『毛皮を着たヴィーナス』とは、ザッヘル=マゾッホの小説である。原題は『Venus im Pelz』。
今日で言うSMやNTRなどの要素がたっぷり詰まっており、文章から非常に独特のエロティックな雰囲気を感じるが、「で、具体的にこの小説のどこがエロいのよ?」と問われると、どこも全然エロくない。実に不思議な小説である。なので、エロに期待して読んだらガッカリすること請け合いである。
概要
物語
主人公であるゼヴェリーン・クジエムスキーが、ワンダという未亡人と恋に落ち、奴隷契約を交わし、ワンダをギリシャ男に寝取られてその関係が破綻するまでを描いている。
物語に登場した当初のワンダは決してSではなかった。むしろ献身的で愛情深い女性だったと言える。だが彼女は、マゾヒストであるゼヴェリーンの教育によって、毛皮を着て彼を鞭打つ拷問者となる。そしてゼヴェリーンを奴隷とする契約を交わしてからは、ゼヴェリーンを鞭打つ事に戸惑いを感じなくなり、更にはギリシャ男と密通しながらゼヴェリーンに愛していると嘘をつき、最後はワンダに鞭で打たれることを期待するゼヴェリーンを縛り、ギリシャ男に鞭で打たせ、そのまま放置して二度と帰ってこなかった。
モデル
本作はマゾッホ自身の経験を元に描かれている。マゾッホはこの小説を書く前とこの小説を書いた後に、ゼヴェリーンと同じように恋人・妻を拷問者に教育し、自分を奴隷とする契約を交わし、第三の男(間男)の登場によって関係が破綻するという経験をしている。
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世の中は広いもので、マジメにマゾッホとその著作について批評・研究をしている人もいる。興味があれば参照すると良いだろう。
関連項目
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