独身貴族とは、結婚しておらず経済的に独立しており(実家暮らしか一人暮らしかは問わない)稼いだお金も時間も全て自分のために使える独身者を指す。基本的には羨ましさの意味で使われるが、その一方で蔑視する意味で使われる言葉でもある。
尚、独身でも経済的に自立していない、親の介護に追われている、などの場合は、独身貴族の定義には当てはまらない。また、婚姻経験があっても離婚等で独身に戻っていれば当てはまるが、子供が居る場合は(親権の有無や子供が独立しているか等の条件も含めて)当てはめて良いのか議論になりがちである。
概要
独身貴族という言葉が使われだしたのは、1977年頃からとされている。2013年には、フジテレビで独身生活を楽しむ男性を主人公にした、その名も「独身貴族」というドラマが制作された。
戦後、日本では成人したら就職して結婚して子供をもうける、というのが一般的な人生計画とされていた。そして、それは同時に自分のお金、及び時間が自由に使えなくなるということも意味していた。だが、そう自覚しても周囲を見渡せば、みな同じ境遇だったのである意味、それが幸せだと信じることができた。
しかし、高度経済成長期を乗り越え「モーレツサラリーマン」などという言葉が古くなったとき、結婚することを拒否し、自分の稼いだお金も時間も全て自分の趣味や楽しみに使い、家庭に束縛されない。そんな人種が現れた。それが「独身貴族」である。
言葉の由来は、既婚者(特に子持ちの人間)が独身の人間を羨んで「まるで貴族のように優雅な生活だ」「自分のため『だけ』にお金や時間を使えるのが羨ましい」というやっかみからきている。しかし、そこには多少だが侮蔑の意も入っている。それは「どうせお前らは、結婚したいと思ってもできなくて、強がっているだけだろう?」という思いである。
実際、独身者が貴族の立場を満喫できる期間というのは限られている。独身者が「貴族」というからには、既婚者は「庶民」なのだがその立場が逆転するときが来るのである。それは病気になったときや不慮の事故にあったとき、はたまた老後である。
病気などになって心身共に不自由なとき、あるいは年を取ったときに一人きりぼっちで暮らすことができるのか? 本当にそれでいいのか? という既婚者のある意味「上から目線」がこの独身貴族という言葉の裏に潜んでいる。そして、当の独身貴族たちもそれをひしひしと感じているからこそ、敢えて「自分は独身貴族で楽だ」「結婚なんて面倒ばかりでメリットなどない」と名乗っているフシがある。尤も、既婚者なら必ずより良い老後を過ごせるという訳でも無いのだが……
ただ、国家やコミュニティにとっては次世代を産み育てない独身貴族は歓迎できない存在であり、「婚活」等のムーヴメントを作り上げて少しでも減らそうとしているのが現状である。税制上も既婚者・扶養者が優遇されるようになっている。
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