炊き出しとは、戦争・戦乱や災害および社会情勢により生活に困窮した多数の人に対して食事を提供する奉仕活動である。
概要
炊き出しとは、戦争・戦乱により生活の場を追われた難民、自然災害により生活の場を追われた被災者、社会情勢を原因とした生活困窮者に対し食事を提供する奉仕活動である。
日本における炊き出しは江戸幕府開府により一国体制となる江戸時代より存在しており、1833年より起こった天保の大飢饉の際には、天明の大飢饉の時に百姓一揆や打ちこわしが頻発し経済が混乱した教訓を元に幕府は保有する備蓄米を放出、江戸市中に設けられた御救小屋で炊き出しが行われた。また、洪水や地震などの局所的な災害では領主、寺社檀家や五人組による自主的な炊き出しも各地で行われていた。
現行の法律では、災害救助法により国もしくは都道府県知事の令により地方公共団体、自衛隊、日本赤十字社その他団体に協力を要請し実施される。
また、法令以外でも民間企業や各種団体により自主的に炊き出しが行われるケースが多い。
ホームレスなど生活に困窮した人に対する炊き出しは、主に民間のNPOやボランティア団体、宗教団体により実施されている。
物資配給の一手法であるが、実際の戦時経済や社会主義における配給制の多くはあくまで物資統制の制度やシステムであるため、対価を要求される。その為、根本的に福祉目的の炊き出しとは区別されるので注意。配給の記事も参照のこと。
組織
日本において炊き出しを行う団体は、災害時においては日本赤十字社の都道府県支部と自衛隊が主となって行われる。両者は共に継続的に炊き出しの訓練を行っており備蓄や炊具を保有しているからである。
また、CSR活動の一環として吉野家ホールディングスやゼンショー等の民間企業も独自にキッチンカーを保有し被災地での炊き出しを行っている。他にも慈善活動として歌手の杉良太郎が組織的に炊き出しを行っている。かつては石原プロモーションも炊具・車両を保有し東日本大震災や熊本地震で炊き出しを行っていたが、石原プロ解散に伴い活動を終了している。
ただ、長期に渡って継続して炊き出しを行えるのは依然として自衛隊と日本赤十字社のみの状況であり、日本赤十字社も支部によっては炊具・車両が充足しておらず活動が限定される。災害の規模によっては民間や被災者の手を借りざるを得ない状況になる。
献立
炊き出しで提供される献立は主に以下のようなものとなっている。
日本人の食の基本である。
備蓄してある米から炊く事もあるが、主にお湯をかけるだけで炊けるアルファ米が使われる。
黄色ブドウ球菌による汚染の懸念があるため今は原則型や手袋を用いて握られる。
アルファ米の食味や栄養面を考慮し、具材を加えて混ぜご飯にする事も多い。
日本人が好きなメニュー第1位である。
子供でも大人でも食べられる定番ではあるが、ウェルシュ菌による汚染の懸念があるため原則作り置きが出来ず炊き出しに向いているかは微妙な立ち位置である。
炊き出しと言ったらこれである。
豚肉や野菜がたっぷり入るので栄養面でも満足できる、なにより温かい汁物は心の安らぎとなる。
一方で豚肉は宗教的な制約が出るため外国人向けには厳しいものとなっている。
一方、外国で提供される炊き出しはパンやオートミール、豆類と野菜のスープが主となっている。そのため英語圏では炊き出しは「スープキッチン」と呼ばれている。
関連動画
関連リンク
関連項目
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