海鮮丼とは、どんぶりに盛られた白飯もしくは酢飯に魚介類のネタを盛りつけた丼物である。
概要
広義の海鮮丼としてはマグロ丼やイクラ丼といった単品具材の丼物も含むことがあるが、狭義の海鮮丼は赤身魚、白身魚、イカやタコ、エビなどの刺身、ホッキ貝や赤貝などの貝類、そしてイクラやウニなど数種類のネタを色とりどりに載せるのが特徴で、ご当地色を出すために地場で獲れたネタをメインにしている店もある。
観光地の御食事処のほか海鮮料理店、寿司屋で提供される場合もあるが、その場合ご飯は酢飯であったりもしくは白飯か酢飯を選べたりし、酢飯の場合は「すし丼」「ちらし丼」などと言われることがある。また、使われる食器もどんぶりが基本であるが店によって様々であり、寿司桶やお皿が使われたり、小ぶりなお茶碗やお椀も使われる。
盛りつけるネタで個性を出しやすく、またネタや酢飯の仕込みを除けば高度な調理技術を必要とせず団体客相手の提供でも早く出来るので、港町や海沿いの漁師町の名物として観光客の呼び水となりやすい。
発祥
発祥は諸説あるが、1950年代に北日本の港に面した観光地から広まったとされており、その一つとされるのが秋田県男鹿市にある「なまはげ御殿 ニュー畠兼」という土産物店兼食事処で、冷蔵庫が一般に普及していない1956年から提供しており、2011年に改装するまえでは海鮮丼発祥の店という明記もあった。そのため、男鹿半島界隈は海鮮丼を提供する店が非常に多い。また、男鹿では石焼きと呼ばれる焼いた石を具と味噌、出汁を入れた木桶にぶち込んで一気に炊き上げる豪快な魚料理でも知られる。
その他、海鮮丼の代表的エリアとして知られるのが北海道であり、函館市には男鹿半島と同じく1956年から海鮮丼を始めたとされる店「きくよ食堂」があり、観光客によく知られる店の一つ。またイクラ丼、ウニ丼、ホタテ丼といった北海道ならではの新鮮な海の幸が様々なメディアを通して知られるようになった。特にウニは形が崩れないようにミョウバンを添加して輸送するためどうしても苦味が出てしまうので本当の味は産地でしか楽しめない。函館以外のエリアはそこまで知られていなかったが、札幌冬季五輪開催や雪まつり、石原裕次郎ゆかりの小樽、北の国からやラベンダー畑の写真で一躍脚光を浴びた富良野などがきっかけで北海道を訪れる人が増加、それに合わせ釧路、礼文や積丹などといったエリアも一気に有名になり、特に釧路では市場で小分けして売られているネタを勝手に飯に乗せて食べる勝手丼が流行するなど、海鮮丼は北海道旅行の代名詞的な存在になっている。ただ、札幌二条市場、函館、小樽といった観光地で出されている海鮮丼は近年のインバウンドの影響もあり異様なほど値段が高騰し、値段の割に鮮度が悪かったり量が少ないと観光客からマイナスな批評を食らうことがある。もっとも道民はそうした店には目もくれずもっぱら地元の回転寿司に行くとされている。
他に海鮮丼で知られるエリアが三重県の志摩半島であり、関西、中京ではこのエリアが海鮮丼のメッカとして知られる。鳥羽や賢島は同じように観光地価格だったりする一方、マイカー以外で向かうのが厳しい、観光地から少し外れた半島先端部に位置する畔蛸(あだこ)、相差(おうさつ)、国崎、石鏡(いじか)といった揃いも揃って難読地名の集落が海鮮丼の穴場として知られ、この辺りは海女漁を含めた沿岸漁業が盛んで、海鮮を売りとした民宿や食事処が多く、食べきれないほどの圧倒的なボリュームで知られる。
単品の海鮮丼で名高いエリアは大分県の日豊海岸であり、ここは関さば、関あじ、城下かれいなどが有名で、それらを使った丼もあるが、他にもぶりの刺身を使ったあつめし、りゅうきゅう丼の佐伯や米水津、マグロ基地を持つ関係でマグロの刺身を使ったひゅうが丼の津久見など郷土料理から生まれた海鮮丼を売りとする自治体が多い。ほかに愛媛の宇和海エリアにある宇和島市の鯛めしは鯛の刺身を溶き卵とタレで供する海鮮丼の一種となっているなど、郷土料理、漁師料理から観光目的で名物となったものも少なくない。
その他、三陸海岸、北陸、三河湾、若狭湾などが海鮮丼を売りとしているが、これらも都市部との結びつきが関係しており、観光目的での発展したものが多い。
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関連項目
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