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献血とは、ひとかけらの善意の積み重なりである。
概要
大きな外科手術や、血液製剤の作成には人間の新鮮な血液が欠かせない。
人工的に血液を作ることが未だに不可能だからである。
そのため、健康な人から血液の無償提供が欠かせない。
献血は主に全血(400ml献血・200ml献血)・成分献血(血小板・血漿)の4つの種類がある。
献血によりまかなわれた血液は輸血、または血漿分画製剤の製造に使われる。
血液には使用期限が設けられている。
なお、日本では売血・安全上の問題から日本赤十字社のみ献血事業を行うことが出来る。
大規模な集客施設の中には「献血ルーム」が設けられている施設も、また移動採血車による献血も実施されているので、興味のある方は一度行かれて見る事をお勧めする。
歴史
- 1948年 赤十字国際会議が血液事業推進を決議
- 1952年 売血による商業血液銀行と血液による日本赤十字社(赤十字血液銀行)が血液事業を開始
- 1956年 「採血及び供血あっせん業取締法」施行
- 1962年 売血による供血貧血を売血の輸血で血清肝炎が発覚し、「黄色い血」追放運動が始まる
- 1964年 輸血用血液を献血により確保する体制を確立するよう閣議決定
- 1969年 売血による輸血用保存血液の製造を中止
- 1974年 輸血用血液の献血による自給達成(これにより預血制度を廃止)
- 1980年 成分輸血療法が普及し、全供給本数の70%以上となる
- 1982年 献血者全員に検査サービスとして、生化学検査の結果通知を開始
- 1986年 400ml採血及び成分採血を導入
- 同年 エイズウイルス・ヒトリンパ球向性ウイルス-Ⅰ型抗体検査を開始
- 1989年 輸血後C型肝炎予防のため世界に先駆けHCV抗体検査を開始
- 同年 B型のための検査も従来のHBs抗原検査に加えHBc抗体検査を開始
- 1990年 国内の有償採血を完全に廃止
- 同年 民間企業の製造能力等を活用することについての関係三者による基本合意が成立
- 1991年 血液比重、血圧などの採血基準を緩和し、献血者の対象を拡大
- 1992年 従来のHCV抗体検査より感度の高い第二世代の試薬によるHCV抗体検査を開始
- 1993年 輸血による感染症や免疫反応による副作用防止のため、自己採血を普及・推進
- 1994年 国民の献血による血液による血液凝固因子第Ⅷ因子製剤の国内自給達成
- 1995年 安全性を高めるため、全国的に問診票を統一
- 1998年 GVHD(移植片対宿主病)を予防する放射線照射輸血用血液が承認され、供給を開始
- 1999年 血液年齢の引き上げを行い、69歳まで献血が可能となる
- 2003年 「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」施行
- 2004年 本人確認実施
- 2006年 献血手帳に変わり、愛-ca(磁気カード)が全国で使用開始
- 2009年 グリコアルブミン検査開始
- 2010年 英国滞在歴に係わる献血制限の見直し(1泊→通算1ヶ月)
- 2011年 400ml採血年齢引き下げにより男性は17歳から400ml採血が可能になる
- 同年 献血の条件を厳しくした
献血の基準
健康の人なら、献血による身体への影響はほとんど無いが、体調を崩していたり健康状態のよくないときに
献血をすると健康を損ねる場合もある。献血者の健康を守るために様々な基準を設けている。
■献血方法別の採血基準
成分献血 | 全血献血 | |||
血漿成分献血 | 血小板成分献血 | 200ml献血 | 400ml献血 | |
1回献血 | 600ml以下(循環血液量の12%以下) | 200ml | 400ml | |
年齢 | 18歳~69歳※ | 16歳~69歳※ | ||
体重 | 男性45kg以上・女性40kg以上 | 男女とも50kg以上 | ||
最高血圧 | 90mmHg以上180mmHg未満 | |||
最低血圧 | 50mmHg以上110mmHg未満 | |||
脈拍 | 40回/分以上100回/分以下 | |||
体温 | 37.5℃以下 | |||
血色素量 |
12.0g/dl以上 |
|||
血小板数 | ―――― | 15万/μl以上、 60万/μl以下 |
―――― | ―――― |
年間献血回数 | 血小板成分献血1回を2回分に換算して 血漿成分献血と合計で24回以内 |
男性6回以内 女性4回以内 |
男性3回以内 女性2回以内 |
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年間総献血量 | ―――― | ―――― |
200ml献血と400ml献血 |
※65歳以上の献血については献血される方の健康を考え、60~64歳のあいだに献血経験がある方に限ります
■血漿成分献血の体重別献血量の目安
体 重 | 献血量 |
40kg~45kg未満 | 300ml(女性のみ) |
45kg~50kg未満 | 300ml~350ml |
50kg~55kg未満 | 400ml |
55kg~60kg未満 | 400ml~450ml |
60kg~65kg未満 | 400ml~500ml |
65kg~70kg未満 | 400ml~550ml |
70kg以上 | 400ml~600ml |
■献血の間隔
次回の献血今回の献血 | 血漿成分献血 | 血小板成分献血※ | 200ml献血 | 400ml献血 |
血漿成分献血 | 男女とも2週間後の同じ曜日から 献血できます |
男女とも4週間後の同じ 曜日から献血できます |
男女とも8週間後の同じ 曜日から献血できます |
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血小板成分献血 | ||||
400ml献血 | 男性は12週間後・ 女性は16週間後の 同じ曜日から献血できます |
|||
200ml献血 |
※血漿を含まない場合には、1週間後に血小板成分献血が可能になります。
ただし4週間に4回実施した場合には次回まで4週間以上あけてください。
献血の手順
■献血後のご注意
献血の後、ごく稀に急な血圧変化により貧血状態になる場合があるので、トイレや階段・戸外での歩行等には
特に注意してください。気分が悪くなったり、針を刺した場所に痛み、しびれ等が残る場合には、すぐに職員
(あるいは献血センター)にお知らせください。適切な対応をいたします。
献血のサービスとして、休憩の時にお菓子や飲み物(センターによってはドーナツ、ハンバーガーなども)提供される。
「持ち帰らないでください」と張り紙がされているが、血液は高く結構儲けているので、止められはしない。
献血後センターによっては、ボールペンや絆創膏などの粗品が贈られることが多い。
問診
問診は献血される方の健康を守るために、そして血液を必要としている患者さんをウィルスなどの感染から守るために実施しています。問診票に記入していただいた内容と血圧、血液比重の結果に基づいて、体調が優れない、以前に特定の疾患にかかった、患者さんにとって望ましくない要因を持っている方などは献血をご遠慮いただく場合があります。
プライバシーは厳守されますので、自身のため、患者さんのために正しい申告をお願いします。
■問診票の内容
- 今日の体調は良好ですか。(はい/いいえ)
- 3日以内に出血を伴う歯科治療(抜歯,歯石除去等)を受けましたか。(はい/いいえ)
- 3日以内に薬を飲んだり、注射を受けましたか。(はい/いいえ)
( ) - 次の育毛薬/前立腺肥大症治療薬を使用したことがありますか。(はい/いいえ)
プロペシア・プロスカー等(1ヵ月以内)、アボダート・アボルブ等(6ヵ月以内) - 次の薬を使用したことがありますか。(はい/いいえ)
乾せん治療薬(チガソン)、 ヒト由来プラセンタ注射薬(ラエンネック・メルスモン) - 24時間以内にインフルエンザの予防接種を受けましたか。(はい/いいえ)
- 1年以内にインフルエンザ以外の予防接種を受けましたか。(はい/いいえ)
( ) - 次の病気や症状がありましたか。(はい/いいえ)
3週間以内 - はしか、風疹、おたふくかぜ、帯状ほうしん、水ぼうそう
1ヵ月以内 - 発熱を伴う下痢
6ヵ月以内 - 伝染性単核球症、リンゴ病(伝染性紅斑) - 1ヵ月以内に肝炎やリンゴ病(伝染性紅斑)になった人が家族や職場・学校等にいま すか。(はい/いいえ)
- 6ヵ月以内に次のいずれかに該当することがありましたか。(はい/いいえ)
①ピアス、またはいれずみ(刺青)をした。
②使用後の注射針を誤って自分に刺した。
③肝炎ウイルスの持続感染者(キャリア)と性的接触等親密な接触があった。 - 1年以内に次の病気等にかかったか、あるいは現在治療中ですか。(はい/いいえ)
外傷、手術、肝臓病、腎臓病、糖尿病、結核、性感染症、ぜんそく、
アレルギー疾患、その他( ) - 今までに次の病気にかかったか、あるいは現在治療中ですか。(はい/いいえ)
B型肝炎、がん(悪性腫瘍)、血液疾患、心臓病、脳卒中、てんかん - 今までに次の病気にかかったことがありますか。(はい/いいえ)
C型肝炎、梅毒、マラリア、バベシア症、シャーガス病、
リーシュマニア症、アフリカトリパノソーマ症 - 海外から帰国(入国)して4週間以内ですか。(はい/いいえ)
- 1年以内に外国(ヨーロッパ・米国・カナダ以外)に滞在しましたか。(はい/いいえ)
(国名 ) - 4年以内に外国(ヨーロッパ・米国・カナダ以外)に1年以上滞在しましたか。(はい/いいえ)
(国名 ) - 英国に1980(昭和55)年~1996(平成8)年の間に通算1ヵ月以上滞在しましたか。(はい/いいえ)
- ヨーロッパ(英国も含む)・サウジアラビアに1980年以降通算6ヵ月以上滞在しましたか。(はい/いいえ)
(国名 ) - エイズ感染が不安で、エイズ検査を受けるための献血ですか。(はい/いいえ)
- 6ヵ月以内に次のいずれかに該当することがありましたか。(はい/いいえ)
①不特定の異性または新たな異性との性的接触があった。
②男性どうしの性的接触があった。
③麻薬、覚せい剤を使用した。
④エイズ検査(HIV検査)の結果が陽性だった(6ヵ月以前も含む)。
⑤上記1~4に該当する人と性的接触をもった。 - 今までに輸血(自己血を除く)や臓器の移植を受けたことがありますか。(はい/いいえ)
- 今までに次のいずれかに該当することがありますか。(はい/いいえ)①クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)または類縁疾患と診断された。
②血縁者にCJDまたは類縁疾患と診断された人がいる。
③ヒト由来成長ホルモンの注射を受けた。
④角膜移植を受けた。
⑤硬膜移植を伴う脳神経外科手術を受けた。 - 現在妊娠中または授乳中ですか。(男性の方は「いいえ」と回答してください) (はい/いいえ)
この6ヵ月以内に出産、流産をしましたか。
私は以上の質問を理解し、正しく答えました。
「献血の同意説明書」の以下の内容について理解し、献血に同意しますか。(はい/いいえ)
1.献血に伴う副作用について
2.個人情報の取り扱いについて
3.血液の検査等について
4.血液の有効利用について(はい/いいえ)
署 名 |
■問診票の内容
成分献血の場合、もう一枚問診票の記入が必要となります。
- 心臓に関することで次のいずれかに該当することがありますか。(はい/いいえ)
①健康診断などで異常を指摘されたことがある。
②理由もなく立ちくらみまたは卒倒することがある。
③胸部とくに心臓に痛みや圧迫を感じることがある。
④脈が不規則に打つことがある。
⑤時々強い動悸がすることがある。
⑥坂道や階段の昇降に他の人よりも早く息切れすることがある。 - じん(腎)臓(尿)に関することで次のいずれかに該当することがありますか。(はい/いいえ)
①いつものどが乾いている、尿量が多い。
②糖尿病、腎臓病に罹ったことがある。
③家族の中に糖尿病の人がいる。
④健康診断などで異常を指摘されたことがある。 - 出血傾向に関することで次のいずれかに該当することがありますか。(はい/いいえ)
①けがをすると、血が止まりにくいことがある。
②歯ぐきの出血や鼻血が時々あり、止まりにくいことがある。
③家族の中に血液凝固異常の人がいる。
④健康診断などで異常を指摘されたことがある。
過去1年以内に心電図検査を受けている場合はその年月日をご記入ください
(心電図検査を受けた日 年 月 日)
献血カードの読み方
献血ありがとうございます |
|
||||
9 9 - 9 9 9 9 9 9 9 9 | ←献血者コード | ||||
ケンケツ | ←献血者カナ氏名(姓) | ||||
タロウ | ←献血者カナ氏名(名) | ||||
献血回数 : 100回 AB+ | ←献液型ABO式、Rh式 | ||||
H17.05.01 | 400ml | □□□□3 | ←直近3回分の献血履歴 (左から献血年月日、 献血方法、 採血センター名、 本人確認区分) |
||
H18.01.01 | 400ml | △△△△2 | |||
H18.10.01 | 血小板 | ○○○○1 | |||
【献血別方法の次回献血可能日】 | |||||
200ml | H18.10.15 | ←献血方法別の 次回献血可能日 |
|||
400ml | H18.10.15 | ||||
血漿 | H18.10.15 | ||||
血小板 | H18.10.15 | ||||
表彰・顕彰 : 99 金色 | /H18.10.01 | ←献血表彰・顕彰の記録 | |||
○○県赤十字血液センター | ←最新献血センター名 | ||||
9 9 9 - 9 9 9 - 9 9 9 9 | ←最新献血センターの 電話番号 |
||||
■次回献血の際は、このカードを必ずご持参ください。 | |||||
■献血のお問い合わせ等は、上記の赤十字血液センターへお寄せください |
検査結果のお知らせ
献血をすると7項目の生化学検査成績を献血者全員を対象に通知される。
また、成分献血・400ml献血をした場合8項目の血球計数検査成績についても併せて通知される。
これらの検査成績は通知を希望した人を対象とし、献血後おおむね2週間程度で親展にて通知される。
受付時にB・C型肝炎検査、梅毒検査、HTLV-1抗体検査の結果通知を希望し異常を認めた場合、献血後1ヶ月以内に親展にて通知される。
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生化学検査(献血者全員)
検査項目 検査法 単位 標準値 説明 ALT
(GPT)UV method UI/l 5~45 肝臓にも多く含まれている酵素です。肝細胞が破壊されると血液中に流れ出すので、急性肝炎でもっとも強く上昇し、慢性肝炎や脂肪肝(肥満)などでも上昇します。激しい運動の後に一過性の上昇がみられることがあります。 AST
(GOT)UV method IU/l 11~37 心筋や肝臓に多く含まれ、骨格筋、腎臓、血球にも認められる酵素です。心筋梗塞や急性肝炎、アルコール性肝障害などで上昇します。その他運動の後に一過性の上昇がみられることがあります。
γ-GTPRate Assay IU/l 10~65 肝、胆道、膵、腎などに多く含まれる酵素です。上昇する疾患は閉鎖性黄疸、肝炎、アルコール性肝障害などです。病気がなくても長期飲酒者では上昇することが多く、1ヶ月位禁酒するとある程度正常化します。 総蛋白
TPBiuret method g/dl 6.5~8.2 血清中には80種類以上の蛋白が含まれ、種々の機能を持ち、生命維持に大きな役割を果たします。その総量を総蛋白として測定しています。 アルブミン
ALBBCG method g/dl 3.5~4.5 血清蛋白の50%を占めるアルブミンは、病気などで栄養が悪くなると減少するため、健康診断のスクリーニングとして大きな意味があります。 アルブミン対グロブリン比
A/G
---
---
0.9~1.5血清蛋白はアルブミン(A)とグロブリン(G)に分けられ、その比率は健康な人では一定の範囲にありますが、病気によってはその比率が変化(主として減少)していきます。
コレステロール
CHOLEnzyme method mg/dl 110~250 血清脂質の一つで一般的に脂肪の多い食事を続けていると上昇します。また肝臓などで作られ、肝、胆道、腎、甲状腺の病気でその値が上下することがあります。血清コレステロールが多くなると動脈硬化を起こしやすいとされます。 -
血球数検査(成分献血・400ml献血)
検査項目 単位 標準値 説明 赤血球数
(RBC)×104/μl 男性:
425~570
女性:
375~500赤血球は血液の主な細胞成分で、酵素を肺から各組織へ運ぶ働きを持っています。
貧血の有無を知る目安となります。ヘモグロビン量
(Hb)g/dl 男性:
13.3~17.4
女性:
11.2~14.9血液の赤い色は赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)によるもので、赤血球の働きの中心となっています。 ヘマトクリット値
(Ht)% 男性:
39.0~50.4
女性:
34.0~44.0ヘマトクリット値は、一定の血液量に対する赤血球の割合(容積)をパーセントで表したものです。 平均赤血球容積
(MCV)fl 80.0~100.0 赤血球1個の平均的容量、すなわち赤血球の大きさの指標となるもので、赤血球数とヘマトクリット値から算出したものです。
貧血の場合、その種類の判定の目安となります。平均赤血球ヘモグロビン量
(MCH)pg 26.0~34.0 赤血球1個に含まれるヘモグロビン量を平均的に表したもので、赤血球数とヘモグロビン量から算出したものです。 平均赤血球ヘモグロビン濃度
(MCHC)% 32.0~36.0 赤血球の一定容量に対するヘモグロビン量の比をパーセントで表したもので、ヘモグロビン量とヘマトクリット値から算出したものです。 白血球数
(WBC)×102/μl 35~100 白血球は最近などを貪食し、免疫情報を伝達し、さらに免疫能を発現して生体防御にかかわっています。細菌感染症があると一般に白血球数は増加しますが、ウイルス感染症の場合はかえって減少することがあります。 血小板数
(PLT)×104/μl 14.0~38.0 血小板は出血を止めるための重要な働きを持ち、この値が極端に減少すると出血を起こしやすくなります。
血液製剤の種類
-
輸血用血液製剤の種類
輸血用血液製剤は以下の表の4つがあります。
以前は採血されたままの血液である「全血製剤」が主流でしたが、現在では血液を遠心分離して
赤血球、血漿、血小板の3種類の成分に分けて輸血する「成分輸血」が主流となっています。
そのため、「全血製剤」はほとんど供給されていません。種類 保存温度 有効期間 用途 赤血球製剤 2~6℃ 採血後21日間 出血及び赤血球が不足する状態、またはその機能低下
による酸素欠乏のある場合に使用されます。血漿製剤 -20℃以下 採血後1年間 複数の血液凝固因子の欠乏による出血ないし
出血傾向のある場合に使用されます。血小板製剤 20~24℃ 採血後72時間以内 血小板数の減少またはその機能低下による出血ないし
出血傾向のある場合に使用されます。全血製剤 2~6℃ 採血後21日間 大量出血などすべて成分が不足する状態で、
赤血球と血漿の同時補給を要する場合に使用されます。 -
血漿分画製剤の種類
血漿分画製剤は、血漿中に含まれる血液凝固因子、アルブミン、免疫グロブリンなどのタンパク質を抽出、精製したものです。製品は坪入りのハンディなもので安全性も高く、輸送・保管が簡便で、有効期間が長いというメリットがあります。
種類 販売名 略号 規格・単位 保存温度 有効期間 用途 ア
ル
ブ
ミ
ン
製
剤赤十字アルブミン20
(人血清アルブミン)
ALB20%20ml 1瓶
室温
禁 凍結
2年間
大量出血時のショック状態や
火傷・肝臓病・腎臓病などの
治療に使われます。20%50ml 1瓶 赤十字アルブミン25
(人血清アルブミン)25%50ml 1瓶
第
Ⅷ
因
子
製
剤クロスエイトM250
(乾燥濃縮血液凝固
因子Ⅷ因子)
FⅧ250単位 1瓶
(溶解液付)
10℃以下
禁 凍結
2年間
血友病など血液凝固因子
を補充する必要がある時に
使われます。クロスエイトM500
(乾燥濃縮血液凝固
因子Ⅷ因子)500単位 1瓶
(溶解液付)クロスエイトM1000
(乾燥濃縮血液凝固
因子Ⅷ因子)1000単位 1瓶
(溶解液付)
免
疫
グ
ロ
ブ
リ
ン
製
剤
日赤ポリグロビンN注5%
(pH4処理酸性
人免疫グロブリン)
IVIG500mg 10ml
1瓶
10℃以下
禁 凍結
2年間
血漿中の抗体
(免疫グロブリン)を
分離精製した製剤です。
抗生物質などが効かない
感染症の患者さんに
使用されます。2.5g 50ml
1瓶5g 100ml
1瓶抗HBs人免疫
グロブリン「日赤」
(抗HBs人免疫
グロブリン)
HBIG200単位 1ml
1瓶B型肝炎ウィルスと特異的に
反応する免疫グロブリンを
分離精製した製剤です。
B型肝炎ウィルスに関わる
ものに使用されます。1000単位 5ml
1瓶
検査・検体保管
検査
献血された血液は、血液センターに運ばれ血液型検査や感染症予防のための抗原・抗体検査、生化学検査などを行います。
核酸増幅検査(NAT)を実施するため、NAT用検体はその日のうちに空路や陸路を使って全国四カ所(日本赤十字社血漿分画センター/北海道・東京都南十字血液センター/東京都・日本赤十字血液管理センター/京都府・九州血液管理センター/福岡県)のNAT施設に運ばれます(血液センター)。
NAT施設では24時間365日体制で検体を受け入れ、血清学的検査に合格した血液についてNATを実施しています。
各種監査項目 | |
血液型検査 | ABO血液型検査 Rh血液型検査 不規則型抗体検査 HLA検査 |
抗原・抗体反応 | 梅毒血清学的検査 B型肝炎ウイルス検査 (HBs抗原 HBs抗体 HBc抗体) C型肝炎ウイルス検査 (HCV抗体) エイズウイルス検査 (HIV-1、2抗体) HTLV-1抗体検査 ヒトパルボウイルスB19検査 |
生化学検査 | |
血球数検査 | 成分献血・400ml献血者対象 |
核酸増幅検査 | B型肝炎ウイルス検査 C型肝炎ウイルス検査 エイズウイルス検査 |
NAT(核酸増幅検査)とは?
B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)等の抗原・抗体反応を主体とする血清学的検査では、観戦した後に体内の反応として抗原もしくは賛成される抗体が検出される最低量に達するまでの期間(ウインドウ・ピリオド)に献血された血液による受血者への感染の危険性を完全には排除できないので、ウイルスの核酸(DNAやRNA)を約1億倍まで増幅してウイルスの有無を検知する検査。
保管
原料血漿は、血漿分画製剤製剤の材料となるもので、6ヶ月間冷凍保管されます。
血漿分画製剤は原料血漿を数千人分プールして製造されるため、各種ウイルスの抗原・抗体検査、NATに合格したものを使用します。
しかし、献血した後に献血者や医療機関からウイルス感染等に関する情報が寄せられることがあります。
そのため6ヶ月間貯留保管を行い、感染等に関する情報のある原料血漿を排除し安全性を高めています。
検体は、輸血後感染症等の輸血副作用における原因調査が出来るように、また献血者から献血後にウイルス感染等に関する情報が寄せられた場合その献血血液について遡及調査が出来るように平成8年9月から全献血者の血液の1部を冷凍保管しています。
6mlの保管検体は、献血を受け入れた血液センターで1年間保管した後に血液管理センターまたは血漿分画センターに送られ、-30℃で10年間冷凍保管されます。
必要なときに該当する検体をすぐさま取り出せる様、コンピュータ管理されています。
検体の保管は日本赤十字社血漿分画センター、日本赤十字血液管理センター、九州血液管理センターで保管されています。
日本赤十字社血液管理センターでは原料血漿の最大保管能力は30万L、検体の最大保管能力は3000万本で5-6階相当の高さ(31m)となっている。
関連動画
関連商品
関連項目
関連リンク
出典
冊子
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