湾岸諸国単語

ワンガンショコク
3.4千文字の記事
  • 2
  • 0pt
掲示板へ

湾岸諸国the Gulf states)とは、中東ペルシャ湾exitの湾に面した土地を領土に持つの総称である。

広義にはオマーンUAEカタールバーレーンサウジアラビアクウェートイラクイラン
8ヶす。

狭義には、湾会議Gulf Cooperation Council GCCと略す)を構成するオマーンUAEカタールバーレーンサウジアラビアクウェートの6ヶす。

広義の湾岸諸国

広義の湾岸諸国は全てが産で、8ヶ全てで全世界石油埋蔵量の半分以上を占める。このため経済的に非常に重要で、世界経済心臓部と言ってよい。

また8ヶ全てがイスラム教教としている。

8ヶのうちイランだけがペルシア語を話すペルシア人が優勢の国家である。残りの7ヶアラビア語を話すアラブ人が優勢の国家となっている。

狭義の湾岸諸国

狭義の湾岸諸国は、湾会議GCC)を構成する6ヶす。このGCC6ヶ一致団結して行動することが非常に多く、一体不可分の存在との印がある。テレビニュースでも「GCC6ヶの~」とアナウンサー読みあげることがとても多い。

GCCイランイラク戦争っ最中の1981年に結成された。2手な戦争に巻き込まれては敵わないので一致団結しておこうと考えたわけである。

ちなみにこの6ヶはすべて君主制であり、イラクイラン共和制である。この構図は1981年から2022
現在まで変わっていない。君主制同士気が合って仲良くしやすかった。

GCC6ヶの総大将になるのは常にサウジアラビアである。軍事石油産出量、面積メッカメディナという2つの聖地を抱えている正統性、すべてにおいて卓越しており、他の5ヶサウジアラビアの舎といった感があった。

特によく似ている3ヶ国 UAE、カタール、バーレーン

湾岸諸国のなかでもUAEカタールバーレーンの三ヶには共通点が多い。列記すると

砂漠に囲まれて5月から10月までのは灼熱の暑さになり、外出することは危険。

都市に近く、湿度が非常に高くて蒸し暑い。特にが蒸し暑く、外出すると眼鏡曇る

ときおり砂嵐が起こり、呼吸器官の病人が続出する。アブダビexitドバイexitドーハexitマナーマexitが凄い。

持ち、巨大建築物を次々と建てている。アブダビexitドバイexitドーハexitマナーマexitが凄い。

インドなどからの出稼ぎ外国人建設労働者が多く、自民の割合が少ない。(UAE13カタール13バーレーン46

天然に頼った経済体制を危惧し、観光業にを入れている。

モータースポーツに理解がありF1バーレーンUAEカタール)やMotoGPカタール)の誘致に成功している。

サッカー代表が地味に強く、W杯最終予選に残ってくるレベルアフリカからの帰化選手が多いexit

イラクイランとは陸上を接しておらず較的に安全なイメージがある。

3ともサウジアラビアを盟として仰いでいて非常に密である。

米国英国仲良し。君の一族が英国学校で学ぶ。

となっている。

半島がカタールexit島がバーレーンexit第二の都市ドバイで競馬exitをするのがUAEexit、とおぼえるといい。

湾岸諸国の君主制

狭義の湾岸諸国(GCC6ヶ)はすべて君主制だが、称号が異なっている。

サウジアラビアバーレーンマリク(Malik)。Kingと英訳され、国王と和訳される。

UAEカタールクウェートがアミール(Emir)。そのままEmirと英語表記され、首長と和訳される。

オマーンがスルタン(Sultan)。そのままSultan英語表記され、国王と和訳される。

これらの称号に上下の差はい。国王が上で首長が下かというと、そんなことはない。マリクは「支配者」、アミールは「軍官」、スルタンは「権威」という意味で、いずれも1000年ほど前からアラブ世界で使われている立称号である。現在社会でも全く同じように使われる。

ちなみに、マリクとスルタンはH.M.(His Majesty 陛下) アミールはH.H.(His Highness 殿下)というのが称号に付けられる。

こうした君たちの子はたいてい、イギリス学校で学んで自に帰っていく。イギリス君主制なので気が合うのであろう。

2017年カタール外交危機

2017年6月5日サウジアラビアなどの中東5ヶが、イラン支援するエジプト政治団体への資援助を理由にカタールと断交した。結束を誇っていた狭義の湾岸諸国(GCC6ヶ)が分裂した。

カタールペルシャ湾のガス開発イランと衝突したくないという事情があり、近年はイランと同調することが増えていた。そうしたカタール行動が、イランの仲であるサウジアラビア逆鱗に触れてしまった。

ちなみにサウジアラビアイランの仲で、中東世界導権を巡り常に争っている。2の相違点を表にするとこうなる。

サウジアラビア  イラン 
民族 アラブ人 ペルシア
アラビア語 ペルシア語
スンナ派 シーア派
米国 の字がつくほどの親米 かつて親米だったが1979年革命後は強反米
歴史 メッカメディナというイスラム聖地を持つ イスラム以前に世界大帝国[1]を築き上げた誇りあり
砂漠で暑い 砂漠で暑いところもあるが、高原涼しいところもある

似ているのは、どちらも広大な領土を持っている軍事石油産出量が大であること、程度である。

この断交によりカタールは陸路・路・路を封鎖され、サウジアラビアUAEから輸入していた食料品が手に入りにくい事態となり、スーパーの棚がになった。サウジアラビア域を通過できなくなり大回りの路を強いられ、カタール航空の経営も悪化した。

米国クウェートが関係善に向けて仲介に乗り出した。2017年9月にはサウジアラビアカタールの両首電話会談して緊緩和へ少し前進した。 

英国フィナシャルタイムズが報じるところによると[2]2020年11月になってサウジアラビアカタールとの関係回復に乗り出したという。11月3日アメリカ合衆国大統領選挙が行われ、民主党ジョー・バイデン補が勝利する見通しになった。ドナルド・トランプ大統領イスラエル寄りであり[3]イスラエルに敵対するイランに厳しい外交政策をとっており[4]イランと敵対するサウジアラビアに対して大量の武器供与を行い[5]サウジアラビアへの武器売却を議会に反対されても拒否権を発動し[6]サウジアラビアムハンマド・ビン・サルマン皇太子が承認して政府機関ジャーナリストのジャマル・カショジを殺させた後も皇太子に対して追求の圧を加えることをせず[7]底的にサウジアラビア寄りの姿勢を示していた。そのドナルド・トランプ大統領選挙で敗れて民主党ジョー・バイデン大統領になるので、サウジアラビアに対する米国の様々な圧が強化されることが予想された。その圧をすこしでも緩和するため、「カタールとの回復」という外交成果を挙げておいて、ジョー・バイデンへ恩を売るだろう、とフィナシャルタイムズは推測した。

2021年1月5日になってついにサウジアラビアカタールの断交状態が解消され、交が回復した[8]

関連項目

脚注

  1. *紀元前6世紀にアケメネスペルシアという大帝国を建設してオリエント世界を統一した。3世紀にはササン朝ペルシアを建して強勢を誇った。7世紀中盤になってササン朝ペルシアイスラム教に征された。イスラム教が生まれたのは7世紀初めのことである。
  2. *フィナンシャルタイムズ紙2020年11月28日記事exit
  3. *ドナルド・トランプイヴァンカ・トランプ婿がジャレッド・クシュナーというユダヤ教徒である。
  4. *2018年5月8日ドナルド・トランプ大統領イランに対する核合意から離脱し、イランに対する強経済制裁を開始した。BBC記事exit
  5. *ロイター通信2019年5月24日記事exit
  6. *フランス通信(AFP通信)2019年7月25日記事exit
  7. *2021年2月民主党政権になったあと、米国政府は「ジャマル・カショギの殺皇太子の承認があった」という報告書を提出した。BBC記事exit
  8. *フランス通信(AFP通信)記事exit

【スポンサーリンク】

  • 2
  • 0pt
記事編集 編集履歴を閲覧

ニコニ広告で宣伝された記事

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

湾岸諸国

1 ななしのよっしん
2018/05/19(土) 02:17:28 ID: qiJmtQ5Y+k
分かりやすくて詳しい記事……です
👍
高評価
0
👎
低評価
0
2 削除しました
削除しました ID: S7sbauEPuX
削除しました
3 ななしのよっしん
2021/01/31(日) 22:01:53 ID: +QsaIYHJwV
そしてカタール排除は大失敗しかったことになった
👍
高評価
0
👎
低評価
0
4 ななしのよっしん
2023/03/11(土) 01:25:00 ID: x/TnuxjnXk
イランサウジアラビア交正常化するようです。2016年から約7年間断交していたが、中国の仲介を受けて交を回復させる。https://jp.reuters.com/article/idJP2023031001002064exit
👍
高評価
0
👎
低評価
0

急上昇ワード改