熱帯魚とは、主に水槽で飼われる観賞魚のうち、なんとなく綺麗でピカピカした印象のある魚である。その実態は謎に包まれており、例えば詳しくない人からは以下のような認識を持たれている事が多い。
- 海に住んでいる
(日本の川魚の地味なイメージからすると意外だが、日本にされた当初は熱帯産淡水魚が主流だった) - 母親などに「…ああ、要するに金魚とかのことでしょ?」と混同される
(↑編集者談) ※類例:ぷよぷよと間違えて親が買ってくるゲーム - バブルの頃に流行ったやつ (確かにそうだが当時から途切れる事なく愛好家は存在する)
- ゆえに目ん玉が飛び出るほど高価 (値段は金魚とそんなに変わらない。金魚も熱帯魚も高い奴は高いが)
- ヤクザの事務所のデカイ水槽で泳いでるやつ (……確かにそうだけどさあ)
…冗談はこの辺にして真面目に答えると、熱帯地方に生息する魚類やそれ以外の水棲生物たちの総称である。
概要
元々はアマゾン川流域や東南アジアの河川流域に棲む、熱帯性の淡水魚のことを指していたが、飼育技術の発展や新たな生息地の開拓、養殖化の成功、流通ルートの整備などが進むにつれ取り扱える範囲が拡大し、淡水と海水の境界・河口付近に生息する汽水魚、そして完全な海水魚も、一般的量販店のペットショップで見かけられるまでになった。
この他、ナイル川付近に生育するアフリカ原産淡水魚(水のpHが他の種に比べてアルカリ寄り)や、熱帯とはお世辞にも言えない冷水域で生きる魚も、今では広く「熱帯魚」として手に入る時代になっている。また、コケ取り用に同コーナーにエビや巻貝類も素で混入しているあたり、”魚”の表記にはあまり拘らなくてもよい感じである。
特に厳密に定義分けされているわけでもないが、それ単体で日本古来から「観賞魚」として親しまれている魚、特にフナの仲間全般であるコイ・金魚、もしくはヤマメ・イワナなど冷水に生きる渓流魚、タナゴ、あとメダカ あたりは、同じようにペットショップや専門店で売られていても、「熱帯魚」と呼ばれることは少ないようだ。
水槽内での棲み分け
熱帯魚を飼うにあたっては、まあ見た目こそが最優先ではあるが「それがどういう生活をしてる魚か」は最低限把握しておかないといけない。極端な話、肉食大型魚の水槽に体長数cm程度の小型魚ばかり混ぜて入れたらどうなるか? というお話。 また普段泳いでいる「生活圏」も重要であり、これも極端な話、ナマズ科の魚ばかりで構成したら「みんな水槽底に固まってばかり、物陰隠れすぎで上側ガラ空きワロタ」ということになりかねない。
水質も重要で、中性~弱酸性が適する魚が多い一方で、アルカリが好きな魚もいる[1]し、汽水魚や海水魚なら塩分が水の蒸発で濃くなりすぎないよう管理も必要。 硝酸塩や亜硝酸塩はほぼ全ての魚にとって有害であるが、水草にとっては肥料となりうる・・・etc. 特に買ってきたばかりの魚をいきなり自分の水槽に放り込むと「phショック」などと言われる症状であっという間に弱ったり死んでしまったりすること多々。詳しくはそれ系の入門本を読んでからをお勧めしたい。
- 表層
- アロワナ、ベタ、ハチェットフィッシュなど。水面にて待ち構え、落ちてくる昆虫等を主食にする生活史のものが多く、中にはアグレッシブに水上へ飛び跳ねて捕食を行う者も。よって導入時は、水槽外に飛び出した勢いで天国にまで飛んで逝かないよう、ガラス蓋での隙間密閉が必要とされたりもする。派手な柄のアロワナは龍をもイメージさせる立派な鱗から、893様のお気に入り熱帯魚としてしばしばステレオタイプに描かれている気がする。
- 中層
- ○○テトラ全般、ラスボラ全般、卵胎生メダカ全般、エンゼルフィッシュ、ディスカスなど。意識せず買い漁ったとしても、大半の魚はこの中層を泳いでいると思う。
アクアリウムの顔とも言える、最も目立つ花形ポジションゆえ、蛍光色に金属光沢など派手な色彩の者が多い。
こんな目立つ色で自然界にいて本当に大丈夫なのか、なぜ淘汰されないのか? と思いたくもなるが、背面:青光、腹面:銀色 のイワシやアジ、カツオにマグロなど青魚と理屈は一緒で、この手の反射する体色は水面の乱反射光へ紛れると絶好の迷彩色となるのである。 - 底層
- コリドラス、プレコ、○○ローチなど。ナマズ・ドジョウの仲間率がやたらと高い。底の砂利に顔を突っ込んでエサのおこぼれを頂く「掃除屋」に、ガラス面や水草表層を削り食べる「コケ取り」役など、見た目のトリッキーさだけでなく槽内環境の維持改善にも一役買ってくれるお役立ちな種が多い。その他、同じ目的で水槽に導入されるエビなども基本的に水底を生活場所としている。
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関連項目
脚注
- *河川の水はpH.7付近の中性になるのが普通だが、熱帯魚の故郷であるジャングルでは有機物が堆積して酸性に傾きがちである。一方でジャングル以外の地域では、石灰岩など土壌の影響でアルカリ性に傾く場合もある。ご家庭の水道水が中性であれば大体の魚を飼育できるが、特に水質を変えたい場合は底床(水槽の底に敷く砂など)でコントロールするとよい。(酸性→アクアソイル、アルカリ性→珊瑚砂など)
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