状況再現とは、乱数を使ってイベントを起こしたり起こさなかったりするシーンがあるゲームにおいて、乱数の結果を意図的に操作する手法の一つである。
概要
ゲームにランダム性を持たせるためのシステムのひとつである乱数は、完全なランダムではなく、あくまで一定の法則に従ってランダム性を演出しているだけである。
この法則を解明してしまい、望みどおりの乱数を能動的に導き出す「狭義の乱数調整」を行う場合、プログラム解析が必要だったり、TAS等の領域でないと不可能な入力が求められる場合が少なくない。
しかし、「普通にゲームをプレイしていてたまたま起きた乱数の結果」を、「その時の操作をそっくりそのままなぞる」事によって、全く同じ乱数を出させようと言うのが状況再現である。
もちろん乱数の生成に「キー入力のタイミング」だけを用いているゲームもあれば、その時のゲーム内時刻なども絡めているものもあり、ゲームによって状況再現のやり方は異なるし、容易か難しいかも異なるが、極端な例では「電源投入直後(またはリセット直後)からAボタン押しっぱなし」など、TASではない人力であっても容易かつ確実に、フレーム単位で間違わず同じ入力が再現できるケースもあり、通常のプレイでも利用される事がある。
しかし、このような容易に再現可能なケースで再現したくなるような状況が都合よく見つかるかと言うとそうでもなく、しばしば(狭義の)乱数調整の手法によって予め「どのようにすればどのような結果が起きるのか」を調べ上げた上で、それを手動でなぞっているだけに過ぎない場合もある。
逆に言えば、TAS等の難しい乱数調整も当たり前にやるレベルのプレイの場合、ただの状況再現であるか否かと言うのは単に「乱数を調整するのに必要な入力が人力でも可能なものかどうか」の違いしかないとも言える。
このように、状況再現は解っていれば利用できるものであるが、この現象を知らないと時々、特に古いゲームの場合この性質が不利に働いてしまう場合もある。
例えば、ボスのレアドロップ狙いでリセマラを行うような場合このことを知らずにボスと何度も同じように機械的に戦っていると、実は乱数が「レアドロップを落とさない乱数に固定」されてしまっておりいつまでもレアドロップを落とさないというようなドツボにはまる場合がある。これは物欲センサーではない本物の確率低下であり、ハマると本当に努力がムダになるため留意しておきたい。
戦闘中の行動を変えたり、気分転換に別のことをしてから再度挑戦するなどが有効な場合が多い。
乱数について知らないプレイヤーでも無意識にやっていた人も多いかと思われる。
状況再現の有名な例ではロマンシング サ・ガ3において、固定シンボルの敵の目の前でセーブし、リセットからAボタンをずっと押しっぱなし(それ以外のボタンを押さない)にして敵を倒すと、戦闘中のダメージの量や敵の行動パターン、落とすアイテムから能力値の上昇の仕方まで完全に毎回そっくり同じになるというものがある。
もちろんこれは、大抵の場合「目的のアイテムを落とすまでひたすらリセットして粘っているのにいつまでも落とさない」と言う落とし穴にはまっているケースであるため、望ましくない状況再現のひとつではあるが・・・。
関連動画
動画内解説にもあるが、DQ1・2のプログラムでは敵の出現パターン等は「移動中でいつ十字キーにニュートラルが入ったか」によって変わる乱数であるため、特定のタイミング以外では(ゲーム開始時から)常に十字キーをいずれかの方向に押しっぱなしにするようにしている。(ただの押しっぱなしならば人力でも十分、フレーム単位での操作再現が可能)
ただし山フィールドに入って3歩目で調べる、等と言った部分は狭義の乱数調整の手法に含まれるため、完全な「天然産」状況再現ではない事に注意。
関連項目
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