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王シュレット事件とは、2003年8月13日22：00放送の『ワンナイR&R』通算第103回内にて放映されたコントにおいて起きた放送における特定個人の侮辱事件である。
単に「王シュレット」や「王シュレット騒動」「ジャパネットはかた問題」などとも呼ばれる。
概要
本件が発生した番組内コーナーは「ジャパネットはかた」というDonDokoDon山口智充と雨上がり決死隊宮迫博之の出演するコントであった。名称は当然ながらテレビショッピングで有名な「ジャパネットたかた」のパロディ。
このコント自体は山口扮するはかた社長が九州弁を交えながら、「便利グッズ」と称したわけのわからないアイテムを宮迫に紹介し、毎度ヒドイ目に遭うという内容で、深夜スペシャル時代に誕生した後、ゴールデンでも引き続いて放映される人気コントの一つで、この日は通算5回目にして3ヶ月ぶりの新作だった。
放映日のコント内容
いつものようにオープニングロゴが流れてからこのコントは開始される。
「本日は快適生活グッズを御紹介!!」と銘打って空気清浄機、食器洗い機などを挙げた後に「ウォシュレットなぞ使ってますかね?」として、いつも使っているウォシュレットよりさらに快適な商品として紹介したのが、問題の商品
王シュレット
であった。
山口はこの商品を「我らがダイエーホークスの王貞治監督(当時)の顔が、そのまま便器に浸かっている」と、半笑いで紹介。
宮迫はこれを引きつった笑顔で「一つ疑問があるんですけれども」と前置きし「これ、最初から出ているという状態なんですね? 王さんが・・・」として、「ウンコどこに行くんですか?」と質問。
笑い屋の大笑いが響く中で、山口は「それはウンコの乗っかり方によっては、こうやって(顔を動かしながら)王さんがどけてくれるんですよ」と解説した。
しかし、これには山口も可笑しかったのか、「そんな精密機械なんですか?」という突っ込みに対し、笑いながら応答していた(宮迫にも注意されている)。
壁掛けの専用スイッチには「0」「756」「868」の各目盛りが振られており、756はハンク・アーロンを抜いて世界一の本塁打者となったときの数値であることを前置きした上で、この目盛りにあわせると「756本の、あのスイングの勢いで水流が出ます」と解説。宮迫は「肛門千切れます」と否定的に応えている。
最大値の868にあわせると「通常の868倍の洗浄力!!」を発揮するとも解説した。これには「僕ごと千切れます」とやはり否定的だった。
さらに壁のボタンについて「おしり」の上にビデならぬ「シゲ」という項目があることに対しては、押すと「んん～まぁ～どうでしょう～～」といった長嶋茂雄の声で用足しの音を消すという「音姫」機能(茂姫)であると解説した。
場面はさらに実演に移る。
洗浄ボタンを押した山口はその威力を見せるために、透明なプラ板を便器上に掲げてスイッチを押し、そのパワフルさをアピールした。(なお、水流は実際にはボタン駆動ではなく、スイッチを押した場面に合わせて別途装置が稼動する仕組みだったようで、停止スイッチを押す前に水流は停止している)
便座に座った宮迫は、恐怖に引きつりながらその水流を実体験。
「痛痛痛痛痛・・・」と大声で水流に耐えたものの、「すっごい音がしよったですよ」と山口も驚いており、宮迫は「コレ・・ウンコ出る・・・」とその感想を表した。
ソレに対し「それがよか効果です。洗うつもりが、またウンコが出る、それの繰り返し」と解説し、2度目のスイッチを入れるが、このときに最大値の868に目盛りを合わせる。
さすがにこれには耐え切れず、宮迫は飛び上がって避難した。
最大値の威力に驚いた山口は「アンタこれよう座っとったね・・・」と突っ込み、ラストで宮迫は「ちょっとだけですよ・・・ちょっとだけですけど・・・出た」と告白し、このパートは終了する。
そのまま継続して一押しの商品ならぬ「お仕置きの商品」として『布団こつ乾燥機』の紹介パートに入るが、前パートでズボンがびしょ濡れになった宮迫は、簡易的な半ズボンに穿き替えてこのコーナーに出演していた。
さきほどの恨みとばかりに、こちらでは最終的に山口にも熱湯の豚骨スープを浴びせて、コントは終了する。
野球界激怒
当時のホークス球団本部長だった佐藤賢二は、この放送直後に「今回の番組は王監督だけでなく、プロ野球全体をバカにしたような内容。大変憤りを感じている」とコメント。
これに対して、当時のフジテレビスポーツ局長矢吹忠比古は「大変なことをしてしまった。申し訳ない。」と球団および王に謝罪を申し出たほか、翌週放送にて謝罪テロップと社長名での詫び状を出すことなどを確約した。
当の王自身はこの番組を観ていなかったらしく西日本新聞の取材におけるコメントにおいて「野球界と芸能界を一緒にするからこういうことになるんだ。ボク自身は実際に（番組の映像を）見ていないが、かなりえげつないものだったと聞いている。対応? それは球団に任せているから」「節度が欠けている。お笑いと野球は根本的に違う」とフジテレビの番組製作体制に対しても皮肉交じりに答えている。
さらに怒りはこの年に日本シリーズで対戦する可能性が高まっていたライバルの星野仙一にも及び、「あれは怒って当然。やっていいことと、悪いことがある。しかも“世界の王さん”やで」「オレがもし（同じような扱いを）されても怒るし、そうなったら胴上げだろうが、ビールかけだろうがすべて取材禁止や。お笑い同士で楽しくやるのはええけど、こっちは戦っとるんや」と激しく非難した。
このほかに風刺イラスト作家の山藤章二も「ひどい」と批判している。
放映6日後の8月19日に球団側は高塚猛オーナー代行を通して「冗談では済まされない問題。王監督も自分だけでなく、球界全体の問題と捉えている。フジテレビの対応を継続的に見て、関係を修復するのは（今シーズンが終わった）後のこと」として、リーグ優勝した場合、フジテレビ系列局を日本シリーズの放映に加えないことや、優勝が決まった日の選手たちの生出演を拒否するという、強固な姿勢で局に抗議することを決定。
さらに「球団だけの問題じゃない。野球界に携わる者として許し難い」「誠意とは一度テロップを流すことではない。おわびしたからといってどうこうできる問題ではない」と局側のあまりの誠意の無さを対応内容の具体的な部分まで示した上で強く非難している。
実際に、この年にホークスは優勝することになるが、フジは放映権を獲得できず、最も険悪な仲と伝えられるテレビ東京がその放映権を獲得し、ネット局が無い地域から苦情が殺到するなど後日対応に追われた。
同日、名前を茶化されたジャパネットたかたも、それまでパロディとして使用されていることは知っていたが、これまでは良識の範囲内だろうと静観していたが、堪忍袋の尾が切れた模様で、公式ページ上で「事前に放送内容などの連絡は同局よりいっさい受けておりませんでした。今回の内容について、大変遺憾に思うと同時にただちに、文書と電話で同局に対して厳重に抗議をいたしております」と発表。
なお、「シゲ」の項目で茶化された長嶋茂雄及び当時所属していた読売巨人軍は本件について特にコメントはしなかった。
一夜明けた8月20日、フジは須田哲夫アナウンサーを据えて番組冒頭15秒で謝罪。
王はこれに対して「テレビ局がそういうことをするのは大変なことでしょう。誠意は十分に感じました」「個人的には誠意を感じた。（フジ系列の）地元局についてはもういいかな、という思いもある」と一定の理解は示した。
但し、視聴者やその他球界関係者は許すはずも無く「この程度では謝罪にならない」と1400件以上もの苦情電話が殺到。さらに、謝罪があまりに短かったことで見逃した者も多く、「いつになったら謝るんだ!!」といった内容の電話も多く寄せられていた。テレビ界と一般社会との“常識”のズレ、さらにテレビ番組制作会社のチェック機能の甘さ、そして何よりも「謝ることを嫌う日本企業の大人」という悪い部分が噴出していたといえる。
当時、ネットはまだ今ほど普及はしていなかったものの、やはりより過激な意見はネット上に多くあり、当時Yahoo! Japanが行ったアンケートでは「謝罪で済む問題ではない」が70%に及び「謝罪したのだから十分」の15%を遥かに上回る数値を記録している。
少なからずこの当時の対応が、2010年代のフジテレビ長期低迷やマスコミ不信に繋がっているのではないか?という声もある。
なお、20日分の視聴率は前週までの平均16.1%から17.8%に上昇したが、フジテレビの株価は大きく下落している。
さらにこの20日放送分では、前週をまるで反省しなかったかのような「NANIWA 〜元ビジュアル系バンドの肖像〜」というコントが放映。
このコーナーのラストで、和光堂の粉ミルク「ぐんぐん」を出演者にかける罰ゲーム的展開で終えたところ、「育児に必要不可欠な粉ミルクをこのように軽率に扱うな!!」という抗議が殺到。
前述のとおり視聴率が高かったことや、ただでさえ不祥事が続いていたことから視聴者の怒りに対してガソリンに猛火を注ぐような形になってしまい、番組打ち切りすら噂された。
なお、ジャパネット～のコーナーにおける豚骨スープについては特に抗議があったという記録は無い。
8月22日、番組は「ジャパネットはかた」のコーナー打ち切りを発表した。
番組存続が危ぶまれたものの、番組黎明期より人気を博していた『ゴリエ』の出演コーナーや番組監修CDが翌年にかけて爆発的にヒット。番組が3年続く貴重な原動力となった。
関連動画
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関連商品
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関連コミュニティ
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関連項目
- ウジテレビ
- フジる
- マスゴミ
- 2ch湘南ゴミ拾いオフ - この騒動の前年に行われたFIFAワールドカップのフジ中継に対するインターネット上の抗議活動
- 韓流フジテレビ批判騒動 - この騒動の8年後に起きた一般を巻き込んだ大騒動
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