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溶連菌とは、人間(ヒト)に病気(感染症)を起こす細菌の一種である。
正式名称は溶血性連鎖球菌。化膿レンサ球菌ともいう。
概要
毒素を産生し血液中の赤血球を破壊する性質を持つことや、顕微鏡で見ると球体が連なっているように見えることからからその名が名付けられた。
様々な病気を引き起こし、感染経路や部位によって症状が大きく異なる。
溶連菌が引き起こす主な病気
急性扁桃炎
溶連菌が扁桃(扁桃腺)に感染することで起こる。主な症状は高熱、強いのどの痛み、首のリンパ節の腫れなど。
通常は抗生物質で治療するが、重症の場合や再発時は手術で扁桃を摘出することも…。
ちなみに溶連菌以外だとインフルエンザ菌(インフルエンザの病原体ではない)や肺炎球菌、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、エンテロウイルスなどが原因となることもある。
伝染性膿痂疹
とびひとも呼ばれる皮膚の病気。赤い水疱ができ、それがやがてかさぶたに変わる。
小さな傷から溶連菌などが感染して発症する。また、溶連菌の他にも黄色ブドウ球菌などが原因となることもある。
猩紅熱
子供に多い病気で、溶連菌が出す毒素によって高熱やのどの痛み、全身の発疹などの症状があらわれる。猩紅熱の病名もこの発疹が由来となっている。また、舌がイチゴのように真っ赤になるのも特徴である。通常の風邪とは異なり、咳や鼻水などの症状は少ない。
高度経済成長期より前は赤痢やコレラ、腸チフスなどと同じ法定伝染病に指定されており恐ろしい病気として知られていたが、現在は抗生物質で簡単に治療できる模様。ただし、治るまでには時間がかかる他、重症の場合は肺炎や髄膜炎、敗血症などの合併症を併発して死亡することもあるので油断は禁物。
リウマチ熱
溶連菌に感染した後に過剰な免疫反応によって全身に炎症が起こる怖い病気。
アレルギー性紫斑病
溶連菌に感染した後に過剰な免疫反応によって全身の血管に炎症が起こる病気。
全身の皮膚に出血性の発疹ができる他、腸の血管が腫れ上がることで激しい腹痛や嘔吐、下血などの症状があらわれたり、腸重積症という重大な合併症を起こすこともある。
急性糸球体腎炎
溶連菌に感染した後に過剰な免疫反応によって腎臓の糸球体と呼ばれる部位に炎症が起こる病気。
血尿や蛋白尿、全身のむくみ(浮腫)、高血圧などの症状があらわれる。
子供は比較的予後良好でちゃんと治療すれば完治することが多いが、大人は慢性腎炎に進行してしまう危険性が高い。
壊死性筋膜炎
稀だが、非常に危険な病気。溶連菌が皮膚の傷口から感染した後に急速に全身の筋肉や臓器を腐らせてしまう病気。
人食いバクテリア、劇症型溶連菌感染症などとも呼ばれる。
主な症状は高熱や筋肉痛、腫れなどだが、激しい痛みと腫れが急速に広がっていき、全身が著しく衰弱し意識障害を伴うのが特徴である。大至急治療しないと播種性血管内凝固症候群や多臓器不全などの重大な合併症を起こし死亡する可能性が非常に高い。致死率は30%以上である。
治療は入院が必要であり、腐った組織を手術で取り除く。手足が腐ってしまった場合は手足を切断することも。
ちなみに他の細菌が壊死性筋膜炎の原因となることもある(ビブリオ・バルニフィカスなど)。
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