漫画(まんが)とは、面白おかしい絵を原義として絵と活字で物語を展開させる娯楽媒体のひとつである。
同義語のコミック(Comic)も用いられやすい。
普通は「意図的に連続性をもって並置された絵画的イメージやその他の図像」の意味で用いられるが、それらに描かれるような(主にデフォルメの強い)絵の使われている映像等を指して使われることもある。
概要
漫画は、日本古くから存在し、鳥獣戯画などにその原型がみられる。同作は動物や人間を滑稽に巻物に描いている。
元々、漫画の「漫」には「気軽な」「取り留めもない」「滑稽な」などの意味があり似た成り立ちを持つ言葉に「漫談」「漫遊」などがある。ここでの漫画は絵自体が面白おかしいものであり、物語性などは関係しない。
- ジャンルや形式、画風、対象とする読者層は様々。
- 文字だらけの小説と比較し読みやすく、視覚的な絵があるため内容が明瞭。
- 自由度が高い反面、構図や構成は作者や編集の技量、構成能力に大きく左右される。
- 絵やセリフ(吹き出し)が場所を取るため、小説と比較し1ページ内に収める内容には限度がある。
- 小説家、アニメ化、ゲーム化、映画化、海外への輸出が行われる場合も多い。
- 逆にそれらが漫画化されて発売される(コミカライズ)される場合もある。
- 漫画自体は静止画だが、パラパラ漫画のような例外もある。
- 特に秀逸なものはアニメや映画と同様に社会現象を巻き起こすことも珍しくない。[1]
絵やストーリーに連続性のないものは、イラスト、一枚絵[2]と呼ばれて区別される場合もある。
普及
かつては日本に限らず「漫画は子供が読むもの」と捉えられがちであった時代もあるが、先人の方々の活躍で老若男女問わず広く浸透し世界に誇れるレベルとなった。図表も交えて明瞭に表現しやすいため、学習漫画[3]や製品や産業・職業・地域文化等の紹介にも広く用いられるなど非常に汎用性の高いものとなった。
日本は南北で気候に富み四季があり、ひらがな、カタカナ、漢字、英語[4]など多彩な表現、繊細な表現があるのも後押しした要因と言われる。
ただし名作漫画であっても、読書や読書感想文の対象とはみなされない場合が多い。
海外で同じものを描こうとすると…
割と表現の自由がない。
日本では少年誌でもあっても銃・酒・ギャンブル・煙草、犯罪、宗教(神仏など)、出血、性的表現[5]といった表現が幅広く描けるが、海外で同じ内容を描こうとすれば露骨なエロがなくともR-18指定や発禁になってしまうなど、国家・法律によってセルフ縛りプレイにされてしまい、そもそも描けない場合も多い。(→CERO)
日本から海外に輸出されるものは、不都合な部分が黒塗りされたり消されたりといった措置が講じられる。(アニメ・映画等も同様である)
職業として
漫画を描く職業は「漫画家」と呼ばれ、特性が大きく異なってくる。
ただし競争が激しく人気がなければあっという間に打ち切りなど、成功者は一握りすら居ない。[6]連載できても自由時間や寝る暇が無かったり、構成[7]が甘くフルボッコに叩かれたりと大変な仕事である。肝心なところでネタ切れを起こそうものなら致命的である。
もちろん、有名誌に連載している=金銭的に不自由なかったり、億万長者ではない。
毎月同じ仕事内容をこなしていれば安定した給与や休日が貰えるわけでもないため、いくら売り上げがあっても夢の仕事どころか心身ボロボロなブラック企業のような状態にもなりうる。また、アシスタント代は自腹[8]であるため、原稿料の安い間に大勢雇えば原稿料はだいたい消滅する。
現在の漫画
現在の漫画は絵を主体として台詞(吹き出し)や擬音・効果符を付けた複数の絵を連続的に読むことで物語性を持たせた物を大部分に指す。
その分野はアクションバトルもの、ギャグもの、恋愛もの、ミステリーものなど、そのジャンルはテレビドラマや映画、小説と同様に多岐にわたる。前述の分野を同時に複数併せ持つ作品も多く、とりわけギャグものと恋愛ものをミックスした「ラブコメディ(通称ラブコメ)」は日本の漫画市場において最も主要なジャンルの一つとして成立しており、多数の人気作品が発表されている。作者や時代、ジャンル、読者層などによって、ワク(コマ)の大きさや形など演出の仕方は大きく異なり、表現の自由度は高い。
ただし、基本的にプロは商業雑誌に連載する宿命にあり、商業性を排除して表現を追及するのは難しい。最近では同人誌の存在が大きくなっているが、結局その世界でも注目されるジャンルというのは限られている。
形式としては1コマ漫画、4コマ漫画とそれ以外の物語が主体のもので分けられることが多い。物語を主体としたものでも、「ブラック・ジャック」のように20~30ページの(雑誌ではちょうど1話分となる)短編を基本とするものと、数百ページに渡り物語を展開する長編ものに分けられる。
人気のある作品だと、アニメ化・(実写)ドラマ化・ゲーム化・映画化される事が多く、その際に独自の要素が加えられる事が多々見られる。外伝/スピンオフ・特別編が作られることもある。
角川書店に代表される、1つの作品をアニメやゲーム等複数の媒体で展開する「メディアミックス」の一環として最初から意図して作られる作品も、1990年代後半あたりから増えてきている。
さらに最近では人気小説(ライトノベル)や映画のコミカライズ(漫画化)も珍しくなくなってきた。
他媒体との違い
「読者にヒントを与えて想像で補わせる」という点では漫画は小説や映画と同じく表象の一種であると言えるだろう。漫画はコストや規模の点で映画よりも小さく、読者に与えられる想像の余地は小説よりも狭いが、漫画にはそれらにない独自の利点がある。
漫画は絵が並置された(もしくは並置されることが仄めかされた)ものであり、台詞を加えることで絵でありながら物語をも表している。これは動作や印象を視覚的に伝えながら、会話に再現性を与えることを可能にする。また絵が静止しているということはその絵を見ることに好きなだけ時間を費やすことができるということでもある。読者は可能なら前のコマに戻ったり、次のコマをチラ見したりすることもできる。作者はコマの人物配置やデフォルメ度合い, 線や記号, 構図等を用いて、その場面が誰によってどのように捉えられているかを語ることが容易であり、視点となる人物を変更することもできる。
写真や実写映像に対し、絵画表象はデフォルメが可能である。漫画的な絵は写実性のほかに、言語のような「意味」や図形のような「抽象性」を帯びることが可能である。用いる画材や線の引き方によって印象が変わるのはその最たる例である。絵画がその絵の中にあるもの同士の対比によって意味や印象を変化させるのに対し、映像や漫画は前後の映像やコマとの時間的な対比をも用いることができる。映像は時間を巻き戻すことが難しいが、漫画の場合は前後のコマをいつでも確認でき、個々の人物の特徴を覚えておく必要がない。このため人物の立ち位置が左右で入れ替わっても映像ほどの違和感は生じない。また多くの場合映像には音が付いているが、漫画の読者はコマの時間と音声について想像でその内容を補うことができる。また映像や音楽, 料理が複数人で同時に楽しめるものであるのに対し、漫画や小説は同時に楽しむということが難しい。
- 小説は心情や世界観設定について詳細に語ったり比喩表現をしたりするのが得意である。漫画やアニメはこれらをモノローグで表現するか、背景やキャラクターの演技等で婉曲的に伝えるしかない。特にモノローグはあまり好まれない傾向にある。
- 小説は長い時間を短く語ることが可能だが、漫画やアニメではあまり多用できない。
- 小説は外見や動作について読者の想像の余地があるが、反面再現性がなく、想像力のない読者がふるい分けられる。
- 漫画や映像は絵で見て分かりやすいため、ある程度読み手と言語が違っても通じる。また好きなページやシーンを他人に開いて示すことが容易である。
- 漫画や映像は背景に溶け込ませるなどして並列して受け手に情報を与えることができるが、小説は情報を順に出していくしかない。
- 漫画や映像は多人数を同時に登場させやすいが、小説は誰が話しているかを明確にする都合上、あまり多くの人物を同時に出すことが難しい。
- 漫画は特定の情報を見開きや集中線で視覚的に強調しやすいが、小説は語り方によって差をつけるしかない。
ニコニコ静画における漫画
ニコニコ静画では、基本的に1P漫画や4コマ漫画といった、イラストの掲載形態として投稿される。また、カテゴリタグは存在せず、アニメ化済みの作品には「アニメ」、そうでないものには「キャラクター」が張られ、漫画はあくまで「二次創作の題材作品のメディア」としては扱われず、掲載形態のみである。 (同じ事は小説・ライトノベルにも言える)
分類
対象
- 児童(向け)漫画・幼児(向け)漫画
- 少年向け
- 少女向け(少女漫画)
- 青年向け(特殊な読み方の場合以外、漢字にルビが振られていない物が多い)
- 成人向け(一般的に「エロ漫画」と呼ばれる)
- 婦人向け(レディースコミック)
- 同人誌
形式
ジャンル
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登場人物としてのジャンルは「萌え要素・属性の一覧」を参照。
漫画とは僅かに異なるが、オフィシャルガイドブック、ファンブック、原作者の画集のような
漫画本編では語られない設定資料や裏話、書き下ろしを集めたものが別途販売される場合もある。
記事がある雑誌
児童誌
少年誌
青年誌
少女誌
4コマ誌
- まんがタイム
- まんがタイムジャンボ
- まんがタイムきらら
- まんがタイムきららフォワード
- まんがタイムきららMAX
- まんがタイムきららキャラット
- まんがくらぶオリジナル
- まんがライフMOMO
- まんが4コマぱれっと
- 4コマnanoエース
- 月刊コミックキューン
オンライン誌
成人誌
関連動画
関連チャンネル
関連項目
紹介・サービス |
用語などその他 |
脚注
- *動作や決め台詞・必殺技をモノマネされたり、海外を巻き込んだネットミームとなったり、グッズ販売等で転売厨が暗躍するなど。
- *厳密には挿絵、毎話開始時の扉絵、単行本の表紙絵など名称は細かく枝分かれする。
- *例として、難しそうな偉人伝や参考書も丁寧な漫画で気軽に読みやすくされている場合も多い。
- *ただし和製英語など誤って覚えられている部分はある。
- *性的表現=エロとは限らず、胸の谷間はもちろん一定以上の肌露出でもアウト。
- *書店の本棚や掲載スペースにも限りがあるため。
- *伏線や後先を考えずに話を進めてしまい、無理のあるご都合主義や主人公補正を使わざるを得なくなるなど。
- *アシスタントを雇う義務があるわけではないが、熟練で正確で速いアシスタントのほうが時給は高い。
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