『灼眼のシャナ』(しゃくがんのしゃな)とは、2002年から2012年まで電撃文庫より刊行された高橋弥七郎著のライトノベル作品、またはこれを原作とするアニメ・漫画・ドラマCD・ゲームのことである。
概要
人間の持つ「存在の力」を喰うことで「いなかったこと」にする異世界の住人“紅世の徒”(ぐぜのともがら)と、それを討つことでこの世のバランスを維持する元人間の異能者フレイムヘイズが、人間社会の裏に存在し戦い合う世界を舞台に、シャナと坂井悠二の成長と戦いと恋愛を交えて描かれる痛快娯楽作品。
原作はナンバリングである本編22巻に加えて短編集4巻の全26巻。累計860万部を越える人気作である。本編の巻数表記はローマ数字のため、終盤になるにつれては表記がだいぶややこしいことになっている。イラスト担当のいとうのいぢが初めてラノベの挿絵を手がけた作品であり9年間に渡って刊行されているため、上達ぶりをつぶさに見ることができる。
広い世界を舞台とする長編物の宿命として、かなり登場人物が多くなっている。また、群像劇の傾向が強く、主人公であるシャナと悠二以外のキャラクターに焦点を当てることも多い。全巻読んだ後に、wikipediaに載ってる登場人物一覧表を見ておくと良いかもしれない。
この作品では本編に連なる短編(あるいは中編)は『外伝』、本編とは繋がりのないなんでもありな話は『番外編』と定義されている。違いは中身で一目瞭然だが、タイトルも外伝はカタカナ表記で、番外編はひらがなで表記され区別されているため判別は容易である。
これとは別に5の倍数巻(除く20巻)では本編をプロローグとエピローグに挟みつつ、本編の過去を描いた外伝が描かれているが、これは現代である本編ストーリーに深く関わる過去編であるため。
ドラマCDや漫画やアニメなどメディアミックスも広く展開しており、ドラマCD、ゲーム、漫画では、作者による公式外伝も存在する。
基礎用語
→ 灼眼のシャナの用語一覧を参照
アニメ版
2005年10月にテレビアニメ第一期が放映され、2007年にはTVシリーズ第二期「灼眼のシャナⅡ」(全23話)が制作、放映。第一巻を比較的原作寄りにアニメ化した劇場版も制作された。
2009年10月からはOVAシリーズ『灼眼のシャナS』(全4巻)が発売され、2010年10月から第一期が再放送された。
2011年、続けて第二期も再放送され、第三期III-Finalが告知された。同年10月より「灼眼のシャナⅢ」(全24話)が放送され、最終巻までをアニメ化、完結した。
二期&三期について詳しくははそれぞれ「灼眼のシャナⅡ」「灼眼のシャナⅢ」を参照。
第一期「灼眼のシャナ」について
原作とはキャラの性格・設定・ストーリー・デザインなどが大きく改変されており、基本的に原作とは別物と考えた方が良い作品である。
これは第一期制作時点では二期の制作企画は全く立ち上がっておらず、(当時は最初で最後のアニメシャナになるはずだった)第一期を切り良く終わらせるためのオリジナルストーリーを重視した結果と、想定外に始まった二期以降もその改変に引きずられているという面が強い部分もある。
こうしたことから、原作には全く存在しないアニメ版オリジナルのキャラクターや道具なども幾つも存在する。
「原作をアニメ化したもの」としての評価は微妙であるが、単純なアニメ作品としては十分に成功の域の作品であり、『灼眼のシャナ』の知名度を大きく広げた。
アニメDVDの特典映像では、「シャナたん」というシャナのデフォルメキャラが登場しする。また、原作が同じ出版社(角川)であることや、アニメの制作会社が同じ(J.C.STAFF)であることから、とある魔術の禁書目録のインデックスが友情出演したことがある。
各話リスト
話数 | サブタイトル | 動画 |
---|---|---|
第1話 | 全ての終わり、一つの始まり | |
第2話 | 灯る炎 | |
第3話 | トーチとフレイムヘイズ | |
第4話 | 惑いのフレイムヘイズ | |
第5話 | それぞれの想い | |
第6話 | 交錯・発動・対決 | |
第7話 | 二人のフレイムヘイズ | |
第8話 | 麗しのゴブレット | |
第9話 | 恋と欲望のプールサイド | |
第10話 | 絡まる想い | |
第11話 | 悠二とシャナとキス | |
第12話 | ゆりかごに花は咲いて | |
第13話 | 校舎裏の宣戦布告 | |
第14話 | 偉大なる者 | |
第15話 | 炎の生まれた日 | |
第16話 | 炎髪灼眼の討ち手 | |
第17話 | 新たなる序章 | |
第18話 | 砕ける願い | |
第19話 | 戦いの中で | |
第20話 | 非情のヴィルヘルミナ | |
第21話 | 遠ざかる想い | |
第22話 | 揺らぐ炎 | |
第23話 | 星黎殿の戦い | |
第24話 | 紅蓮の想い |
漫画版
漫画版は『月刊コミック電撃大王』にて連載されていた。全10巻。原作にほぼ忠実な設定・ストーリー・デザインで評価も高かったが、原作5巻の過去編を前にして連載終了となった。作画:笹倉綾人。
また、『電撃マ王』にて原作10巻を元にした外伝「灼眼のシャナX Eternal song -遙かなる歌-」が2012年まで連載された。全5巻。作画:木谷椎。
登場人物
メインキャラ
- シャナ - 声:ドラマCD 堀江由衣/アニメ版 釘宮理恵
- 主人公。元人間の異能者「フレイムヘイズ」の一人。契約している紅世の王“天壌の劫火”アラストールのフレイムヘイズとしての称号は『炎髪灼眼の討ち手』(えんぱつしゃくがんのうちて)。
- 元々名前は無かったが、紅世の王“狩人”フリアグネ(かりうど Friagne - 声:ドラマCD 松風雅也/アニメ版 諏訪部順一)を捉えるために「存在」を借りたトーチ「平井ゆかり」(声:浅野真澄)と区別するために、坂井悠二が彼女の武器である大太刀『贄殿遮那』から「シャナ」と呼ぶようになり、フリアグネ戦で消え果てそうになっていた彼の「ずっと使って欲しい」という願いもあって、以後自分の名前にした。
- アニメ版ではツンデレを強調するためか、原作より態度がキツかったり、交友関係が狭かったり、性格に変更が見られる。頑張れ!
- 坂井悠二 (さかい ゆうじ) - 声:ドラマCD 森田成一/アニメ版 日野聡
- もう一人の主人公。しかし人間だった本物の坂井悠二は物語が始まる前からとっくに存在の力を喰われて死亡してトーチになってしまっている。
- 自分がもう死んでいて、そのうち「いなかったこと」になることにショックを受けたり、自分の命綱である宝具「零時迷子」が色々問題を抱えていたり、中に誰かいたりするものの、フリアグネとの戦いの中で見つけた「自分が
何者でも、どうなろうと、ただやる」という答えや、自分の正体を知って支えてくれるシャナやアラストールたち、何も知らずとも大切な家族や友人たちへの思いを胸に頑張る。。 - アニメ版ではヘタレなのに何故かモテモテというキャラ付けにされたらしく、トーチが消費されることに怒ったり、足手纏いであることが分かってるのにシャナの戦闘を追いかけてて邪魔をしたり、シャナのフレイムヘイズとしての行動を否定したりと、原作とは真反対の行動をよく取ったりする。シャナが一目置く要因になった知恵を働かせる場面もアニメ版ではカットされたり、女性に対しての配慮も無かったりする描写があるが、それでも原作より女性にモテる。
- アニメの特典映像では、シュドナイとのアーッ!な絡みが描かれていたりする。
- “天壌の却火” アラストール(てんじょうのごうか Alastor) - 声:ドラマCD 大塚明夫/アニメ版 江原正士
- シャナと契約している紅世の王。シャナを器にしており、本体をシャナの身の内に休眠させ、普段はペンダント型神器“コキュートス”に意思のみを表出させている。
- シャナの育ての親の一人であり、かなり親馬鹿。
その他のキャラクター
- 吉田一美 (よしだ かずみ)- 声:川澄綾子
- 坂井悠二の同級生。入学式に優しくされた事で坂井悠二に好意を持っている。
- アニメ版では出番は増えたが、戦闘能力を持っていないため、そのほぼ全てで単なる足手纏いになってしまっている。そしてアニメ版のオマケ「灼眼のしゃなたん」ではブラック吉田として覚醒を遂げた。
- 池速人 (いけ はやと) - 声:野島裕史
- 坂井悠二の同級生で親友。頭も気も回る頼りがいのあるナイスガイで通称「メガネマン」 と呼ばれている。
- しかし、巻を経るごとに出番が無くなっていくと言う不幸なキャラ。吉田一美の恋の相談に乗ってるうちに、少しずつ彼女に惹かれていく。物語開始当初の悠二の友人グループ(悠二・池・田中・佐藤)の中で唯一紅世のことを知らず、いつのまにやら日常の象徴の一人に。
アニメ版では最初から出番が少なく、何事にも真面目なのに何かと失敗の多いコメディリリーフになった。 - 佐藤啓作(さとう けいさく) - 声:野島健児
- 坂井悠二の同級生で友人。とりあえず美を付けても良い少年だが軽薄っぽい見た目。ノリが軽くお祭り好き、話好きで社交的なクラスのムードメーカー。金持ちの息子だが家族とは色々あり、別居状態。中学時代は荒れていたが、「ポーズだけの反抗」のカッコ悪さを感じるくらいには成長しており、学校にも真面目に通っている(成績は芳しくないが)。
- フレイムヘイズであるマージョリー・ドーと出会い、彼女に自宅にある個人用バーを寝床として提供している。そして、これを切っ掛けに昔からの親友である田中栄太と共にマージョリーの一の子分としてサポートをするようになる。
- アニメ版では、中学時代に荒れていたことを強調するためかキツめの性格に変更されており、悠二とも友人ではなかった。2期になっても主人公の坂井悠二と関わりをあまりもたなかった。
- 田中栄太 (たなか えいた) - 声:近藤孝行
- 坂井悠二の同級生で友人。短髪で大柄な体躯を持つ少年。昔からの親友である佐藤と共にクラスの騒ぎの中心となることが多いノリの良い性格で、「気は優しくて力持ち」な性格。中学からの同級生である緒方真竹(おがたまたけ)から好意を持たれているが、本人は全く気づいておらず、友人として親しく接している。
- 佐藤とともにマージョリー・ドーと出会ったことが切っ掛けで、マージョーリーの一の子分(佐藤も田中も一の子分を名乗っている)としてサポートをするようになった。
- アニメ版では、佐藤同様、悠二に嫌味を言うなどキツ目な性格に変更されており、友人ではなかった。
- マージョリー・ドー(Margery Daw) - 声:生天目仁美
- 元人間の異能者「フレイムヘイズ」の一人。
- 契約している紅世の王“蹂躙の爪牙”マルコシアス(じゅうりんのそうが Marchosias - 声:岩田光央)のフレイムヘイズとしての称号は『弔詞の詠み手』(ちょうしのよみて)。人間時代に復讐を誓っていた相手を「銀」と呼ばれる紅世の徒に喰われたことを切っ掛けに、フレイムヘイズになることを決断する。紅世の徒に対し非常の意強い敵愾心を持っており、基本的に無害とされていた”屍拾い”ラミー(しかばねひろい Lamies - 声:清川元夢)をも攻撃しようとするなど、好戦的なキャラクターとして描かれている。
- 目鼻に穴の空いた、ずんぐりむっくりな獣の炎の衣『トーガ』を纏う。アニメ版ではトーガが目鼻や舌もあるリアル獣のようになっており、当然原作のように着ぐるみのように口から顔を出すシーンは無い。
- ヴィルヘルミナ・カルメル(Wilhelmina Carmel) - 声:伊藤静
- 元人間の異能者「フレイムヘイズ」の一人。闘うメイドキャラの一人。
- 契約している紅世の王“夢幻の冠帯”ティアマトー(むげんのかんたい Tiamat - 声:渡辺明乃)のフレイムヘイズとしての称号は『万条の仕手』(ばんじょうのして)。
- アラストールと共にシャナの親代わりと教育係を務めた。先代の『炎髪灼眼の討ち手』マティルダ・サントメール(Mathilde Saint-Omer - 声:岡村明美)とは旧知の仲であり、コンビで闘うことも常であった。シャナが坂井悠二と仲良くなることを良しとせず、悠二に対して厳しい態度を取っていたこともあった。
- 近接格闘の達人であり、本人の技量に加え、仮面から鬣のように噴出する強化されたリボンを操る事で、力任せの攻撃は一切通じない戦技無双の投げ技を得意とする。アニメ版では投げ技を使わず、リボンを手に持って突撃といった戦法も使う。
- ”頂の座” ヘカテー(いただきのくら Hecate) - 声:能登麻美子
- 紅世の王。“徒”の大組織[仮装舞踏会](バル・マスケ Bal Masqué)の幹部『三柱臣』(トリニティ Trinity)の一人。少女の姿をしているが数千歳以上。
- 巫女としての職務以外にあまり興味・関心を持たない性格で、無感情・無関心な印象を与えるが、職務怠慢な同僚に嫌味を言ったり、超の付く変人で多くの者に厄介者扱いをされてる“徒”を「おじさま」と慕ったりと、芯はしっかりしている。
- アニメ版では「からっぽ」な性格・設定になっており、空虚な過去しか持たず、莫大な器を持っていても満たされないことから、満たされることを望んでいるという、もはや名前が同じな別人ともいえるキャラクターになっている。でも出番は増えた。
アニメ版の主な楽曲
-
灼眼のシャナ
-
灼眼のシャナII
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関連項目
- 13
- 0pt