行不能で迂回が必要になるし、壊れた橋が被災地への最短距離かもしれない。迂回先の橋が遥か先にあるかもしれないし、戦場であれば迂回先の橋で敵が準備万端で待ち伏せているかもしれない。
仕方がないのでゼロから測量して材料を運んでクレーンを持ってきてコンクリートが流し込んで固まるのを待つ…なんて悠長な事はやってられないし、敵も待ってくれない。そういった際に応急的に橋を架けることも可能である。
陸上自衛隊の例でいえば架橋戦車、架橋車両、浮橋など。(※他国軍も同様の装備は持っている)
全長や架橋時間、最大通過可能重量は異なるが本物の橋を作るよりも短時間で橋を架ける事が可能である。無限には伸ばせないが一部は橋同士を連結させ延長する事も可能。
- 軽徒橋 - Wikipedia
通れるのは人間のみ、橋脚はフロート。
- 81式自走架柱橋 - Wikipedia
22.4tまで通行可能。水底に支柱を下ろす。連結して延長可能。
- 91式戦車橋 - Wikipedia
50tまで。戦車も通行可能。(約5分で展開できる)
- 92式浮橋 - Wikipedia
浮き橋。動力ボートもセット。連結して延長可能。渡し舟のようにも使える。
- 07式機動支援橋 - Wikipedia
60tまで。戦車も通行可能。
あくまで車両に乗るレベルであるため、さすがに海峡にかかるような長く巨大な橋などは代替できない。
東日本大震災の際には破壊された橋の代替として利用された実例がある。
破壊する
前述の逆で戦争など、特殊部隊や工兵部隊、レジスタンスによって意図的に橋を破壊する場合がある。
- 敵の侵攻や追跡、兵員輸送や補給(兵站)を遅延・妨害する。鉄道橋なども含める。
- 撤退時など、いざとなれば自国や自陣の橋を敵に利用されないよう破壊する場合もある。
- 完全に破壊できなくとも壊れかけの橋では重車両が渡れないため利用を制限させられる。
視点を変えると、自然の河川そのものを巨大な障害物としてしまう考えもある。
その他
熱帯雨林に生息するグンタイアリなど、大量のアリが抱き合って橋や梯子を作ることで進行する。
自然の野生動物などを交通事故から守る目的で、道路上に橋を設ける場合もある。
動物 橋 - Google 検索
重量制限のある橋など、大型車や2台以上の通行・行き違いができない場合もあるため注意。
映像や作品として橋そのものを遠景として映す場合もあるが、形態やカメラアングルによっても様々な顔を見せるため、橋の上を徒歩や車両で通る様子や攻防、転落や飛び込みを描くシーンまで様々。夕日や夜景も映える。
ショーや演出などで航空機が橋の下をくぐる場合もあるが、ゲームプレイなど隙間をくぐりたいだけの場合もある。高さのある橋梁はバンジージャンプなどのサービスを行っている場合もあるが、自殺の名所とされている場合もある。
中には小川に橋を架けず、道の部分を極めて浅い水深とした洗い越しなどの例もある。
洗い越し - Wikipedia
水上に向けて作られた桟橋など、船舶への乗降や積み下ろしに使われる。
大規模なものは高層建築物となりやすく、地表又は水面から60mを超えるものは航空障害灯が設置される[1]。橋脚などにレーダーの余計な偽像を防ぐための電波吸収材が塗布・配置されていたり、あさっての方向に電波が反射するよう特定の形状になっている場合もある。(一種のステルス技術でもある)
橋頭堡など、「橋を守る砦」「対岸(敵陣)への足掛かり」といった用語もある。
関連静画
関連項目
脚注
子記事
兄弟記事
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