『機動戦士ガンダムF90』とは、『機動戦士ガンダムF91』の外伝作品である。此処では派生作品も記す
概要
ざっくり言ってしまうとF91版『モビルスーツバリエーション』に当たり、ガンダムF90の設定などはプラモデルが初出である。
敵組織であるオールズモビルは一年戦争当時のジオン公国軍のモビルスーツをリファインした機体であるなど、ストーリー全体において『1st』ガンダムのオマージュが盛り込まれているのも特徴。
漫画はメカデザイナー・中原れい氏が手がけたモノとSD戦国伝シリーズの作者でお馴染み神田正宏氏が手がけたモノの二種類が存在するが、後者は単行本にはなっていない。
そのため『F90』の漫画というと、専ら中原れい版を指し、『Gジェネレーション』シリーズでもこちらのストーリーが扱われている。
ガンダムF90FF-ファステストフォーミュラ-
2019年6月26日、プレミアムバンダイのMG(マスターグレード)F90特設ページにて、『ガンダムF90FF -ファステストフォーミュラ-』が発表(以後「FF」)。MG「ガンダムF90AtoZプロジェクト」の一環として、F90のロールアウト直後の宇宙世紀0112年を中心の舞台としている。実に上記の中原版から27年の時を経て新規のF90のストーリーが明かされる事になった。
同時に1991年発売のSFCソフト「フォーミュラー戦記0122」とのミッシングリンクも兼ねており、作中の「インターミッション」で同作のシナリオも補完記述されている。ネーミングはF90の物語の「原初」である『ファースト』、ミッションパック試験部隊である『テスト』の合成と思われる。もちろん「ファスト(速い)」の最上級である「ファステスト」のダブルミーニングも込められているのだろう。
同作品はガンダムエース2019年8月号より連載開始。キャラクターデザインに『NT』の金世俊、メカニックデザインは大河原邦男・森本靖泰のオリジナルスタッフが参画。作画は今ノ夜きよし。ストーリー原案はイノノブヨシが担当し、第2部では小太刀右京がシナリオ協力として参加している。
宇宙世紀0122年、宇宙巡洋艦エイブラムはオールズモビルの執拗な追撃に際し、輸送中だったガンダムF90一号機を急遽起動。ベルフ・スクレット少尉の操縦で危機を脱した・・・帰還したベルフはF90の驚異的な性能に感嘆していると、整備主任のブラウン・ウッダー中尉の口からかつてのF90運用部隊「ファステストフォーミュラ」の名を知る事になる・・・0112年、サナリィから託されたガンダムF90二号機を運用するテスト部隊「チームB」から物語は始まるのであった。
キャラクター
機動戦士ガンダムF90
- デフ・スタリオン(声:関俊彦)
- 主人公。サナリィに所属する、ガンダムF90一号機を担当するテストパイロット。MS好きでありながら軍人をただの人殺しの輩と嫌う。F90のテストのため実験部隊に組み込まれるが、軍人嫌いの彼はそれを極度に嫌悪している。好青年そうな顔立ちだが、激昂したり、思い切りの良い面がある。「これは俺の力だぁぁ!」
- シド・アンバー(声:井上和彦)
- デフと同じテストパイロット。ガンダムF90二号機を担当していたが、オールズモビルに機体を奪われてしまうという大失態を犯す。楽天家で、失態に関しても愚痴りながら気にしていなかったが、代替機として用意されたギラ・ドーガ改を即気に入っている。
- ナヴィ(声:水谷優子)
- 本作のヒロイン。何故かファミリーネーム不明。連邦軍の戦術情報局所属のエリート士官。火星戦では囚われのヒロインとなる。ツンデレっぷりを魅せることがあるものの、Gジェネ魂では何故か魅力値のパラメータが低く、ユーザーからネタにされた。乗機はSTガンで、これでガンダムF90の実践データを収集していた。
- ノヴォトニー(声:菅原淳一)
- 艦長のクズ。主人公側の艦長でありながら、浅慮、狭量、つまるところ無能である。腐敗した連邦の象徴。Gジェネでは描かれていないが、原作では味方もろとも核ミサイルで吹き飛ばし、事態を終結させようとした。艦長どころか人間としても程度が低い。艦長がもっと有能ならボッシュの計画もまだ乱れていたかもしれない。
- ジョブ・ジョン(声:龍田直樹)
- 一年戦争でホワイトベースクルーだった人、まさかの登場。体は老いたが、サナリィに雇われガンダムF90の開発に携わるなど、ある意味大出世している。ガンダムF90強奪事件に際しては連邦軍の上層部にかけあってほぼ不問にしてもらうなどした。時代は前後するが、「FF」ではガンダムF90開発の総責任者として計画を推進する。更にF70キャノンガンダムに乗り込んで自らテストを試みるというトンデモない一面を発揮している。
- ボッシュ(声:中田譲治)
- 連邦軍大尉にして、デフ達の上官。第二次ネオ・ジオン抗争に参加し、アムロと一緒にアクシズを押した過去を持つ。が、実はそんなガンダムに魅せられて人生を狂わせてしまった男。僕もガンダム欲しい!という理由だけで連邦軍を裏切り、オールズモビルと内通までする。そして、F90二号機を頭のアンテナを取った上で赤系のカラーに塗り替えて愛機としてしまうという、少年の心を持ったダメな大人。「これぞガンダム、悪魔の力よ!」
- …と、連載時のあまりに短絡的とも取れる言動から半ばネタキャラとして嘲笑されていたのだが、F90FF第2部(26話)にて「ボッシュ・ウェラー」というフルネームと、さらにZガンダムのカラバの頃からアムロと共に戦った過去が語られる。これによりガンダムを求め連邦軍を裏切り、悪魔の力と表現した確たる動機があるのではないかという考察が生まれ、彼の評価を一変させた。
機動戦士ガンダムF90FF(第1部)
- パッツィ・アンゲリカ
- 「FF」主人公。サナリィに雇われたフリーランスのMSパイロット。31歳で一子の母という歴代ガンダムパイロットでも稀有な存在。0112年にロールアウトされたF90・2号機のテストパイロットを担当し、様々なミッションパックを運用。複雑な火器管制・特性が全く異なるミッションパックをを装備するF90を「気を遣う機体」と称しつつも巧みに乗りこなせる技量は極めて高い。
- リヴ・アンゲリカ
- パッツィの息子。13歳。パッツィのF90の試験に同行し、彼女に危機が迫ると「何かを感じ取り」、また「聞こえないはずの声」が聞こえるという…
- ギデオン・ブロンダン
- 地球連邦軍のパイロットで中尉。パッツィに相対するアグレッサーの役目を努め、F89を駆ることになる。
- 第2部では「ファステストフォーミュラ」に転属。MS隊隊長とディル・ライダーの後見人を務めることになる。乗機はやはりF89。
機動戦士ガンダムF90FF(第2部)
- ディル・ライダー
- 「FF」第2部の主人公。連邦軍の特務部隊「ファステストフォーミュラ」に所属する謎のパイロット。16歳で階級は准尉。なぜかF90をまるで知っているかのように乗りこなす。ギデオンは彼が「ある少年」の成れの果てであることに感づくが…。
- ウスライ・アミエ
- 「ファステストフォーミュラ」のオペレーター。階級は少尉。豊満な身体で、母性を強く持つ眼鏡女性。ある事情で親のいないディルの母親代わりとなっている。
- ヴェロニカ・ヴァーノン
- 「ファステストフォーミュラ」を監視する連邦別部隊「ウジャト・アイズ」の女性士官。MS隊長で階級は中尉。乗機はハーディガンの先行試作機であるGカスタム。
- かつてMSA-120の開発段階から参加していた過去を持ち、F90との模擬戦でパイロットを務めていた。その結果から「ウジャト・アイズ」の上官からはパワハラ的扱いを受けているが、本人は納得しておりディルが駆るF90に対しても賛辞を送っている。
フォーミュラー戦記0122(インターミッション)
- ベルフ・スクレット
- 「フォーミュラー戦記0122」主人公。オールズモビルとの戦闘で半ば強引に乗り込んだF90で戦い、その性能に驚愕することになる。「FF」の物語は彼がウッダー技術主任から聞かされるという形をとっている。
- アンナフェル・マーモセット
- ベルフの恋人であり、「フォーミュラー戦記0122」のヒロイン。ジェガンのパイロット。後にオールズモビルとの戦闘で消息不明となり、戦死扱いとなる。この「FF」コミックでは「望まれない形で発見された」と遠回しに語られ、死亡が確定している。
関連動画
関連商品
ファステストフォーミュラ
関連項目
- F90
- 機動戦士ガンダムF91
- フォーミュラー戦記0122(引き続きF90とオールズモビルが登場)
- シルエットフォーミュラ91(本作と同じくF91外伝作品)
- 赤い光弾ジリオン(Gジェネにおける声優ネタ)
- スーパーロボット大戦α(ヴェスバー装備のF90(1号機)が隠し機体として登場)
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