漫才か漫才じゃないか論争とは、M-1グランプリ2020のチャンピオンとなったマヂカルラブリーの漫才を発端として巻き起こった論争である。
概要
マヂカルラブリーのネタというと、『ボケの野田クリスタルがアクティブに動き回り、その様子を相方の村上が横から見ながらツッコミを入れる』、というスタイルが主である。特に野田はマイクの位置など関係なしと言わんばかりに動き回るのが特徴で、いわゆる二人の掛け合い・しゃべくりといった漫才のイメージとはかけ離れたスタイルといえる。一般人はもちろん、審査員にとっても賛否両論のあるスタイルであり、初の決勝進出となった2017年のM-1では10組中10位となり、一部の審査員と丁々発止のやり取りを見せるなど散々な結果に終わった。
そのマヂカルラブリーが2020年に再び決勝進出を果たし、4年前と全く同じスタイルを貫いた上でチャンピオンに輝いた。前年度のチャンピオンであったミルクボーイはマヂカルラブリーとはある意味真逆のしゃべくり漫才でチャンピオンに輝いたということもあり、両者が比較されて「あれは漫才なのか」という論争が巻き起こった。
論争はお笑い好きはもとより同業者であるプロの芸人たちの間にも巻き起こり、「あのコンビは漫才じゃない」という言われ方をするコンビも登場するようになった。
この論争はマヂカルラブリー自体もネタにしており、冠番組「マヂカルクリエイターズ」で「漫才のようなもの王」を開催している。また、マヂカルラブリーの影響があったのかは定かではないが、翌年に開催されたM-1グランプリ2021には個性的なコンビのエントリーが例年よりも増加したらしい。
「漫才」と「漫才じゃない」の境界線
その後、マヂカルラブリーはこの論争に決着をつけるべく、M-1グランプリ2020のDVD特典映像(amazonプライムビデオで視聴可能)に収録された「漫才論争へのアンサーLIVE」にて「どこまでが漫才でどこまでが漫才じゃないか」という境界線をつけるための分析を行った。
分析の中で、二人は「ネタ中にコントインするか」という点に着目し、「2人ともコントインするか」「コントインして戻ることがあるか」の2点を基準に以下のような表を作り上げた。表の下位に行くほど「漫才じゃない」ということになる。
2人ともコントインしない | コントに入らずひたすら掛け合いを続ける、いわゆるしゃべくり漫才のパターン。 M-1チャンピオンではブラックマヨネーズ、ミルクボーイなどが該当する。 |
1人だけコントイン⇒戻る | ボケが「◎◎をやる」というコントに入り、ツッコミのタイミングでボケが素の状態に戻るパターン。 マヂカルラブリーの「高級フレンチ」のネタなどが該当する。 |
1人だけコントイン⇒戻らない | ボケが「◎◎をやる」というコントに入り、そのまま戻らない様子にツッコミを入れるパターン。 霜降り明星、マヂカルラブリーの「つり革」のネタなどが該当する。 |
2人ともコントイン⇒戻る | ボケとツッコミが両方ともコントに入り、ツッコミのタイミングで素の状態に戻るパターン。 笑い飯などが該当する。 |
1人開幕コントイン | 1人が舞台に登場した瞬間から何らかのキャラクターに入っているパターン。 コンビの1人だけキャラクターになっているコンビが該当すると思われる。 |
2人ともコントイン⇒戻らない | ボケとツッコミが両方ともコントに入り、コントに入ったまま掛け合いが進行するパターン。 マヂカルラブリーによるとさらにこの分類の中でも強弱があり、 そこに「漫才じゃない」の境界線があるという。 サンドウィッチマン、和牛などが該当する。 |
2人開幕コントイン | 2人とも舞台に登場した瞬間から何らかのキャラクターに入っているパターン。 限りなくコントなので漫才ではない。 |
ルール違反 | 自分の身体以外の道具を使う、音楽を使用するパターン。 M-1グランプリにおいては失格の対象になると言われている。 また、ギター・小鼓・扇子については伝統的に使われているので特別にOKとされ、 衣装については奇抜でもネタにしなければルール違反にはならないという。 |
野田によると、ほぼ全ての漫才をこの表に当てはめることができるという。「もう少し作りこんでM-1の審査員にこの表を渡したい」とも語っている。
そして先述のアンサーLIVEの中で、マヂカルラブリーは「漫才」と「漫才じゃない」の境界線ギリギリを狙ったネタを披露した。詳細は各自の目で確かめてもらいたいので割愛するが、基準として「2人ともコントインして戻らない」「衣装は奇抜だがそれをネタにしない」を狙ったネタであるという。
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関連項目
最後に野田クリスタルからひと言
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