気仙沼線とは、宮城県石巻市の前谷地駅と宮城県気仙沼市の気仙沼駅を結ぶ鉄道路線である。
概要
前谷地駅と気仙沼駅を結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の路線。地方交通線である。三陸縦貫線を構成する、最も南の路線。全線単線非電化で、後述するが前谷地~柳津駅間の鉄道区間と、柳津駅~気仙沼駅間のBRT区間に分かれている。
普通列車はキハ40形・キハ48形、快速南三陸はキハ110系を使用していた。2013年(平成25年)3月16日のダイヤ改正からは全ての普通列車がキハ110系に置き換えられた。
鉄道区間は前谷地駅から石巻線・小牛田駅まで直通する小牛田駅~柳津駅間の4往復、前谷地~柳津駅間の列車が5往復存在する。
BRTは前谷地~(ノンストップ)~柳津~気仙沼駅間が5往復、柳津~気仙沼駅間が10往復、陸前戸倉~気仙沼間が平日下り1本、志津川~気仙沼駅間が上り3本/下り6本本吉~気仙沼駅間が上り13本/下り平日12本,土休日10本(うち平日上り1本は大船渡線BRT・鹿折唐桑から直通)、志津川~本吉間が上り快速1本となっている。よって本吉~気仙沼駅間は合計30往復程度となり、幹線級の本数となっている。
東日本大震災前までの列車は、小牛田~前谷地~気仙沼駅が6往復+下り1本、本吉駅~気仙沼駅が1往復+下り1本、快速南三陸(仙台駅~小牛田駅~前谷地駅~気仙沼駅)が2往復、小牛田駅方面に直通しない列車は前谷地駅~気仙沼駅が1本、気仙沼駅~前谷地駅~女川駅が1本、それぞれ存在した。
当路線は国鉄再建法が施行される直前に全線開通を果たした路線であり、滑り込みセーフと言う状態だった。なお、柳津~本吉間は国鉄時代で最後に開通した地方交通線でもある。
東北地方太平洋沖地震
2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震により全線で壊滅的な大被害をうけた。
BRT
柳津-気仙沼間(55.3キロ)については地域の人の交通の足の確保と、本復旧の際に高台移転の可能性がある事から仮復旧として2012年8月20日よりBRT(専用道を中心としたバスによる運行)が開始。
BRT区間の事業主体は気仙沼BRT営業所が受け持つが、運行及びバス車両管理についてはJR本体ではなく、地元バス会社に委託する形態が採られた。気仙沼線の場合は宮城交通の地域子会社ミヤコーバス(気仙沼・津谷・佐沼の各営業所)が担当。宮城交通は名古屋鉄道グループ(愛知県・岐阜県におけるJR東海のライバルの一社)であり、JRの路線をライバルの名鉄グループの会社が運転するという異例の事態となった。
バスは赤を基調とした車体に、それぞれラッピングが施された。車種は暫定開業時に京成バス・東武バス等の首都圏バス事業者から移籍した中古車を使用し、本開業時に日野自動車から新車購入したハイブリッドノンステップバスに順次置き換えられ、現在計20台が導入されている。
2015年7月24日、JR東日本は鉄道による復旧を断念し、「仮復旧」としていたBRTの運行を継続する考えを表明。BRTによる復旧が恒久化する見通しとなった。
2015年8月3日、専用道比率を現在の約23キロ(41%)から約50キロ(90%)に拡充する案がJRから提示された。これにより所要時間が鉄道運行時とほぼ同じ1時間30分に短縮される。
2016年3月18日、宮城県気仙沼市長が鉄道での復旧を事実上断念し、BRTを継続するJR東日本の提案の受け入れを表明した。
同年12月2日、登米市市長が柳津から陸前戸倉駅の区間もBRTでの運行を受け入れる方針であることが報道された。
2019年11月12日、JR東日本がBRT区間の鉄道事業廃止届を提出した。廃止予定日は2020年11月13日。
2020年1月31日、JR東日本がBRT区間の鉄道事業の廃止日を繰り上げる旨の届出を提出した。廃止予定日を同年4月1日に繰り上げ。
odeca
BRT区間には、大船渡線BRTでも使用可能なICカード乗車券「odeca」が導入されている。
気仙沼線にICカード乗車券が採用されるのは初となる。
2013年8月3日~2023年6月末まで発売されていた旧カードは電子マネーとしての機能は持っていなかったが、2023年7月から発売されている新しいodecaは「地域連携ICカード」であり、Suicaとしての機能を持っているため、電子マネーとしても利用できる。
これは推察になるが、旧カードは電子マネーとして必須である東京との通信帯域の確保を削った結果で、それが地域連携ICカードの登場により解決したものと思われる。
2000円(内デポジット分が500円、チャージ1500円)、参考までに旧カードの定期券タイプが定期代金とデポジット500円となっている。
BRTネット
BRTに関わる各種情報が駅のディスプレイ、車内ディスプレイ、及びスマートフォン(iOS、Androidそれぞれにアプリ提供済み)等に情報配信されている。これはJR東日本としての復興支援の一環と位置づけられている。
気仙沼線・大船渡線共有で配信内容は以下となっている。
使用車両
- 鉄道区間(小牛田運輸区所属)
キハ110系 - BRT区間(気仙沼BRT営業所保有)
日野・ブルーリボンシティ・ハイブリッド(一般型、ミヤコーバス気仙沼営業所・津谷営業所・佐沼営業所所属)
いすゞ・エルガミオ「e-BRT」(ミヤコーバス津谷営業所所属、東京アールアンドデーが改造した蓄電池式電気バス、本吉~気仙沼間のみ限定運用)
観光型BRT・「旅」(ミヤコーバス津谷営業所所属、初期導入分の日野・ブルーリボン(1999年式、元川崎市交通局)を東急テクノシステムが改造)
駅一覧
便宜上、仙台駅~小牛田駅~前谷地駅の区間も記載する。快速南三陸は仙台~小牛田間ノンストップのため途中駅省略。全駅宮城県内。
快速南三陸は、運行休止中(事実上廃止)。停車駅は震災発生以前。
●:停車 ○:1号通過 ◇:1・4号停車 □:4号停車 |:通過
黄背景の駅はBRTのみ運行の区間内(柳津駅~気仙沼駅)の駅である。
●=停車 ○=快速は未停車 ★=赤岩港駅と気仙沼市立病院駅のどちらかに停車
※:列車交換の可能な駅 △:一般道ルートの停留所 ◎:BRT区間に新設された停留所(鉄道駅として営業されたことがない駅)
路線名 | 南三陸 | B R T |
駅名 | 乗り換え路線 | 所在地 | ||
東北本線 | ● | 仙台駅[仙]※ せんだい |
JR東日本 | 東北新幹線・北海道新幹線・秋田新幹線・東北本線(白石駅方面)・常磐線・仙山線・仙石線・仙台空港アクセス線 | 仙台市 青葉区・ 宮城野区 |
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仙台市交通局 | 仙台市地下鉄南北線・東西線 | ||||||
● | 小牛田駅 こごた |
JR東日本 | 東北本線(一ノ関駅方面)・陸羽東線 | 遠田郡 | 美里町 | ||
石巻線 | |||||||
| | 上涌谷駅 かみわくや |
涌谷町 | |||||
● | 涌谷駅※ わくや |
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● | ● | 前谷地駅※ まえやち |
JR東日本 | 石巻線(女川駅方面) | 石巻市 | ||
気仙沼線 | |||||||
| | | | 和渕駅 わぶち |
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| | | | のの岳駅 ののだけ |
遠田郡 涌谷町 |
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● | | | 陸前豊里駅※ りくぜんとよさと |
登米市 | ||||
| | | | 御岳堂駅 みたけどう |
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● | ● | 柳津駅※ やないづ |
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| | ● | 陸前横山駅 りくぜんよこやま |
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| | ● | 陸前戸倉駅 りくぜんとぐら |
本吉郡 南三陸町 |
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● | ● | 志津川駅※ しづがわ |
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| | ○ | 南三陸町役場・病院前駅△◎ みなみさんりくちょうやくば・びょういんまえ |
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| | ○ | 志津川中央団地駅△◎ しづがわちゅうおうだんちえき |
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| | ● | 清水浜駅 しずはま |
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● | ● | 歌津駅※ うたつ |
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| | ● | 陸前港駅 りくぜんみなと |
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| | ● | 蔵内駅 くらうち |
気仙沼市 | ||||
| | ● | 陸前小泉駅 りくぜんこいずみ |
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● | ● | 本吉駅※ もとよし |
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| | ● | 小金沢駅 こがねざわ |
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◇ | ● | 大谷海岸駅 おおやかいがん |
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| | ● | 大谷まち駅◎ おおやまち |
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○ | ● | 陸前階上駅※ りくぜんはしかみ |
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| | ● | 最知駅 さいち |
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| | ● | 岩月駅◎ いわつき |
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| | ● | 松岩駅 まついわ |
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| | ★ | 赤岩港駅◎ あかいわみなと |
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| | ★ | 気仙沼市立病院駅△◎ けせんぬましりつびょういん |
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● | ● | 南気仙沼駅 みなみけせんぬま |
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□ | ● | 不動の沢駅 ふどうのさわ |
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| | ● | 東新城駅◎ ひがししんじょう |
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● | ● | 気仙沼駅※ けせんぬま |
JR東日本 | 大船渡線BRT | |||
JR東日本 | 大船渡線 |
関連動画
関連項目
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