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『狂気の山脈にて』(At the Mountains of Madness)とは、H.P.ラヴクラフトの小説である。
『狂気山脈』など別名もあり。
概要
ラヴクラフトによる長編小説。執筆期間は1931年2月から3月と、極端に早い。1936年に『アスタウンディング・ストーリーズ』に3回に分けて発表されるが、編集部による改変や削除が多く、アーカム・ハウスから原文が発表されたのは1985年のことだった。
ラヴクラフトが創造、後世に発展したクトゥルフ神話において、ラヴクラフト自身による「古き時代の地球」が描かれた貴重な一篇。
あらすじ
ミスカトニック大学の地質学教授である「私」ことウィリアム・ダイアーは、探検隊を率いて同地に遠征を行った。大陸地下の化石や土砂の採取・研究が目的だったが、生物学者のレイク教授は地層の年代と矛盾する、奇妙な縞模様に注目する。この地層が伸びる方角への探索をレイクは強硬に主張、分隊と共に出立した。
その後レイク隊からの無線が入り、驚くべき報告がなされる。それは未知の巨大な山脈の発見と、地下の洞窟から見た事もない奇怪な化石が発見されたという報告だった。
動物と植物双方の特徴を兼ね備えたそれは、解剖によって外見以上の神経系の発達が認められ、世紀の大発見に探検隊は興奮に包まれる。
しかし翌日以降、レイク分隊からの定期連絡は入って来なかった。最悪の事態を懸念した「私」は助手のダンフォースを伴い、レイク分隊の捜索に向かう。
探索から帰還した後、ダンフォースは錯乱状態が続いた。「私」はレイク分隊が強風で全滅、発見物もすべて失われたと報告した。だがそれは、あの「狂気の山脈」に隠された恐怖を隠蔽する為の嘘だったのだ……
再び南極探検隊が結成・派遣されると聞いた「私」は、意見書という形であの日の真相について語り始めるのであった。
その他
タイトルはロード・ダンセイニの短編『ハシッシュの男』の台詞「And we came at last to those ivory hills that are named the Mountains of Madness(かくして我らは「狂気の山脈」と呼ばれる象牙の丘へとやって来た)」から取られている。
また、エドガー・アラン・ポーの小説『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』における設定も登場している。作中に登場するショゴスの有名な鳴き声「てけり・り!てけり・り!」は同作に登場する巨鳥の鳴き声である。
その他にも様々な作品からの影響や着想が指摘されており、物語でのみ知る「南極大陸」に寄せたラヴクラフトの夢想を支えていると言える。
映像化がたびたび持ち上がっており、ギレルモ・デル・トロが2006年に映画化を計画するも断念している。
1994年にジョン・カーペンターがホラー映画『マウス・オブ・マッドネス』を公開。見て解る通り本作のタイトル、およびクトゥルフ神話をオマージュしている。
2011年に「Mystery Stories: Mountains of Madness」のタイトルでゲーム化。いわゆるアイテム探し系のクリックゲームで、壮麗な神殿を舞台とした謎解き、迫りくるショゴスなどを描いている。
2017年に本作からインスパイアを受けたホラーゲーム「Conarium」が発表。本作の後に起きた出来事を別視点で描いている。
2017年、本作を下敷きにしたクトゥルフ神話TRPGシナリオ『狂気山脈~邪神の山嶺~』が発表。作者はまだら牛氏。シナリオブック『登山家たちのクトゥルフ神話TRPG読本』『狂気の峰へ』に収録されているほか、boothで頒布されている。
2021年、アニメ映画の制作を目指すプロジェクトが始動。クラウドファンディングにより資金を集め、開始20分で目標額を達成した。2023年に『狂気山脈 ネイキッド・ピーク』のパイロットフィルムが公開された。
2021年、舞台『狂気山脈単独登頂』が発表。脚本・演出を『驚天動地倶楽部』のディズム氏が手掛け、小ka栗ショーン氏の一人芝居となっている。2021年10月30日にYoutubeでライブ配信され、2024年3月、ヒューリックホール東京にて再演された。
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関連項目
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