特別会計とは、特別な会計のことである。
概要
端的に説明すると日本国の一般会計とは別に処理される特別な会計であり、国または地方公共団体が設けている。
主に社会保険のように別途収入のあるものに対応する形で作られたものや、予算配分の枠外処理を行う個別会計の為(国債の借換え)などの為に作られており裏予算とまで呼ばれるほどに膨張していた。同時に国会のチェックが通らないため官僚がやりたい放題とも言われていた。実際に複数の特別会計において天下りのための散財が露見している。その為、以下の様に揶揄されたのである。
母屋(一般会計)でおかゆを食っているのに、離れ(特別会計)で子どもがすき焼きを食っている
その後、行財政改革によって数が減ってきており、一時期は60を越えていた特別会計も2018年現在13までに減少している。
歳出総額は、平成31年度予算で約389.5兆円、ただし会計間相互の重複計上額が多くそれを除いた純計額としては約197兆円となる。この中には、国債償還費等約87.5兆円、社会保障給付費(法律に基づく給付そのものを指し、事務費等は含みません)約70.3兆円、地方交付税交付金等約19.3兆円、財政投融資資金への繰入れ約12兆円が含まれる。それらを除くと約7.9兆円。さらに東日本大震災復興経費約1.8兆円を除くと、実質は約6.1兆円となる。
小泉純一郎の行財政改革の主眼はこの特別会計、さらに限定的に絞って言うなら財政投融資特別会計にターゲットを絞った改革だったといわれる。また民主党が埋蔵金と評したもの主にこの特別会計だったという見解もある。
また特別会計がここまで大きくなった原因として財政投融資の存在や日本の社会保障が主に社会保険に比重を置いていること、その他、行政機構の縦割り構造や単年度会計主義などもあげられている。
なお、特別会計は必要なものかという端的な疑問であれば日本に特別会計は必要であるとほぼ明言することが出来る。たとえば労働保険、これは労働保険特別会計で処理されており税金と別立てにすることで安定的に、かつ本予算の予算折衝に振り回されることなく運営できている。このように社会保険で運営される社会保障の類においては専用の会計口座としての特別会計がどうしても必要となるのである。
もっとも一時期のように60を越える特別口座は今後とも不要であることも事実である。たとえば廃止された道路整備特別会計(ガソリン税が財源)などは一般会計化している。今後も一般会計化は発生することが見込まれる。
特別会計一覧
会計名称 | 所管官庁 | 各特別会計の概要 |
---|---|---|
東日本大震災復興 | 復興庁 | 東日本大震災の復興専用。財源は復興債 |
労働保険 | 厚生労働省 | 労働関連の保険の処理。財源は雇用保険と労働者災害補償保険(労災)。失業保険給付などを行っている。 |
年金 | 厚生労働省 | 年金保険の処理。これまでの保険料の残高もこの会計内に残留しており運用はGPIFに任せている。残高運用の詳細はGPIFを参照。また、歳入・歳出の概要については年金の所管官庁・予算推移説明を参照。 |
国有林野事業債務管理 | 農林水産省 | 国有林野事業特別会計の解散に伴い作られた林野事業の赤字を引きついた特別会計。累積債務は1兆3000億円あり、林業からの売上げにて毎年20億円程度ずつ返済を行っている。年間3000億円程を民間金融機関から借入して国債整理基金特別会計に返済している。その為、実質の借金はほぼ消えていない。今後金利が上昇する局面では会計そのものが破綻する可能性もある。一般会計から利払い分と償還用に198億円(平成29年)をもらっている |
食料安定供給 | 農林水産省 | 農業者戸別所得補償制度、備蓄米・外国産麦の売買、国営土地改良事業などを行うための特別会計。特別会計改革により農業共済再保険特別会計と漁船再保険及び漁業共済保険特別会計を吸収した。借入と一般予算からの入金で運営している。 |
自動車安全 | 国土交通省 | 自賠責の再保険部分はここで処理されている。(自賠責は2002年の改正自動車損害賠償保障法で再保険部分が撤廃され、現在は純粋な民間保険となっている為、過去の会計間の借入清算処理などを行っている。) |
交付税及び譲与税配付金 | 総務省 | 交付税、譲与税として徴税した額のうちから一定を地方公共団体に交付するための特別会計。 |
エネルギー対策 | 経済産業省 環境省 文部科学省 |
電源開発促進税と石油石炭税の収入のうち必要な分を一般会計からもらう形となっている。 |
特許 | 経済産業省 | 出願人からの出願料、審査請求料、特許料等を徴収し、特許にかかるすべての経費を支出している。なお、特許特別会計は、収支相償が成立しており一般会計に依存していない。 |
財政投融資 | 財務省 | 財政投融資のための特別会計。他の特別会計(食料安定供給等)にかなりの額を貸し込んでいる。現在の原資は国債(財投債)である。なお、個別の特殊法人が発行する財投機関債はここには含まれず、特別会計にも関係はない(組織ごとの債務となる)。 |
外国為替資金 | 財務省 | 保有外貨証券の国債・非国債を保有する特別会計。 日本政府が通貨に干渉した場合の購入資産はここに計上されている。同時に購入のためしている借金もこの会計に帰属している。 |
地震再保険 | 財務省 | 再保険のための特別会計 |
国債整理基金 | 財務省 | 公債、借入金償還や利子支払いを行うための経理用の会計 |
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