火打石とは、火を起こす道具である。
概要
火打石は、金属(火打金)に石(火打石)を勢いよく擦り当てることで火花を起こし、燃料や着火材に火をつける道具である。火種が無くとも火を起こせるので野営の時に重宝する。
火打「石」と呼ばれるが火を起こす元になるのは金属の方なので、ただの石と石をぶつけても人間の手で火花を起こすことは困難。
金属に石を打ち当てる運動エネルギーが金属を摩擦と変形で発熱させ、ちぎれた高温の金属片が燃焼しながら火花として飛び散るのが基本原理である。従って、火打金は石より適度に柔らかいが脆くなく割れにくい、酸化しやすいものが望ましい。一般的には鉄が使われるが、酸化しやすさからマグネシウムの火打石もある。石の方は固く割れにくければ何でもよく、チャートや石英、場合によっては鉄やステンレスなどが使われる。
火打石の原理を日常で見られるものにはヤスリ式のライター、工事現場などで回転砥石で金属を切る作業などがある。ライター程度なら火花は非常に小さく触れてもあまり熱くないが、乾いた綿や石油系の燃料などは小さい火花でも景気よく燃えるので注意が必要。後者のように連続して大量に火花が出る場合はさらに危険である。錆びた傘の骨を乾いた地面に擦り当てると勢いよく火花が散る。
日本では江戸時代から、仕事に出る夫に向けて火打石をカチカチ言わせて送り出す風習があった。これは景気をつけるための験担ぎであって、カチカチ山の狸のように夫を燃やしたいわけではない。
関連項目
- 2
- 0pt