潜水空母とは、伊四百型潜水艦及び伊十三型潜水艦の俗称である。公式な艦種としては存在しない。
航空機の運用能力を持った架空の潜水艦を指して、潜水空母と呼ぶ場合もある。
伊四百型潜水艦及び伊十三型潜水艦について
伊四百型潜水艦は水上攻撃機「晴嵐」を3機搭載し、アメリカのパナマ運河を攻撃することを目的に建造された潜水艦である。このため、航空機による攻撃を目的とする本艦級が俗に潜水空母と呼ばれている。
なお、伊四百型以外にも水上機を搭載した潜水艦が存在し、伊四百型潜水艦の計画縮小による代替艦として伊十三型潜水艦がある。伊十三型も晴嵐の2機搭載が可能である。
その他の潜水艦に搭載された水上機は、いずれも偵察機であり攻撃を前提としていない。
アメリカ本土を空襲した伊二十五の搭載機も、例外的な運用をしただけの偵察機であった。
現実における潜水空母
潜水艦に航空機を搭載するには多数の技術的問題がある。列挙すると
等が挙げられる。
特に隠密性を最大の優位点とする潜水艦にとって、航空機の発着のために浮上しなければならないという欠点は致命的であった。1950代に米海軍で運用されたレギュラス巡航ミサイルは有翼の無人飛行機に近いものであり、いちいち浮上して「フライトデッキ」から発進させるといういわゆる潜水空母に似た運用をされていたが、これもポラリスSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)が実用化されると廃れている。
現代では、潜水艦からの対地攻撃は弾道ミサイル潜水艦が搭載するSLBMや、潜水したまま魚雷発射管やVLSから発射できるより小型のミサイルが担っており、航空機の出る幕はほぼなくなっている。しかし米海軍などでは潜水艦から偵察用の小型無人機を運用する構想を立てており、実際に試験を行って成功させている。
架空の潜水空母について
現実では有効な運用をされず廃れてしまった潜水空母だが、仮想戦記小説やアニメ、ゲーム等のフィクションに登場し、活躍することがある。
『紺碧の艦隊』には「特潜伊601 富嶽号」を始めとする航空機の運用能力を有する潜水艦が多数登場している。
『鋼鉄の咆哮』には超兵器として船体上部に飛行甲板を備えた潜水空母が登場。
作品によっては自軍の艦として建造・操作が可能である。
『エースコンバット5ジ・アンサング・ウォー』には「シンファクシ級潜水空母」と呼ばれる軽空母並の艦載機運用能力を有する潜水艦が登場する。
『機動戦士ガンダム』には「ユーコン級潜水艦」、「マッドアングラー級潜水母艦」等の機動兵器の搭載能力を有する潜水艦が登場し、性質的には潜水空母に近いものと推測される。
『フルメタル・パニック!』には「トゥアハー・デ・ダナン」という強襲揚陸潜水艦が登場するが、これは人型兵器であるASに加え、ヘリやSTOVL機の運用も可能であることから、潜水空母としての面も有している。
『艦隊これくしょん』には現在、入手時には通常の潜水艦だがレベルを上げて改造することで潜水空母となる艦として「伊58」「伊19」「伊8」「伊26」が、入手時から潜水空母として運用できる艦として「伊401」「伊400」「伊13」「伊14」が実装されている。これらの艦は「瑞雲」「試製晴嵐」などの水上機を搭載することができるが、搭載機数が非常に少ないため実用性は薄い(1-1でのキラ付けには有用)。
また、「二式水戦改」や「Ro.44水上戦闘機」等の水上戦闘機が実装されたことにより状況は変化。
水上戦闘機による制空補助により、航空優勢以上を取ることで戦況を有利に進めることも可能となった。
特に改造することで3スロットになる伊13、伊14は制空補助と魚雷での夜戦カットインを両立できる貴重な存在である。
余談だが、「蒼き鋼のアルペジオ」とのコラボイベントで使用可能だった、伊401をモチーフにした艦「イオナ」は水上機搭載能力を持たない。
アニメ『宇宙空母ブルーノア』のタイトルにもなっているブルーノアは、「宇宙空母」という肩書こそついているものの、潜水航行可能かつ航空機運用能力を持ち、潜水空母と呼ぶ方が近い(潜水艦の運用能力なども持っているが)。実際ストーリー中でも宇宙よりも海洋で行動することが多かった同艦に「宇宙空母」の名が冠されたのは、宇宙とつけたほうが企画が通りやすい≒売れやすそうとの判断が働いたためという説がある。宇宙ヤバい。
関連動画
関連商品
関連項目
- 4
- 0pt