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為替とは・・・ |
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為替(かわせ)とは、現物の金銭を伴わない金融決済の総称である。
手形・小切手・振込など、通貨を直接渡すことのない金融決済はすべて為替と呼ばれるが、そのうち国内で行う決済は「国内為替」と呼び、外国と行う決済は「外国為替」と呼ぶ。
日本国内では、「振り込み」や「小切手」など個別の手法で呼ばれており、「為替」と呼ばれることはあまりない。一般には、ニュースでやるような円とドルの交換レートなどが出てくるだろう。そのため、ここでは外国為替について記述する。
概要
外国為替(Foreign Exchange)は、世界の国々が持つ通貨の交換レートによって築かれている金融決済のことである。略称では外為(がいため)とも。
人間は「通貨」という概念ができて以降、振込や手形などによって、実際の通貨を持っていかなくとも遠隔地に通貨を届ける技術(為替)を生み出した。しかし、通貨はあくまでその国だけで通じる価値の概念であるため、異なる国の人間に自分の国の通貨を直接渡しても価値は伝わらない。そのため、それぞれの国家間で通貨の交換比率を設けることにより、互いに自国の通貨分の価値を受け渡ししあうことができるようになった。これが外国為替である。
本来は外国との金銭の貸し借りや債権、および価値の移動といった決済のことをいうのであって、通貨の両替そのものは外国為替ではない。しかし、国家間で貸し借りと支払いを行うためにはどうしても通貨の交換が必要であり、いつしか通貨の交換レートそれ自体も為替として扱うようになった。
外国為替レートをまとめて表示したものは「外国為替市場」もしくは「外国為替相場」と呼ばれている。また、日本円を基準とした為替相場は「円相場」と呼ばれる。
外国為替市場は固定レートではないため、上がり幅・下がり幅を利用して金を儲ける商売方法・取引方法は存在する(レートを利用した運用の項目を参照)。しかし「為替市場は生き物」「為替市場は眠らない」という言葉があり、その言葉どおり本当に分単位・秒単位で各国通貨の価値が変動し続けるため、わずかな変動幅でもつぎ込んでいる資金によっては大幅なプラス・マイナスに直結する。そのため、トレーダーや投資家達は常に自分の投資に使っている通貨の相場変動をモニターし続けている。
外国為替のしくみ
ここでは日本で一般的であろう円/ドル相場を用いて説明する。円相場とは我が国の通貨である「円(Yen、¥)」を基準とした市場であり、「△△(海外通貨) = ○○円」という風に表記される。現在の外国為替に関する制度と法律は「外国為替及び外国貿易法」 (昭和24年 / 1949年)で規定されている。
為替レートは各国通貨の相対的な"価値"を計っているものであり、誤解の無い表現としては、「円の額が高い安い」より「円の価値が高い安い」という表現のほうが良いだろう。
「1ドル = 100円」を基準とした場合、「1ドル = 70円」と「1ドル = 130円」とでは、値段が高く返ってくるから130円の方が円高なんじゃないの?と思う人はいるだろうが逆である。外国為替は「相手の通貨を売るときに受け取れる円が高いか安いか」ではなく、「相手の通貨を買うときにかかる円が高いか安いか」である。
つまり、「1ドル = 100円」の頃に比べて、1ドル買うのに70円で済むほど円の価値が高く扱われているのが「円高」、逆に1ドルを買うのに130円もかけなければいけないほど円の価値が安く扱われているのが「円安」ということなのである。
戦後、日本での為替レートは1949年~1973年までは「1ドル = 360円」という超円安状態で固定レートとなっていた。
しかし東京オリンピックを経て日本経済が向上している頃の1973年より変動性に変わり、それ以降はだんだんと円の価値が上がっていき、現在はおおむね「1ドル = 100円」あたりが一種の指針というか標準となっているようだ。
円高の場合
円高は「円」の価値が他の通貨に比べて上がっている時に発生する。
この状態で「1ドル」を買うときには「70円」で済ませられる。これによって恩恵をうけるのが輸入関連である。日本円からのレートが高ければ、同じ100ドルでも外国のものを購入する際には「-30%」の価格で買っているのと同じ効果があるからである。作物・食料品ふくめ海外からの輸入品が大幅に安く仕入れられる。外国製のPCゲームを買うときにはとても重宝するだろう。
ただしこの状態で「1ドル」を売る時には「70円」しか戻ってこない。これによって打撃を受けるのが輸出関連である。円高によって輸入品が安くなるということは、逆に言えば海外で展開している商品を外国人に買ってもらっても、収入を日本円に換算すれば嬉しくない意味で「-30%」となるからである(海外で自動車を多く展開しているトヨタなどがこれに当たる)。
また、海外企業の商品が円高によって値下げした場合、消費者はコストパフォーマンスを重視して安い物を買おうとするため、国内の商品が値段で追いつけず赤字となり、個人商店や下請け企業など体力のない中小企業は軒並み潰れていってしまうという弱点がある。
円安の場合
円安は「円」の価値が他の通貨に比べて落ちている時に発生する。
この状態で「1ドル」を売ると「130円」になって戻ってくる。これによって恩恵をうけるのが輸出関連である。円安になっていれば同じ100ドルでも、外国で買われた商品価格を日本円に換算すれば「+30%」となって返ってくるからである。また、競争相手が値段を下げてきても、日本円換算が上がっている分で価格を吸収できるため対抗して値下げすることが可能となり、相手の国でも高い価格競争力を維持できる。
ただしこの状態で「1ドル」を買うと「130円」もかかる。これによって打撃を受けるのが輸入関連・海外関連である。海外から輸入する製品はもちろん海外旅行の費用や海外ブランドの商品も、今度はこちらが嬉しくない意味で「+30%」になってしまう。
また、日本はそもそも加工貿易(原料を買い製品にして売る)をメインとする国であり、製品の生産にも海外からの石油や飼料などを購入しているため、円安になればそれらの購入価格も上がってしまう。個人商店や下請け企業など体力のない中小企業は軒並み潰れていってしまうという弱点がある。
このように、ニュースでよく報じられるとおり、円/ドル相場だけでも外国為替は常に変化している。上記にあげた「100円→70円」「100円→130円」というのは、かなり極端な例を用いて示しているだけであるため、基本的にはそんなことはない。[1]
また、「ドル」とは言っても一律に同じ数量で円換算されるわけではなく、アメリカ・ドル(USD)以外にオーストラリア・ドル(AUD)やカナダ・ドル(CAD)、シンガポール・ドル(SGD)など、同じドルでも各国の通貨に対する円のレートはそれぞれ異なるため、対アメリカ・ドルで円高になっても対カナダ・ドルで円安になっていることもある。
もしこの先、海外の商品を売買したいのであれば、即飛びつくようなことはせず、「関連リンク」の項目にある各国相場一覧を見て、買い時や売り時を見計らってみても良いのではないだろうか(期間限定販売とかならその限りではないが)。
為替レートを利用した運用
ちなみに、この通貨の交換レートは、国家間での決済を円滑にするために生まれてきたものであるが、そのレートの変動によって発生する差額を利用した資金運用もある。それが「外貨預金」と「FX取引」である。
どんな運用手段にも必ず、メリットと同じくらい(あるいはそれ以上の)リスクが存在する。口座に預けておけば放っといても勝手に増えるなどという銀行のような甘い方法は存在しないため、やるときは自己責任で。
- 【外貨預金】
- 日本円の資産を海外銀行に海外通貨で口座に預けておく資産。日本円より金利の高い通貨に両替して預けておけば外国の金利が適用されるため、預けた時より円安ならば資産が増えた状態で引き出せる。
- ただし円高時に引き出せば預けたときより損した状態になり、最悪の場合は元本割れという悲惨なことにも。円から外国通貨に替える時と戻す時で手数料を取られてしまうので、頻繁に出し入れするのも金が減る一因となる。
- なお、外貨預金は銀行が破綻した時のペイオフ(預金保険)の対象外であるため、口座がつぶれた場合まるまる返ってこなくなる。
- 【外国為替証拠金取引】(FX / FX取引とも)
- 外国通貨を業者を通して大量に購入し、円との交換レートの差額から収入を得る方法。不動産や株式などに投資する通常の投資家とは異なりFX取引に投資するたぐいは「FX投資家」と呼ばれる。最近はFXといえばこちらのことも指すようだ。
- 詳細は当該記事を参照 → 外国為替証拠金取引
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
関連リンク
- 【外国為替取引】
- 【外貨預金】
脚注
- *わずか数時間でユーロ/スイスフランの相場が急落し絶壁のようなチャートになった例もあるため、急騰・急落は絶対にないとは言いきれない。 →ユーロ/スイスフランが約3800pips大暴落!スイス中銀が防衛ラインの撤廃を発表! (2015年01月15日 zaiFX!)
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