『沙羅曼蛇』は、コナミ製横スクロールシューティングゲームのタイトル/シリーズ名。
本項はMSX版について記述する。
1987年12月に発売。記念としてテレホンカードが一枚付属していた。
現在はバーチャルコンソール、プロジェクトEGGでもプレイ可能。
概要
前年にアーケード稼働した『沙羅曼蛇』をベースに、MSX版独自の要素が多数加えられた。公式には移植と位置づけ、パッケージイラストも同一なのだが、面構成、システム、ストーリーやゲーム展開に至るまでほぼ別の作品である。
原作と同様2人同時プレイが可能。くわえて、2人交互にプレイするモードも選べる[1]。
ミスをした場合はグラディウスと同様の戻り復活になり、この際ミスをした方の装備およびEカプセルが没収される。
総じて難易度が高いと言われるMSXシリーズの中でも最凶と言われており、ミスした際の立て直しが非常に難しいことが問題点として取りざたされることがある。
ストーリー
『グラディウス2』の流れを継いだ綿密なストーリーが紡がれる。
原作の方の『沙羅曼蛇』の同日談で、惑星ラティスおよびその惑星群を占領したサラマンダ軍から開放する“シードリーク作戦”が本作のメインストーリー。
私は、惑星グラディウス帝国宇宙考古学研究所所長ヴァン=イアンドロス=フレーリーである。いま、惑星ラティスに残したわが弟から最期の便りが届いた。
『今、私達は"予言"の時をむかえています。兄さんの教えてくれた悪魔のようなあの"予言"は現実のものとして私達の眼前に迫りつつあります。これが最期になるかもしれません。私達は、このまま滅亡の時をむかえるのでしょうか……。』
私は、当初原始リークパワー研究のために、単身惑星グラディウスへとやって来た。その後、私の興味が、近年発見された「炎の予言」の研究へと移行した。
「炎の予言」は、最近私がまとめた報告書のとおり、断片的にしか解明されていない。 しかし、ヴェノム事件をはじめとする、6644年の「北十字戦」以降の異変は、まぎれもなく「炎の予言」が示唆していると断言できる。今が「炎の予言」によって予言された時代にかかっているとすれば、わが故郷ラティスの異変も、古代ラティス人とリーク人の関係も説明がつくではないか!
わが弟よ、故郷ラティスは救われるぞ。「炎の予言」は、"滅亡"ではなく、来たるべき"未来"を予言しているに違いない。
今、運命ともいうべき「炎の予言」によって、新たな"歴史"が形づくられようとしているのだ!
(公式サイトより)
“炎の予言”に記された、ラティスの滅亡。それを的中させるかのようにサラマンダ軍が侵攻し、ゼロスフォースによりオゾン層が汚染された。危機に瀕するラティスのSOSから、物語は始まる。
バクテリアンめ!
シードリーク作戦
救助の申請を受けた惑星グラディウス。グラディウス軍の総指揮を兼任するラーズ18世(ジェイムス=バートン)は、直ちにラティスの救助活動を指令した。
今回の作戦は、惑星ラティスに残留する人々を救助し、ラティス系惑星群を占拠するサラマンダ軍を掃討。その後、リークパワーにより人工のオゾン層を発生させる“シードリーク法”を用いてゼロスフォースを浄化し、ラティスの再生を行う。
炎の予言
惑星ラティス、およびその惑星群の滅亡が記された予言。
古代ラティス人が、子孫を滅亡の未来から守るため、その対策を示す目的で書き残していたことが判明しており、今回の作戦成功の鍵を握る重要な資料として注目された。すなわち、惑星群の遺跡の探索を並行して“炎の予言”を紐解くことも、作戦における重要なミッションなのだ。
短時間で多数のミッションを行わなくてはならず、達成は困難を極める。しかし、失敗すれば惑星ラティスに未来はない。この重大な作戦を成功させるべく、2機の翼がラティス星系へ向けて旅立った。
サーベルタイガー パイロット「イギー=ロック」
スラッシャー パイロット「ゾウィー=スコット」
“シードリーク作戦”に投入されたスペースファイター。“炎の予言”を解読する機能を備えた戦略コンピュータ“ALEX”を搭載。
パイロットは共に、グラディウス宇宙空軍アカデミーに在籍する若き精鋭が選出された。
2機間での互換能力を有していることが最大の特徴。また「メタリオン」のリークパワー吸収システムを発展させ、あらゆる物質からのエネルギー補給も可能にしている。
1プレイヤー側が青色のサーベルタイガー、2プレイヤー側が赤色のスラッシャー。基本的に2プレイヤー側での単独プレイはできない。大抵は復活とか追加武装取るためにスラッシャーが何機も犠牲になるのは内緒だ
パワーアップ
グラディウスシリーズ同様のウェポンゲージ方式で、配置は1P2Pとも共通。
各ステージのハッチを破壊して出てくるEカプセルを回収すると、15個ごとに武装が追加され、新たに装備することが出来る。ただし武装の追加は機体ごとになるので、1PがEカプセルを集めた武装を2Pが装備することは出来ない。[2]
ゲージ上の武器名スペルが間違ってるのは仕様である。
SPEED | NORMAL | 2-WAY B | RIPPLE | LASER | OPTION | F.FIELD |
- | TWIN | HAWK WIND | ARMING | METEO | - | - |
TRIPLE | HOWMING | - | SCREW |
太字は追加武装。緑背景はユニオン状態限定で装備可能。なお、追加武装やユニオン状態も含めて、1P2P側で武器の色分けはされていない。
追加武装の取得順序はHAWK WIND→METEO→SCREW→HOWMING→TWIN→TRIPLE→ARMINGで、その後はエクステンドになる。
武装解説
- リップルレーザー
波形のレーザー。
『グラディウス2』のベクトルレーザーの仕様が流用されているようで、他ハードを超える拡散能力を誇る。貫通能力はないが、同時に触れたザコや破壊壁をすべて破壊できるため、特にステージ2の攻略では猛威を振るう。
ただし単発の上地形判定も見たまんまで、特にコアまで届かないボスには弱い。
特殊アイテム
『グラディウス2』と同様、パワーアップカプセルと別の特殊アイテムがある。
スパークライトとトランフルボム以外は時限装備。
- スクロールストップ
10秒間、画面スクロールを停止させる。
敵機には干渉しないため、この間に殲滅してしまおう。Eカプセルもラクに回収できる。 - オプションホールド
15秒間、自機の上下に翼状にオプションを固定する。 - スパークライト
ステージ3-Bの暗所ゾーンを明るくするアイテム。 - トランフルボム
同じくステージ3-B限定。迫ってくる壁を一撃で破壊できる爆弾を1つ取得。
個数をストックできるが意味はない。 - オプションチェイン
同時プレイ時のみ出現。30秒間、双方の自機をオプションでつなぐ。
オプションからの攻撃は自機の持ち数に準ずる。 - ユニオン
同時プレイ時のみ出現。取得して準備状態になり、双方の自機を重ねて合体。時間は30秒。
アイテムの取得側が操作を担当(パイロット)、もう片方が攻撃を担当(コ・パイロット)。
敵の攻撃を受けても合体が解除されるのみで、正味1回分の防御を得た状態になる(喰らい判定は自機の前半分のみ)。
ビジュアル面で本作のキモとも言える強化装備で、合体状態しか使えない武装もある。が、時限解除されると武器も取り上げられてしまい、ほとんど使える時間がない。
合体時の武装はパイロットの装備に準ずるので、強い方がアイテムを取った方が良い。
重要アイテム
ストーリーに関わるアイテムで、自機の強化ではなくボス攻略を有利にしたりするために取得する。OPERATION3以降のステージで、ハッチ跡のどこかに自機を重ねることで入手演出が入る。
- 炎の予言
ストーリーに関わるキーアイテム。取得は必須ではないが、ステージボスの攻略法が書かれており、言うことに従えばクリアは早い。 - クリスタルブリーズ
特定の条件下、OPERATION3のどこかに炎の予言と別に隠されている。トゥルーエンドを見るために必要。
ステージ
通常攻略可能なステージが6つ。さらに特定の条件下で隠しステージが出現し、全7面で構成。ストーリー上の作戦に準じたOPERATIONという括りがあり、OPERATION3では3つのステージを任意の順番で攻略する。設定では色々やってるのだが、プレイ上は普通にクリアすればOK。
OPERATION ONE -TOP FLIGHT SPEED TO LATIS-
横スクロール。
惑星ラティスに残留する人々を救出するミッション。
原作の1面をベースにしているため、同じような敵やトラップが出てくる。ただし2箇所でスクロール方向が変わる。
ボスはゴーレム。開けた場所での交戦なので地形に接触する心配はない。
OPERATION TWO -CONDUCT TO SPACE STATION ZOT-
縦スクロール。
救出したラティス人を安全圏まで避難させると共に、宇宙ステーション“ゾット”の残留者を収容する。
小惑星地帯を駆け抜けるのは原作の2面と一緒だが、その小惑星がステージ上の地形になり、複雑な面。ステージ2にしていきなり復活が難儀する。
OPERATION THREE -SET THE LEEK SYSTEM-
ラティス星系の3惑星をサラマンダ軍から開放し、“シードリーク法”のためリークシステムを設置するミッション。
選択時に敵勢力を確認できるが、後に回す面ほど勢力が増し、難易度が上がる。
惑星アイネアス
縦スクロール。
原作4面をベースにした火山地帯ステージ。敵は比較的緩やかだが地形がかなり険しい。また途中で通路が分岐する箇所もあり、完全攻略にはメテオレーザーが必須である。
途中で残機エクステンドにバグが起こる。
ボスは2体。壁面のセンターコア攻略後、大型コアデッドエンドと交戦する。中央のコアが本丸で、左右どちらかのコアを破壊すれば攻撃可能。
惑星ラウィニア
横スクロール。
多彩なトラップが仕掛けられた要塞ステージで、道を塞ぐ敵にレーザーを撃つと跳ね返されたりしてとても難しい。
ボスはセデューサ。デスに似ているが、ベクトルレーザーを撃つ。レーザーおよびレーザーハッチは破壊可能。もたつくと回復してまたレーザーを撃ってくるので注意。
惑星キルケ
横スクロール。
青色の細胞地帯。装備がととのっていれば休憩地帯である。
ボスは驚愕の壁コアエニグマ。奥部にある本体を防壁が守る。一箇所だけある、貫通したコアを破ることで本体に手が届くようになるが、そのコアを手っ取り早く攻略するために“炎の予言”を読んでおいた方が良い。
OPERATION X -WRATH OF VENOM-
横スクロール。
OPERATION3内でクリスタルブリーズを回収すると、クリア後に挿入される。内容は『グラディウス2』のヴェノム艦ステージと一緒だが、ボスのコアを破壊したさらに奥にもう一つのコアが出現している。
OPERATION FOUR -CRUSH SALAMANDER-
縦スクロール。
惑星オデュッセウスに駐留するサラマンダ軍本営を制圧し、リークシステムを作動させる最終ミッション。
面構成は原作の6面に準じているが、スクロール方向が変わったり、また地形も複雑に入り組んだステージ。
ボスは2体。
前半はアウターリミッツ。原作のゼロスフォースと同じ目玉の敵だが、突進して攻撃してくる。またオプションイーターを発生させてくる。
後半はメタルスレイヴ。デッドエンドをさらに大型化した敵で、攻略法も一緒。
撃破に成功すると遂にリークシステムが発動。はたして、その成否は――
トゥルーエンドについての問題
さて、ここまでで記述したように本作にはストーリーの分岐点がある。
「クリスタルブリーズを取得する」ことが分岐の条件なのだが、これを達成するためには、MSX本体のスロット2に『グラディウス2』のカートリッジを差し込んでプレイしなければならない。逆に言えば『グラディウス2』のソフトを持っていないと絶対にバッドエンドにしか到達できないのだ。
この条件については発売前から広く宣伝されていた上、取扱説明書でも明記されていたが、抱き合わせ販売とも取れるこの手段には良くない反応も多かったようで、後の移植やアーカイブス版では調整が行われている。
また、同じくストーリー分岐が設けられた『ゴーファーの野望 Episode II』においては単品のソフト内で完結できるようになった。
おそるべし、ヴェノム!!
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
脚注
- *グラディウスシリーズの移植作品ではこれが標準だが、沙羅曼蛇シリーズでは本作のみのモードである。
- *ちなみにEカプセルは敵弾を貫通する一方、こちらの攻撃を塞いでしまう。
- *開始時/復活時は装備済みの状態
- *他作品で言うホークウィンドまたはイーグルウィンドと同じ。
- *他作品のホークウィンドとはまったくの別物。
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