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源頼光（948？～1021）とは、平安時代中期の武将・軍事貴族である。
軍事貴族・源頼光
源満仲と源俊の娘の間に長男として生まれた。当時都は摂関政治の最頂点であり、一条天皇を擁立した藤原兼家に清和源氏も付き従っていた。彼が最初に表舞台に登場するのは藤原兼家のもう一人の外孫・居貞親王（三条天皇）の春宮権大進としてであり、三条天皇の即位後は殿上人に、退位後は三条院の院司に就任するなど、三条天皇の側近としてふるまうのである。
源頼光は988年に藤原兼家の二条京極第落成の宴に対し、莫大な経済奉仕を行っている。この時点でまだ受領の座になく、父から財産を受け継いだ、もしくは武門源氏の当主としてのお披露目という意味があったのかもしれない。このように頼光は生涯を通して藤原道長に至るまでの九条流藤原氏に経済奉仕を続けていく。
源頼光は少なくとも992年に備前守にあたり、これは当時藤原頼忠派と対立を起こし、備前国を掌握しようとする藤原兼家派の意図があったともいわれている。その後も確実な記録で知られるだけでも美濃、但馬、再度の美濃、伊予、摂津といった富裕な国々の受領を任じられていった。さらに1006年には四位に昇進し昇殿を許されて殿上人になっていたのである。加えて1013年から1018年までには宮中の財産を管理する内蔵頭にも就任しており、頼光の富裕さと摂関家との協力関係がうかがえる。
そんな源頼光も摂関家の暴力装置として機能し、藤原道隆、藤原道兼の没後起こった藤原道長の関白就任・長徳の政変では藤原伊周、藤原隆家の配流の際、有力な軍事貴族として動員されている。実は頼光の武的活動が史料に残っているのはこの一回のみである。
武人・源頼光
と、ここまで三条天皇、藤原道長の側近として史実の源頼光を見てきたが、彼といえば頼光四天王（渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武）らと協力して酒呑童子などを退治した、数々の武士としての伝説が描かれ、武人の代表という扱いであった。
しかし上にも挙げたとおり史実の源頼光は伝説の武士からは程遠く、京で繁忙な生活を送った頼光は所領への下向や狩猟などの機会すらほとんどなかったといわれている。『今昔物語』には彼の郎党として平貞道、平季武、坂田公時の3人の名前が出ており、畿内周辺の弱小軍事貴族を郎党化させてはいたようだ。
摂津源氏のその後
源頼光の子孫・摂津源氏は多田氏をはじめとした多田源氏や土岐氏をはじめとした美濃源氏など、様々に分かれていった。
頼光の長男源頼国は讃岐・美濃などの受領を歴任し、一条天皇の六位蔵人、退位後の判官代、ほかにも後一条天皇や藤原彰子といった藤原道長と近しい存在に仕え、道長とより緊密な関係を結んでいったようだ。彼は文化的武人としてほとんど武人としての活動はない。
さらに源頼国の五男にして嫡男・源頼綱も摂関家家司となったうえ歌人として活躍し、その兄・源実国も九条家の家司を務めるなど、もはや貴族同然になっている。一応弟の源国房は美濃源氏となり、代々院北面を務め、河内源氏と抗争を繰り返すなど武人的側面を持っていた。
こうして成立した頼綱流の多田源氏は結局貴族としてではなく、「京武者」として摂関家に臣従するとともに、次第にかつての武士としての性格をより顕著にしていく。しかしその息子・源明国は弱体化する摂関家に付き従うも、洛中での殺人で佐渡に配流してしまった。
こうして大きな政治的打撃を受けた多田源氏は摂関家に従属し、源行国の息子・源頼盛と源頼憲に至っては多田荘をめぐって保元の乱で相対するのである。
この時勝者である後白河天皇側についたのは源頼盛であり、彼の息子多田行綱と、源明国の甥・源頼政が治承・寿永の乱で歴史の表舞台に出るのである。しかしどちらもその末路は悲惨なものであり、源頼光が伝説化される一方で、彼の子孫たちは輝きを失っていったのであった。
その後没落した源頼政の子孫を上杉氏が拾い上げたのが太田道灌でおなじみの太田氏だったりする。また摂津源氏は摂津源氏でも、美濃源氏土岐氏は有力武士として近世まで続いていった。
関連項目
- 日本史の人物一覧
- 清和源氏
- 坂田金時
- 酒呑童子
- 土蜘蛛
- O・TO・GI～百鬼討伐絵巻～
- お伽草子
- 牙狼 -紅蓮ノ月-
- 新ゲッターロボ
- Fate/Grand Order
- 源頼光（Fate/Grand Order）
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