池田の猪買い(いけだのししかい)とは、上方落語の演目である。まれに「猪買い」という演目で、東京でも演じられることがある。
上方ではくすぐりが多く人気の噺であり、また桂米朝一門、笑福亭一門、桂文枝一門なども得意としているため、非常に演者が多い噺である。有名どころでも桂米朝、桂春團治、桂枝雀、桂吉朝、桂文珍などがいるが、中でも笑福亭仁鶴の代名詞ともいわれており、作品の知名度アップに貢献した。
なお、池田とは阪急池田線沿線、大阪府池田市のことであり、大阪市のベッドタウンとなっている。この物語の如く、山深い寒村の面影はなく猪もとんと目撃されなくなったそうだが、東京都目黒区の「目黒の秋刀魚」に因むイベントのように、池田市では「池田の猪買い」に因んだ、ぼたん鍋を食べるイベントが行われているなど、落語にちなんだまちおこしが行われていたりする。
なお、道中のやりとりは「鋳掛屋」という上方落語の演目とほぼ同じである。
あらすじ
ある冷え性の男が友人の甚兵衛を訪ねる。彼は池田にいる知人の猟師「六太夫」を紹介するから、新しい猪の肉で体を温めたらいい」と助言をくれ、そこへの道筋も教えてくれた。
だが、男は物覚えが悪く、急いでいる通行人を捕まえて頓珍漢な質問をしたりと迷惑をかけながらも、なんとか池田の山中にたどり着き、六太夫に出会う。
男は彼に「撃ちたての新しい肉が欲しいんや、それに今日は猟が立つやろ」って焚き付けると、六太夫もその言葉を気に入り、早速夫婦の猪に標的を構えた。そして身が柔らかい雌の猪を首尾よくしとめる。
しかし、彼は「これ、本当にさっき撃ったばっかりの新しい奴か?」と、猪にのっかって難癖をつけたので六太夫もむっとして、わざと空砲を放つ。すると、急所を外され、気絶していただけの猪が起き上がり、そのまま男を連れて歩き出してしまった。男は慌てるが六太夫は得意顔で
「ほれ客人よ、この通り新しい」
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