橋本紡(はしもと つむぐ)とは、日本の小説家。男性。元ライトノベル作家で、現在は一般文芸で活動している。
概要
何ということのない日常をスケッチする、穏やかな青春小説、日常小説に定評のある作家。無類の猫好きで、作中には頻繁に猫が割と重要な形で登場する。料理好きでもあり、美味しそうな料理描写にも定評がある。
1998年、『猫目狩り』で第4回電撃ゲーム小説大賞金賞を受賞しデビューする。ちなみに同期は上遠野浩平と阿智太郎であり、2人がデビュー作をシリーズ化して電撃文庫初期の看板作家になる中でひっそりと沈黙する。
2000年から『バトルシップガール』シリーズを開始、全6巻にSPも出る人気シリーズとなって一定の立ち位置を確保する。そんな中、電撃hpに発表した読み切り短編「毛布おばけと金曜日の階段」が彼の作家人生を大きく変えることになる。それまでのSF系の作風とは異なる、ライトノベルとしては異色の“ファンタジー要素の限りなく薄い日常系青春小説”が意外な好評を博し、続編が書かれ2002年に文庫化された。それと平行して展開された『リバーズ・エンド』全6巻はSF要素が話の軸になっているものの、後の橋本紡の作風に連なる青春小説の色が濃く見え始めている。
2003年2月、電撃hpに掲載した「半分の月がのぼる空」が好評を博し、9月に文庫化され人気シリーズとなる。ドラマ化やアニメ化もなされ、ファンタジー要素の無い青春小説がライトノベルでも成功することを証明した。同時期には桜庭一樹や森橋ビンゴといった青春小説の書き手が台頭し、この系統の作品が静かなブームとなる。
2005年にはメディアワークスの推進していた電撃の単行本の一冊として『猫泥棒と木曜日のキッチン』を発表。2006年2月には新潮社から『流れ星が消えないうちに』を刊行して、活動の中心を一般文芸にシフト。『半分の月がのぼる空』の完結以降は完全にライトノベルからは離れ、『ひかりをすくう』『空色ヒッチハイカー』『月光スイッチ』『彩乃ちゃんのお告げ』『九つの、物語』『橋をめぐる』などの作品をハードカバーで発表している。
2009年、『もうすぐ』で山本周五郎賞候補となるが落選。2010年には『半分の月がのぼる空』が実写映画化され、それに合わせて作中の台詞を伊勢弁に変更するなど全面的にリライトした完全版上下巻が刊行された。
『流れ星が消えないうちに』や、『橋をめぐる』は模試や中学入試、高校入試の試験問題として使用された。
桜庭一樹と同様に、ライトノベルから一般文芸に転向して成功した作家であり、ライトノベル時代はほぼ黒歴史となっていることも共通。初期作品は現在では入手困難となっているものもあるが、『半分の月がのぼる空』以降の正史としての橋本紡しか知らない人には、是非初期作品にも触れて「人に歴史あり」ということを感じていただきたい。『猫目』『BSG』はともかく、『リバーズ・エンド』あたりは若い人には割とおすすめである。
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