淀川長治とは、日本を代表する偉大な映画解説者・評論家である。
概要
映画黎明期から数々の映画を見続けてきた、日本における映画評論家の先駆者の一人。
黒縁メガネに太い眉毛がシンボルマークで、それを上下に動かしながら熱心に語る「日曜洋画劇場」(テレビ朝日)の解説者としても知られた。
芸者置屋だった生家の父親が映画館の株主だった関係で幼少時代から映画を見続けており、映画雑誌の編集者や映画配給会社に就職し宣伝マンとして活躍した後独立。
その後、海外ドラマ「ララミー牧場」をNETテレビ(現在のテレビ朝日)で放送する際に、どうしても放送時間の尺が余ってしまう関係で時間調整のための解説コーナーが設けられ、その解説者としてテレビに出演し始める。
それが好評だったため、常設映画番組の先駆けである「日曜洋画劇場」の解説者にも抜擢され、最後の決め台詞である「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!」が彼の代名詞として定着することとなった。
また、酔っ払ったまま解説を行ったことがあったり、本編の解説より女優のおっぱいについて熱く語ったりと、解説自体も様々なエピソードに満ちていた。また、必ずと言っていいほど主演俳優の過去作品や監督のルーツなどについて詳しく語ってくれたため、解説を聴くだけでワクワクする、映画に詳しくなるといったファンは多い。
その一方で映画評論の論壇では筆舌が高く厳しい評論をする事が多かったという。『こうすれば売れるだろう』と目論んだ表現にはとりわけ厳しく、特にそれを見抜く目を持っていたとされる。
同業者の水野晴郎とともに、同性愛者であったことは有名(水野はあくまでも噂の域である)。アーノルド・シュワルツェネッガーなど筋肉隆々のマッチョマンがタイプであったようである。
この性的指向や芸者置屋という生家で受けたトラウマから生涯独身を貫き通し、晩年は高級ホテルのスイートルームを定宿として生活していた。
1998年に逝去。この年は親友である黒澤明がこの世を去っており、彼の告別式で棺に眠る親友に「僕もすぐにいくからね」と、自身の死期を悟っていたかのような別れの言葉をかけていた。そしてその約二ヶ月後に親友を追うかのようにこの世を去った。
亡くなる前日まで「日曜洋画劇場」の解説の収録を行い、翌日に亡くなると思えないほどの熱っぽい解説を行ったまさに「伝説の映画解説者」であった。ちなみに、最期の解説作品は『ラストマン・スタンディング』という親友黒澤明の代表作「用心棒」のリメイク映画である(名は体を表すと言うが、この映画・・・)。ちなみに黒柳徹子はこの最後の解説を見学という形で収録を見ていたという。また、淀川も収録に妥協を許さずスタッフが淀川の体調を気遣って1テイクでOKにしようとしたが、それが気に入らず2テイク目で渾身の最後の解説を全うしたエピソードがある。
同番組45周年のオープニングでは一瞬だが登場し「見事ですね」とのお言葉を発していた。
未だ映画解説者の代名詞的な扱いを受けており、クレヨンしんちゃんやらいよんチャンなどが彼のコスプレで登場することがあった。しかし前者は子供は元ネタがわからない、後者は他局・・・
と、没後は当然ブラウン管から姿を消してしまった淀川さんだが、2014年末よりHuluのCMで最新のデジタル技術を用いて天国より召喚された。「お久しぶりです」の一言は、彼の解説と共に育った多くの映画ファンのディスプレイを感動の涙で滲ませた。
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