「お前の身内の者は、戦いの中で次々と死んでいった。地球を守ると言って。」
「だがどこの!誰が!有難がってくれるんだ!誰があそこで感謝している?誰が喜んでくれるんだ!」
無敵超人ザンボット3とは、富野喜幸(現:由悠季)監督・原作のロボットアニメである。
アニメ制作プロダクション、サンライズ(当時は日本サンライズ)初の自社制作作品にして、所謂「黒富野」の代表作。
あらすじ
謎の宇宙人ガイゾックが突如地球への侵略を開始した。
かつてガイゾックに滅ぼされたビアル星人の子孫である神ファミリーは、ビアル星の遺産であるザンボット3とキングビアルを発掘し、ガイゾックに戦いを挑む。
しかし巨大すぎる力と力のぶつかり合いは周囲に災害を引き起こしていく。流れ弾で建物は破壊され、海上に落下して巻き起こった津波で街は押しつぶされる。家と家族を失い難民となった人々は、その責任を神ファミリーに「ガイゾックを連れてきた張本人」として押し付け、彼らを迫害する。
守るべき人々に理解されないまま、神ファミリーの苦闘は続く。
概要
……もしも本当に巨大ロボット同士が戦ったら起きるであろう状況をリアルに描くという、当時の一種のタブーに踏み込んだのが本作の大きな特徴である。敵を倒せば人々の生活は元に戻り問題は解決するという、いわゆる"子供向け番組でのお約束"は、本作には一切存在しない。
その戦闘シーンも、従来のロボットアニメの延長上ではあるものの、富野監督独特の生々しいやり取りが交わされる緊張感に満ちた内容となっており、いわゆるリアルロボット系作品の先駆けと言えるかもしれない。
実際本作の次々回作である、リアルロボットアニメの金字塔「機動戦士ガンダム」が評価された1980年頃には、この「ザンボット3」における多くの演出を「ガンダム」が引き継いでいるとしてアニメファンから再注目されるとともに、富野監督の作家性を知る上で重要な作品として認知されるようになった。
また過去の富野監督作品「海のトリトン」同様、本作でも勧善懲悪への挑戦ともとれるどんでん返しが終盤見られる。
宇宙での最終決戦において、神ファミリーは戦闘要員以外の乗員を睡眠薬で眠らせ半ば強引に地球へ送り返す。死闘の中斃れていく神ファミリー。ザンボットも傷つき、宇宙太と恵子は勝平を残し大破したザンブル、ザンベースで特攻していく。大きな犠牲を払いついに勝平が対面した仇敵ガイゾックの正体は、なんとガイゾック星人に作られたただのコンピューター『コンピュータードール第8号』に過ぎなかった。
勝平とコンピュータードール第8号との対話、地球侵略の衝撃の理由は……是非本編を視聴して確認していただきたい。
このように、キャラクターの生々しさを積極的に描写し、容赦なく死なせ、最終的に全滅(に近い形)に行き着く富野監督の作風を、当時のアニメファンは「伝説巨神イデオン」や「聖戦士ダンバイン」等と併せ、「皆殺しの富野」と形容した。
比較的最近になり「ブレンパワード」や「∀ガンダム」等の穏やかな作風の富野作品が見られるようになると、「白富野」と評されるこれらの作品と対比するように、ザンボット3を初めとする作品群は「黒富野」と呼ばれるようになった。
だが、これは必ずしもネガティブな側面で語られる演出、要素ではない。「皆殺し」≠作品の評価ないしはバッドエンド、と言える。
悲しい事を容赦なく描写する一方、その過程についても具体的に描かれ、それが理不尽だという事についても(説教臭くならない程度に)十分な尺を用いており、お気楽な場面、手を抜かず創意工夫に溢れる拘った戦闘シーン、人情溢れる場面、ほっこりする場面などそれ以外の要素も本作のエピソード中には無数に存在する。「皆殺しというイメージで残酷で暗いものかと思って見たら、ただの名作ロボットアニメじゃないか」と評す者もいる等、本作のエポックメイキングな作風を名作と称える者もいることを忘れてはならない。
主要キャラクター
神勝平(じん かっぺい)
本作の主人公。ザンバード、ザンボエースのパイロット。そして、ザンボット3のメインパイロットである。睡眠学習によりザンボット3の操縦などを覚えているが、同時に戦闘中の恐怖を払拭されている。誤解や迫害を受けてもくじけない、まっすぐで強い意志と正義感を持つ。声優は旧・ドラえもんで有名な大山のぶ代。
神江宇宙太(かみえ うちゅうた)
ザンブルのパイロット。東京に住んでいたが、ビアルII世が発見されたことにより神ファミリーと合流。3人のパイロットの中では参謀的な立ち位置になることが多い。彼の父は臆病なところがあり、母親は戦いを拒否し故郷へ逃げ帰ってしまったことが。それを苦々しく思っていたようである。
神北恵子(かみきた けいこ)
ザンベースのパイロット。長野に住んでおり、ビアルIII世が発見されたことにより神ファミリーと合流。いわゆるおてんばで快活な少女だが、誤解から友達に拒絶され悩むなど、年相応の弱さも見せる。その容貌からか、ロボットアニメのヒロインの中でも人気が高い(私見)。
香月真吾(こうづき しんご)
元々は勝平の喧嘩友達だったが、戦いの中で家を失い一家離散の身となったことで、神ファミリーへの憎しみを募らせ一方的に敵視、実力行動にも出る。後に和解し神ファミリーとともに戦うが、最終決戦を前にして地球へ帰還させられた。全てが終わった後、勝平を最初に発見した一人。
キラー・ザ・ブッチャー
ガイゾックを率いる異星人。極悪非道で残虐な性格をガイゾックに買われて司令官の座に着いたらしい。巨大な肥満体に緑色の肌で、全身をサイボーグ化されている。殿様言葉を使い、「オーッホッホッホ」という笑い方が印象的。ギッザー、バレター、ズブターという3人の部下を持つ。
メカニック
ザンバード / ザンボエース
ザンボット3の頭部・胴部となる機体。単体で変形可能で、戦闘機形態をザンバード、ロボット形態をザンボエースと呼称する。
ザンボエース時は使用できる火器が貧弱だが、ホルスタージェットを腰に装着することでザンボマグナムが使用可能となる。これは主役級ロボットが初めて本格的に銃器を使用したものとされ、ホルスターにはマグナムとともに実銃さながらのオプション類が豊富に用意される凝った設定となっている。ロングバレル、狙撃用スコープ、ストックを追加した形態をザンボライフルと呼び、他にグレネードランチャーやドラムマガジンも装着できる。
ザンブル
ザンボット3の胴体・両腕となる火力自慢で重戦車型の機体。手首パーツをアームパンチ(ロケットパンチ)として打ち出せる、変わったギミックを持つ。尚、スーパーロボット大戦で本作を知った人は飛べない機体だと思っているかもしれないが、飛行可能である。
ザンベース
ザンボット3の脚部となる大型機。戦闘能力は他2機にゆずるが偵察・分析能力に優れ、「レゴン」と呼ばれる偵察メカを持っている。またザンボットマグナムやホルスタージェットを運搬できる等、支援能力にも長ける。
ザンボット3
ザンバード、ザンブル、ザンベースが合体(ザンボット・コンビネーション)して完成する全高60メートルの巨大ロボット。ザンボエースとは対照的に、ザンボットグラップ(サイ)から変形するザンボットブロー(矛)やザンボットカッター(大剣)といったエキゾチックな刀剣類を主武装とする。必殺技は頭部から放つザンボット・ムーンアタック。
鎧武者を彷彿とさせるデザインは現在でも人気が高く、後のダイターン3やガンダムに受け継がれていくモチーフとなる。
本編では無敵超人という肩タイトルとは裏腹に苦戦の連続で、その場の機転で辛うじて勝利を収めることも多く、ストーリー後半にもなると必殺のムーン・アタックもあっさりと弾き返されることが珍しくなかった。ゲーム登場時における微妙な性能は、こうしたシビアな描写が影響しているのかもしれない。
キングビアル
ビアルI世、II世、III世が合体して完成する宇宙船。合体はマニュアル操作に依るところが大きく、大人から子供までファミリー総出ででの大仕事であった。左右非対称な外観が非常に特徴的。かつて神ファミリーの祖先はこの船に乗りビアル星を脱出、地球にたどり着いた。イオン砲などの強力な武器を多数有する。
キャスト
「スーパーロボット大戦」やザンボット3が登場するゲームでは主要キャラ2人のキャストが代役となっている。
勝平役の大山のぶ代が再登板しない理由については、諸説や噂が入り乱れはっきりとした理由は定かではない。
しかし「大山がザンボット3という作品を嫌っているため出演を断っている」という説については、大山自身がラジオ出演の際に本作に対する思い入れを語っているためはっきりと否定できる。→参考動画sm541432
- 神勝平:大山のぶ代(アニメ)→坂本千夏(スーパーロボット大戦シリーズ)
- 神江宇宙太:森功至→古川登志夫(第10-14話代役、スパロボZ)→神奈延年(スパロボIMPACTなど)
- 神北恵子:松尾佳子(共通)
- 神北兵左ェ門:永井一郎(共通)
- 神源五郎:岡部政明(共通)
- 神一太郎:野島昭生(共通)
- キラー・ザ・ブッチャー:島田彰(共通)
- ギッザー:永井一郎(共通)
- バレター:古川登志夫(共通)
- ズブター:野島昭生(共通)
スタッフ
- 企画:サンライズ
- 監督:富野喜幸(現:由悠季)
- 原作:鈴木良武、富野喜幸
- キャラクターデザイン:安彦良和
- メカニカルデザイン:平山良二
- デザイン協力:スタジオぬえ
- 制作:名古屋テレビ、創通エージェンシー、日本サンライズ(現:サンライズ)
主題歌
オープニングテーマ:「行け!ザンボット3」
歌:堀光一路、ザ・ブレッスン・フォー、ザ・チャープス・作詞:日本サンライズ企画室・作曲:渡辺岳夫・編曲:松山祐士
「ザザンザーザザン」という最初のフレーズは有名。
本編と真逆の内容の歌詞も有名。
エンディングテーマ:「宇宙の星よ永遠に」
歌:堀光一路、ザ・ブレッスン・フォー、ザ・チャープス・作詞:日本サンライズ企画室・作曲:渡辺岳夫・編曲:松山祐士
関連動画
関連項目
「さあて・・・どう戦い抜くかな・・・?」
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