渡部愛(わたなべ まな)とは、日本女子プロ将棋協会(以下LPSA)所属の女流棋士である。1993年6月26日生まれ。北海道帯広市出身。LPSA番号19。
棋歴
2009年にLPSA公認ツアー女子プロとして登録され、2009年から2012年にかけて1dayトーナメントで4回優勝。また、3年連続でマイナビ女子オープンの予選を突破した。
2012年に女流棋士認定問題が発生(後記)。なんやかんやあった末に翌2013年7月に女流3級として女流棋士となり、2014年度の女流王位戦から日本将棋連盟開催の公式戦に出場する。その後、約1年間の間に女流初段まで昇段する。
2015年、初出場の新人王戦で三枚堂達也から金星を上げる。女流棋士の対プロ棋士公式戦初対局初勝利は2009年の岩根忍(対神吉宏充)以来。相手が三段リーグ1期抜けかつ当期の順位戦も8勝2敗の俊英であることに加え、対局内容も「戦型が女流棋戦でほぼ皆無に等しい角換わり腰掛け銀」「しかも後手番不利が定説の先後同型で後手番を持ち」「相手のポカに助けられるわけでなく、優勢のまま最後まで押し切った」と、予想外の連続であった。同年は第1回女子将棋YAMADAチャレンジ杯で優勝。日本将棋連盟主催棋戦で初の優勝となった。2016年も同大会を連覇。
2018年、女流王位戦の予選リーグを5戦全勝で通過。挑戦者決定戦では清水市代を破り、初めてのタイトル挑戦となった。番勝負では当時五冠だった里見香奈女流王位相手に、初戦の地元・北海道で白星を挙げるとそのまま3勝1敗で押し切り、初タイトルの女流王位を獲得した。
翌2019年の女流王位戦では里見香奈のリベンジにあい、1勝3敗で失冠。
2021年、第1期白玲戦七番勝負に進出するも、西山朋佳に4連敗で戴冠ならず。
女流棋士認定問題
2012年7月1日、1dayトーナメント3回以上優勝の実績によりLPSA規定による女流棋士3級として登録。しかし、LPSA側がこの認定基準を日本将棋連盟の女流棋士認定基準と同等の基準として扱うことを要求したのに対し、日本将棋連盟はこれを認めなかった。その結果、2013年1月30日の石橋幸緒によるマイナビ女子オープンの対局放棄問題にまで発展した。
2013年2月22日、日本将棋連盟が、上記対局放棄問題に関するスポンサーへの謝罪などの条件が満たされた際は、特例を認めると発表[1]。LPSA側は提示された条件を当初は認めていなかったとみられる。
2013年4月1日、日本将棋連盟開催の公式戦に初参戦(第21期大山名人杯倉敷藤花戦、対中村桃子)。ただし日本将棋連盟としては“LPSAプロ3級”という注記を付与した上でアマチュア扱いとしている[2]。
2013年7月12日に日本将棋連盟は、「LPSA側に謝罪の意がある」との見解を示し、またその結果として特例で渡部を女流3級扱いすることを発表した[3][4]。2014年度の女流王位戦から日本将棋連盟開催の公式戦に出場している。
棋風・人物
長時間の持ち時間に強く、女流棋戦で最も持ち時間の長い女流王位戦でタイトルを獲得したほか、女流王位獲得により出場したプロ棋戦でも他の女流棋士よりも高い勝率をあげている。
ヘアアイロンを洗濯してしまったり、大根おろしをする際に自分の指をおろしてしまったり、初めてのタイトル戦でホテルでオートロックの自室から閉め出されたりと、色々ドジっ子な一面がある模様。
日本将棋連盟所属の棋士ともフットサルなどを行なっている。2016年には、NHK将棋フォーカスの聞き手を務めた。
関連動画
関連生放送
関連リンク
- プロフィール(LPSA)
- mana-blog - 本人によるブログ(休止中)
関連項目
脚注
- *LPSAによる一方的な契約解除通知と、石橋女流四段の マイナビ女子オープン対局放棄についての記者会見
- *第21期 大山名人杯倉敷藤花戦
- *LPSA、渡部愛さんへの対応について
- *「ご心配とご迷惑をおかけした皆様へ」(ご報告)
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