死柄木弔(しがらき とむら)とは、漫画『僕のヒーローアカデミア』の登場人物である。
概要
『オールマイト…平和の象徴…いないなんて…子どもを殺せば来るのかな?』
本名:志村転弧(しむら てんこ) 誕生日:4月4日 年齢:20歳 身長:175cm
好きなもの:なし 性格:子供大人 個性:崩壊
この項目は、ネタバレ内容を多く含んでいます。 原作未読・アニメ見視聴の方はご注意ください。 |
敵連合のリーダー的存在。グレーのボサボサな髪に細めの体躯をしている。
顔面と後頭部に一つずつ・首に二つ・両肩に一ずつ・両腕に四つずつと、合計14個もの「手」を上半身のいたるところに付けているのが最大の特徴。おかげでついたあだ名が手マン。ちなみにこの「手」は着脱可能であるが、その用途は今の所不明。イラつくと首をガリガリかく癖がある。
主人公・緑谷出久にとっての宿敵であり、作中では出久達がヒーローとして日々成長していくように、それと並行して死柄木弔もまた様々な経験から多くのことを学び、悪の支配者として成長していく様が描かれている。そのため、敵(ヴィラン)側の主人公という立ち位置になっている。
死柄木弔という名前、触れたものを崩すという個性は戸籍、個性登録届ともに登録されていないため、彼は無戸籍で偽名という所謂「裏の人間」である。
顔の大部分が「手」によって隠れているためほとんど表情が見えないが、時折垣間見える赤い目は狂気じみており、謎の多い行動と相まって非常に不気味な存在。USJ急襲時の1ページ丸々ドアップはトラウマレベル。
その素顔は上唇が無く、歯がむき出しで、下唇はガサガサに萎れており、両方の口が裂けた恐ろしい風貌だった。
悪党として素顔は隠すことは重要だが、それに加えてこの恐ろしい口元を隠す為に手のマスクをしていると思われる。
彼の吹き出しは基本震え声のように線が震えたものになっており、フォントもホラー漫画で使われるような特殊なものが使われている。
ヒーローとその卵の巣窟と言える雄英高校に急襲をしかけるという無謀さ、「個性不明」というアドバンテージを自ら放棄するように脳無の個性を嬉々として語る、苛立つと露骨に態度が悪くなる等、節々に精神的幼稚さが見て取れる。 一方で急襲は用意周到に計画されたものであること、自身の個性の詳細は一切明かさず、脳無の個性解説も相手の行動を誘導する意図を含めたものであること、イレイザー・ヘッドの個性を完璧に分析したこと等、非常に優れた頭脳を持っているという一面も見受けられる。 これらを踏まえて、オールマイトは死柄木の人物像を「幼児的万能感の抜け切らない“子ども大人”」とプロファイリングした。
「ゲームオーバー」「コンテニュー」「チート」のようにゲーム用語を多用しており、前述の精神的幼稚さと合わせて犯罪をゲーム感覚で楽しんでいるような節がある。また平和の象徴の威厳を崩すためと称して女の子の顔面を嬉々として狙う、本心では欠片も思っていないような嘘を平気でつく、同志である黒霧ですら失敗したら殺すと発言していたりすることからサイコパス的な要素ももっており、まさに「無邪気な悪」と呼ぶにふさわしい存在である。
ヒーロー飽和社会となった現在においてそれは多大なカリスマ性を秘めており、実際に多くのチンピラが彼に従ったほか、その素質に目を付けたものもいる。
先生ことオール・フォー・ワンとはかなり深い関係にある様で、彼にとっての「先生」は、出久にとってのオールマイトかそれ以上の存在と思われる。
当初は自分の感情の赴くままに犯罪を繰り返し、物事が思い通りに進まないことに強い苛立ちを見せていたが、ステインとの接触、緑谷出久との対話を経た事で、オールマイトを否定することに己の信念を見出す。 この時期からは不安定ながら精神的に芯の通った様子を見せており、以降は目的のためには多少の困難を苦としない忍耐強さが見られるようになった。
個性
個性は「崩壊」。手に触れたものが「崩れる」という強力なもの。
イレイザーヘッドの肘を崩したほか、強固なことで有名な雄英高校のセキュリティーを粉々に崩していることから、生物・機械等相手を選ばず発動する個性の様子。ただ、砂や粉など、元から不定形なもの、粒子状に崩れているものには対処できないという弱点もある。
AFOによると、この個性は両親の遺伝に由来しない「突然変異」によって生じたものであるという。この「突然変異」という表現が使われている個性は、この他には壊理の「巻き戻し」しか存在せず、全人類の8割が超常能力を持つ超人社会の中でも、極めて異質な個性であると言える。
異能解放軍との戦闘において、指が一本でも触れれば、触れたものに接触する全ての物体に対して無差別に効果を作用させることが可能になる「伝播する崩壊」に個性が覚醒。というか、これまではは本人が無意識でセーブしていたにすぎず、真のスペックを取り戻したことになる。
ひとたび個性を発動すれば、死柄木の手からそれに連なるあらゆる物体に崩壊が伝播してゆき、死柄木を中心とした円形の範囲内に存在する全てのものを塵に変えてしまう。
その威力は自身の意思に比例するらしく、崩壊の伝播をフルパワーで発動すると町の一角すら巨大なクレーターに変える。
フルパワーを使った場合は反動が自身の腕にまで及び、自身の肉体もダメージを負ってしまうという弱点も生じることとなった。
ドクターの改造手術を受けた後は複数の"個性"が付与されるようになり、他人の個性を奪い、自分のものとする「オール・フォー・ワン」も使えるようになっていた。むしろ、死柄木に移植されているこれこそが本来の「オリジナル」であり、先代AFOが使っていた個性はドクターの手によって複製された個性だった。
こうして、デクがオールマイトから「ワン・フォー・オール」を継承したのと同じような状況となったのだが、実はこの個性には先代AFOの意識が宿っており、このため徐々にAFOに意識を乗っ取られてしまうことに・・・・・。
ビジュアル
初期
手を模したマスクで顔の大部分を隠されているが、この手は死柄木にとって特別な存在であり、全身に身に着けた手を「(家族の)みんな」、特に顔面を覆う手については「お父さん」と呼び、不用意に他人に触れられると激しく感情を取り乱す様を見せている。これらは一見、死柄木を精神的に安定させるお守りであるかのように見えるが、同時に過去のトラウマを象徴するものとして、彼の心の中の破壊衝動を増長させる役割を持っていることが後に明らかになった。
服装はラフで、ポケットの多い黒ベストに黒いズボン、オレンジに近い赤色のシューズを身に着けていた。
神野の悪夢以降
黒いロングコートを着用するようになり、ミディアム程度であった髪の長さが伸びている。
泥花事件以降
黒いスーツとファー付きのコートを身に着け、個性の覚醒と同時に髪の色が変化しており、以前は青白かった髪の色が、この時期以降は色素の無い純白色となっている。先の戦闘で失った左手の親指から中指にかけては義指を装着。家族の手の大部分はリ・デストロとの戦闘中に消失したが、奇跡的に一つだけ残っていたものを顔面に取り付けている。もっとも、「ただの飾り」と称しており、実際に手を外した状態でも、以前のように精神的に不安定になる様子は見せなくなっている。
全面戦争以降
これまでずっと不安定な彼を支え続けてきた『家族の手』すらも、破壊の権化としての自己を確立した死柄木にはもう不要なものとなり、殺害したエクスレスの赤いマントを奪い取って黒いスーツの上に羽織るようになる。また、AFOが生来持っていた"個性"『オール・フォー・ワン』のオリジナルを継承した証として、両掌に黒い孔が出現している。
死柄木弔:オリジン
本当の名前は「志村転弧」。7代目ワン・フォー・オールの継承者であり、オールマイトの先代でもある志村菜奈の孫である。幼い頃の転弧は同世代の多くの子供たちと同じように、ヒーローに対して純粋な憧れを抱くごく普通の少年だった。家族の愛情や経済的にも恵まれ、表面上は何不自由の無い生活を送っていた。
しかし、父親の弧太朗は幼い頃に菜奈によって里子に出されたことで母親の愛情を受けられないままに育ち、ヒーローを忌み嫌う大人へと成長していた。ヒーローになりたいという転弧に対して強く当たり、優しかった母親も祖父母も、そのことについてだけは転弧の味方になってはくれなかった。
ある日、姉の「華ちゃん」の手引きによって祖母がヒーローだったことを知ってしまう。
それを知った弧太朗は感情を爆発させ、とうとう暴力を振るい、華も思わず転弧に罪を擦り付けてしまう。 家を閉め出され、一人泣く転弧は誰も助けてくれない絶望から、思わず家族に対しての「憎悪」を口にしてしまう。すると、それまで無個性だった転弧に「崩壊」の個性が目覚め、意図せずに愛犬、姉、母、祖父母を崩壊させてしまう。ショックのあまり髪色も元の黒色から今の色へと変化した。その光景を見た父親に棒で頭を殴られて初めて明確な殺意を持ち、父親の弧太朗を殺害。
その後、行く当てもなく街を彷徨うが、ボロボロとなった彼の不気味な姿に誰も手を差し伸べてくれなかった。憧れていたヒーローも彼を助けてはくれなかった。これらのショックで転弧は記憶を失い、そして手を差し伸べてくれた悪の権化たるAFOに拾われ、「次の彼」となるために悪の道へと歩むことになる。
この時、家族の手、そして「死柄木弔」の名を与えられるのだった。
敵(ヴィラン)連合
死柄木弔・黒霧・脳無を中心とした「平和の象徴」オールマイト抹殺を目的とした集団。総数75名。
上記の3名以外は基本街中でくすぶっているようなチンピラであるため、「敵連合」という名前は意図的にチープな感じにしたようだ。
死柄木を中心に構成されているが、その背後には最低でも「先生」と呼ばれる人物と、老人のような喋り方の人物がついている。彼らは脳無を作り出す力を持っていたり、オールマイトの弱体化のことを知っていたりと只者ではない様子がうかがえるが、何らかの原因で自由には動けないらしい。(その原因については、作中にて後天的な半盲などが明かされていくが、いまだに判明されていない部分も多い。)
そのため、強いカリスマ性をもつ死柄木を「シンボル」とし、彼という恐怖を世に知らしめることを目的としている。
一方で、短絡的な行為が抜けきらず大将格としてはまだ未熟な死柄木を成長させるべく、腕利きだが連合の目的と少々かみ合わない思想を持つステインなどを招き入れることもある。おかげで補佐役の黒霧は苦労が絶えない。
ただ、死柄木なりに恩を感じていた人物の捕縛される様子や、連合メンバーに躊躇なく暴虐を働いた後にふてぶてしく交渉を再開したヤクザの頭目には思うところがあったようで、上記の3名以外の一部所属者にも、妙な仲間意識や向上心が見え隠れするようになる。
また、長きに渡る逃亡生活、そして人々の暮らしぶりを見る中で、やがて彼は自分が本当に憎んでいたのはオールマイトではなく、「オールマイトに象徴されたこの世界の全て」であることに気づく。そうして死柄木は、破壊以外に何も望むものがない虚ろな自己の本質を悟り、世の中の息づく全てを破壊し尽くすという極めて破滅的、刹那的な未来を思い描くに至る。
敵連合の解体を目論む異能解放軍との抗争後、敵連合と異能解放軍を融合させた構成員11万人以上の巨大組織「超常解放戦線」の最高指導者に就任。自身の原点(オリジン)を思いだし、秘めたる個性を覚醒させて悪の帝王の頭角を表す。「この世の全てを壊すこと」という野望を実現するため、ドクターの手を借りてさらなる力を手にし、人智を超えた本物の怪物となっていく。
マスターピース
ドクターの改造手術を受けたことによって個性抜きで瞬間移動と見紛うような瞬発力、一気に長距離跳躍できるほどの脚力、更には腕を振るう勢いだけで空中を駆け巡るほどの腕力を得るようになり、身体能力だけでエンデヴァーとリューキュウを圧倒するという全盛期のオールマイト並みのパワーを手に入れていた。加えて、更なる個性を得ることになり化け物ぶりに拍車がかかり、もはや手の付けられないチートと化していた。
ただし、改造手術が完了しないまま目覚めたために長期戦にもつれ込むと体そのものが耐えきれなくなるという問題も抱えていた。
手術中の精神世界において、家族たちの手が自身に纏わりつき、彼を引き留めようとするもそれらを全て「崩壊」させることで振り払い、先代AFOの声を受け後戻りできない闇へと歩んでいく。
かくして、「有史以来最凶の敵(ヴィラン)」と評される存在となり、世界の存亡を賭けてヒーロー達と最後の戦いを繰り広げることになる。
死柄木語録
- 『子供を殺せば来るのかな?』
- 『そうだな、そうだよ…そうだ、やるっきゃないぜ 目の前にラスボスがいるんだもの』
- 『お茶でもしようか 緑谷出久』
- 『何でお前が鬱陶しいか……分かった気がする 全部オールマイトだ』
- 『そして見せつけてやる、正義とやらの脆弱さを』
- 『おまえが!!嫌いだ!!』
- 『俺とおまえたちのためだ』
- 『おまえが費やしてきた努力はさァ!俺のもんになっちゃったよ!!』
- 『これからは咥える指もなくただただ眺めて生きていけ!!』
- 『次は俺たちだ』
- 『そう、俺はきっと全部嫌いなんだ 息づく全てが俺をいらつかせるんだ』
- 『じゃあもう壊そう 一旦“全部”』
- 『よう…未来の王様がご帰還だ』
- 『俺はただ…壊すだけだ 未来なんかいらないんだ』
- 『気分悪い』
- 『ぶっ壊れろ』
- 『まあ、名前なんてこれと同じ、飾りだ…好きにやろ』
- 『俺はもうヒーローを侮らない 持てる全てでオールマイトの残滓共を粉にする』
- 『もう俺を否定するな』
- 『俺が相手じゃなきゃ 火力不足なんて言い訳せずにあの世に行けたのにな』
余談
触れたものを崩壊させる能力、その能力で家族を殺めた過去、「嫌い」という感情を原動力にしている人物像、そしてなにより「転弧」という本名から、一部ファンの間では作者・堀越耕平のデビュー作『テンコ』の主人公・テンコをモデルにしたキャラだと言われていた。
そして単行本23巻のキャラ紹介ページにて、作者本人がテンコをモデルにしていると公言した
「僕のヒーローアカデミア ULTRA RUMBLE」ではヒーローを差し置いて、彼の個性技が最も建物内に取り残されている一般人の救助を行いやすいと評されている。
死柄木というキャラクターは、東日本大震災やインターネットを介したISILの台頭などが投影され、ニヒリズムが人格化された存在とする見方もある。
関連動画
関連静画
関連項目
- 僕のヒーローアカデミア
- 僕のヒーローアカデミアの登場人物一覧
- ラスボス
- オール・フォー・ワン
- 荼毘
- トガヒミコ
- 緑谷出久
- オールマイト
- 相澤消太
- 手マン
- 口裂け女
- ゼブラ(トリコ)- 彼も口が裂けた恐ろしい風貌をしている。
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 緑谷出久
- オールマイト
- 爆豪勝己
- 麗日お茶子
- 飯田天哉
- 蛙吹梅雨
- 峰田実
- 相澤消太
- 八百万百
- 切島鋭児郎
- 轟焦凍
- 障子目蔵
- 上鳴電気
- 耳郎響香
- 葉隠透
- 常闇踏陰
- 尾白猿夫
- 青山優雅
- 芦戸三奈
- ミッドナイト(僕のヒーローアカデミア)
- Mt.レディ
- 心操人使
- 瀬呂範太
- 発目明
- 拳藤一佳
- グラントリノ
- 口田甲司
- 荼毘(僕のヒーローアカデミア)
- エンデヴァー
- トガヒミコ
- オール・フォー・ワン
▶もっと見る
- 3
- 0pt