戦う意思が 未来を変える。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』とは、2004年から2005年にかけて放映されたサンライズ制作のテレビアニメである。機動戦士ガンダムSEEDの続編にあたる。
通称「種運命」。アンチ寄りの略称として「種デス」「種死」(デスティニーを略→デス=死)もある。
概要
監督 | 福田己津央 |
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シリーズ 構成 |
両澤千晶 |
音楽 | 佐橋俊彦 |
制作 | サンライズ |
製作 | サンライズ 毎日放送 |
話数 | 50話 |
前作から2年後を舞台に、再び巻き起こる戦火に翻弄されつつも立ち向かう人々を描く。前作では序盤の敵陣営だったZAFTの人々が中心ではあるものの、序盤の終わりごろからはオーブ所属のアークエンジェル隊も第二の中心として描かれる。主人公は新キャラクターのシン・アスカだが、前作の主役だったアスラン・ザラとキラ・ヤマトも実質的な第2・第3の主人公として描かれている。むしろ終盤ではシンとキラの主役度合いが入れ替わっている感もある。
前作は『機動戦士ガンダム(1stガンダム)』のオマージュ要素が強かったが、本作では1stの続編たる『機動戦士Ζガンダム』のオマージュ的要素が目立つ(ただし監督等はこれを否定している)。
前作の制作時点では続編の構想はなかったらしいが(一応、劇場版構想はあったらしい)、前作が当時低迷していたガンダムシリーズの人気を再燃させる好評を得たこともあり、前作終盤に製作が決定。ちなみに宇宙世紀シリーズ以外のガンダムシリーズでは初めて、そして現状唯一の「分割クールではない単独番組としてテレビ放送された続編シリーズ」でもある。
前作の人気を引き継いで世に出た本作は、やはり爆発的な人気を獲得。各種売上などの数値実績では前作を凌ぎ、ガンダムブランドを完全に復活させた。本作で取られた制作手法は、以後暫くアニメ業界において採用される機会が多くなった。
その一方、放送当時の視聴者には知り得ない事情ではあったが、短すぎる制作準備期間のしわ寄せが中盤あたりから色濃くなってくる。更にシリーズ構成とメイン脚本を担当する両澤千晶の健康状態が悪化(2002年ごろに子宮筋腫と卵巣嚢腫に罹り、前作終了後に子宮と右卵巣の摘出手術を受けている)していたことも合わさって、シナリオ脱稿は遅れ気味になり、作画監督が自身のブログで制作環境を批判する投稿を行うほど、現場は混乱していたようだ。
バンク映像や回想シーンを多用する(せざるを得ない)悪癖は相変わらず、更に総集編まで増加。シナリオも良く言えば激動、悪く言えば判りづらく行き当たりばったりに見える展開で「多くを語らせず演出で魅せる」福田演出と両澤脚本も理解のしづらさに拍車をかける。だんだんシンが悪役側のように、キラ達が絶対的な正義の味方のように変わったようにも解釈できる演出は、ファンの増加と同じくらいのアンチを呼び込んだ。そして最終回に至っては戦闘シーンのほぼ全編がバンクな上に、話も不公平かつ未解決で終わってしまい、当時のネットコミュニティは大荒れになった。現在の目から見ると完全にアウトなスタッフへの中傷も多く、シン役の鈴村健一はそのことをぼやいている。
完結から再評価まで
最終回については本放送から3か月後、深夜帯放送された特別編で補完され、完全ではないにしろまとまった展開に訂正された。しかし当時組の全てがそれを見届けたわけではなく、そもそも最終回に至るまでの展開はそのままなので、本作に対するネガな印象が抜けなかったガノタも多かった。以後、10余年ほどの間、『SEED』の話題は「出すと荒れる」腫物扱いをうけることになる。
制作陣や、関連書籍・ゲームのスタッフも思う所があったようで、以後のSEED外伝や客演作品では、テレビ版で描写不足だったところの補完や追加解釈が盛り込まれたり、不遇だったキャラ(特にシン)のIF展開が気持ち多めに描かれていた。そうした各作品におけるフォローのおかげもあって、徐々にではあるが、冷静にテレビ版を再評価する動きも一部で起こり始めた。元々全体の流れを追うと「うーん」となるだけで、要所要所はなんだかんだ面白いし、考察のしがいもある味わい深い作品でもあるのだ。深堀りした結果、信者間で論争になることもまれによくあったが。
2013年に放送されたHDリマスター版では作画の整理が行われ、本放送と特別編を複合した新たな最終回が設けられたことで、更に再評価の流れが加速。元々アンチと同じくらいファンの多い作品でもあり、年月の経過によるガンダムシリーズ全体のファン層の入れ替わりもあって、だいぶ落ち着いた目線で語られることも増えた。
2024年には、両澤氏の逝去もあって長らく途絶えていた劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が満を持して公開される(公開までの経緯は『機動戦士ガンダムSEED』を参照されたし)。『運命』で描かれたものを更に掘り下げ、欠けていたものを補完したこの作品は、『SEEDシリーズの続編』としてのみならず、事実上の『運命完結編』として、当時を知るファンに温かく迎えられたのだった。
あらすじ
C.E.71年6月。地球・プラント間の戦争は激化し、地球の中立国オーブも戦果に覆われる。避難の途中だったシン・アスカ少年は、攻撃に巻き込まれ最愛の妹と両親を目前で失う。
それから2年がたった、C.E.73年10月。地球とプラントは停戦条約を結んだが、戦争の火種はくすぶり続けている。父の後を継いでオーブの代表首長となったカガリ・ユラ・アスハは、名を変えたアスラン・ザラを護衛につれ、プラント最高議会議長ギルバート・デュランダルとの秘密会談に臨んでいた。
その最中、一同が会するコロニー・アーモリーワンは地球軍の特殊部隊に襲撃される。窮地に陥るカガリとアスランの前に、ザフトの新鋭機インパルスが飛来する。そのパイロットは戦争を憎み、誰かを守れる力を欲してザフトに入隊したシン・アスカだった。
やがて戦争を望む者達の暗躍により、地球・プラントは再び開戦する。過去のトラウマに苛まれ、ただひたすらに敵を討とうとするシン。圧力を強める地球軍と突き上げてくる首長への対応に苦慮するカガリ。父の呪縛を祓うべくザフトに復隊するアスラン。そして暗殺者に襲撃され、再び戦場に戻る決意を固めたキラ・ヤマトとラクス・クライン。それぞれの進む道は交錯し、激しい火花を散らすことになる。
主な登場人物
- シン・アスカ (声:鈴村健一)
- 主な搭乗機:インパルスガンダム、デスティニーガンダム
- 当初の主人公。いつの間にか悪役に。自分の家族や妹を亡くしたショックでオーブ不信になり、自分を保護してくれた軍人の勧めでプラントに渡り、ザフトに入隊。
- ステラァァァァーーーーーーーーーーーー!!!
- ステラ・ルーシェ (声:桑島法子)
- 主な搭乗機:ガイアガンダム、デストロイガンダム
- ガンダムシリーズ伝統の強化人間系ヒロイン。どうなったかは声優で察してもらいたい。
- キラ・ヤマト (声:保志総一朗)
- 主な搭乗機:フリーダムガンダム、ストライクフリーダムガンダム
- 前作の主人公で本作の主人公。「キラが主人公です」って監督が言っていたから間違いない。(最終回のキャストでも一番上にキラ・ヤマトって書いてあったし)
- アスラン・ザラ (声:石田彰)
- 主な搭乗機:セイバーガンダム、インフィニットジャスティスガンダム
- 元ザフトのエース。アーモリーワンにいた事がきっかけでザフトに復隊するが…… 。(監督達が言うにはもう一人の主人公らしい。シン涙目……)
音楽面・主な楽曲
放映開始直前に出された前作の挿入歌である「暁の車」がファンの要望により シングルカットされオリコンチャート10位に来ることから始まる。前作からすれば音楽のヒットはある程度の予測が出来るが連発する事から始まる。ちなみに 2004年後半からは当作品、同時期の新番組であるBLEACH、人気のNARUTOというSMEのアニメトロイカ体制で挑むことになるが ここでは当作品のみの扱いに留める。
第1クールでは前作のオープニングを」担当したT.M.Revolutionと玉置成実がそれぞれOP・EDに起用される。まさにここから音楽面でのムーブメントが始まる。まさにアニメのゴールデンタイムと言うべき土6で放映という事もあり注目され、OP1「ignited-イグナイテッド- 」がリリース。この週間チャートで世間は驚愕する。なんと当時2週連続1位で社会現象となっていたORANGE RANGEを抑えて初登場1位となった。(トロイカ体制で彼らのグループはBLEACHのOP1も) ちなみに彼自身としては「HOT LIMIT」以来実に6年半振りのオリコン1位で尚且つオリコン通算900作品目の1位でありガンダムシリーズでは史上初めての1位ともなり森口博子や TWO-MIX、西城秀樹でさえも成し遂げなかった快挙を達成する。翌週発売されたED1はオリコン2位(1位はORANGE RANGEの返り咲き)、OP1が5位という順位となり玉置成実自身も過去最高の売上を記録する。
第2クールでは180度変わり新人HIGH and MIGHTY COLORと一般層には知名度皆無だった有坂美香を起用される。有坂美香は無限のリヴァイアスと十二国記の主題歌を担当しアニメファン層には一定の知名度はあったが、一般層には皆無だった。しかしこの2つもまたヒットを飛ばしPRIDEは無名の新人としては異例のオリコン2位にランクインし当年の日本レコード大賞新人賞を受賞する。後にも先にも日本レコード大賞でガンダム関連曲の受賞はPRIDEのみである。Life Goes onは有坂美香自身が初めてデイリーチャート1位・週間チャートでは4位となり過去最高順位を記録。両者とも音楽番組への出演も多くなりスマッシュヒットとなる。
これに味をしめたSMEは第3クールでさらなる新人を投入する。平成生まれの新人高橋瞳とアニメトロイカ体制によりBLEACHでED1を担当していた新人Rie fuを起用する。平成生まれの新人が前作で同じ新人でデビューした玉置成実並の順位の期待と1位→2位と続いた順位への重圧が彼女を襲ったが、なんとここでオリコン初登場1位を記録し、平成生まれソロアーティストでは初めて1位を獲得し近藤真彦・内田有紀に続く新人ソロアーティスト初登場1位を記録。翌週発売されたED3はRie fu過去最高のオリコン5位を記録。各種メディアではアニメタイアップで奇跡と言える順位が連発した事により当作品及び担当アーティストの特集が軒並みに組まれ「ガンダムに起用されたアーティストは軒並みヒットを飛ばす『ガンダム神話』」と称する言葉もミュージックステーションで発生する程であった。
第4クールではアニメタイアップは初となるCHEMISTRYと前作EDを担当したSee-Sawを起用する。OP4はSMAPがいた事も関係しオリコンは2位となる。ED4は前作EDであるあんなに一緒だったのにを上回り4位となる。尚、挿入歌は暁の車と同じ製作陣で作られた「焔の扉」はガンダム挿入歌では初となるデイリーチャート1位・週間5位を記録し話題となり同枠の後番組「BLOOD+」へと繋がりを託す事となる。
こうして2004年からの1年間。DVDも売れ、主題歌も売れ、ガンプラも売れたムーブメントは完結した。尚、主題歌を集めたコンプリートベストアルバムはアルバムでオリコン1位になった。
※ちなみにSMEアニメトロイカ体制によりガンダム終了後に当番組でデビューしたHIGH and MIGHTY COLORはBLEACHのOP3、高橋瞳はBLOOD+でOP1をそれぞれ担当しそちらでもスマッシュヒットを飛ばす。この新人やブレイクしていないアーティストを主題歌に起用する商法は他番組でも使用されていく事となり(ジン・UVERworld・いきものがかり・サンボマスター・SunSet Swishなど)そのSMEアニメトロイカ体制はどんどん拡大していき交響詩篇エウレカセブン・コードギアス・銀魂・BLOOD+なども加入しソニーミュージックアニメフェスというイベントを開催し、アーティスト間でも重複してテーマ曲を担当するようになっていった。
- ignited-イグナイテッド- … 歌:T.M.Revolution
- Reason … 歌:玉置成実
- PRIDE … 歌:HIGH and MIGHTY COLOR
- Life Goes on … 歌:有坂美香
- 僕たちの行方 … 歌:高橋瞳
- I Wanna Go To A Place... … 歌:Rie fu
- Wings of Words … 歌:CHEMISTRY
- 君は僕に似ている … 歌:See-Saw
関連動画
関連項目
- ガンダムシリーズ一覧
- ガンダムシリーズの関連項目一覧
- ガンダムシリーズのMS・MAの一覧
- 機動戦士ガンダムSEED
- 機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER
- 機動戦士Zガンダム
- アニメ作品一覧
- スーパーロボット大戦シリーズ登場作品の一覧
- ハイネ・ヴェステンフルス
- フェイズシフト装甲
- いくら綺麗に花が咲いても、人はまた吹き飛ばす / いくら吹き飛ばされても、僕らはまた花を植えるよ
- 戦争はヒーローごっこじゃない!
- この、馬鹿野郎!
- 毎日放送制作土曜夕方6時枠(土6)
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