小説(主に純文学とSF)、趣味・実用書、教養書などがメイン。
概要
1886年に河出靜一郎が開設した岐阜成美堂書店・東京支店がその始まり。2年後に独立し、数学・物理学の教科書・参考書や農学関係書の出版社として活動した。
1933年に「河出書房」に改称。以降、純文学と思想書が中心の出版社となる。1944年に改造社から文芸誌「文藝」を引き取り、戦時下も刊行を続けた。戦後、三島由紀夫『仮面の告白』や笠信太郎『ものの見方について』などのベストセラーを出し、1954年には河出文庫を創刊するが、1957年に倒産。すぐに「河出書房新社」として再建される(それまでの「河出書房」とは登記上は別会社)が、「文藝」は休刊、河出文庫は刊行中断、創刊したばかりの「週刊女性」も主婦の友社に引き取られることに。
再建後は文学全集で成功し「全集の河出」と呼ばれ、「文藝」も復活し新人賞「文藝賞」を設立、第1回受賞作の高橋和巳『悲の器』が話題を呼ぶ。しかし1967年にまたも倒産。再建され1968年に吉本隆明『共同幻想論』が出て、河出文庫も復活し再び軌道に乗る。
以降、文藝賞の受賞作家を中心に、田中康夫『なんとなく、クリスタル』、山田詠美『ベッドタイムアイズ』、俵万智『サラダ記念日』、綿矢りさ『蹴りたい背中』などの話題作、ベストセラーをコンスタントに出している。
刊行している雑誌は純文学誌「文藝」のみ。現在も、新潮社の「新潮」、文藝春秋社の「文學界」、講談社の「群像」、集英社の「すばる」とともに五大純文学誌の地位を保っており、芥川賞作品もちょくちょく出る。ちなみに他4社に比べると河出書房新社はずっと規模が小さい(社員数は講談社や集英社の1/10以下)。
また21世紀に入ってからは叢書《奇想コレクション》や書き下ろしアンソロジー《NOVA》を創刊してSF出版に力を入れ、伊藤計劃×円城塔『屍者の帝国』をはじめ、(SF界隈での)話題作を多数刊行。現在では早川書房・東京創元社に次ぐSF出版社と言える存在になっている。
なお倒産後長く休眠状態にあった「河出書房」の方は2000年に自費出版の会社として復活、販売に関して河出書房新社と業務提携を結んでいる。
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