牛乳を注ぐ女とは、フェルメールの絵画である。
概要
1657年ごろに描かれた絵画。机の上にある容器に女性が牛乳を甕から注いでいる。女性の表情は微笑んでいるようにも、集中しているようにも、悲しんでいるようにも見える。机の上には牛乳が注がれている容器の他にパンが置かれている。背景には他のフェルメールの絵画にも見られる、窓から差し込む光が描かれている。
現在はフェルメールの出身国であるオランダのアムステルダム美術館に所蔵されている。
なぜ牛乳を注いでいる女性の絵を描いた?
美術の分野でも複数の解釈ができるため、答えるのは難しい問いである。
当時の生活として
描かれている女性は家事使用人である。机の上のちぎられたパンの様子から、この絵はブレットプディングを料理している様子だと判断できる。ブレットプディングとは、乾燥して硬くなったパンに卵や牛乳、砂糖などの甘味料を加えて作る料理である。描かれているのはパンを牛乳に浸すために牛乳を容器に入れているところであり、少しずつ甕から牛乳を加えて分量を調整しているのである。
当時は珍しくなかった勤勉に労働する女性そのものを、忠実に気高い雰囲気で描いた作品である。
官能的な意味として
当時、メイドは性的なイメージを想起させる存在でもあった。フェルメールの前時代や同時代にはそのように描かれた作品が数多く存在している。
「牛乳を注ぐ女」には一見すると気づかないが、性的イメージを想起させるものが描かれている。例えば右下のタイルにはキューピッドの絵がある。その手前の箱のようなものは足温器である。当時の足温器は女性がスカートの中に入れて足を温めるために使っていた器具である。日常的なものとして足温器が描かれたともみなせるが、スカートの中に入れることから、当時の絵画では女性の性的興奮の象徴ともされていた。
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関連項目
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