琉球方言、琉球語、琉球諸語。
2009年、ユネスコが琉球弧上に六つの言語(総称して琉球諸語)があるとし、北から奄美語・国頭語・沖縄語・宮古語・八重山語・与那国語と名づけ、世界的には絶滅危惧言語となった。ただし、当記事が作成されたときの記事名が「琉球方言」となっていたため、以下では方言として鹿児島県奄美地方及び沖縄県で使われる方言全般を取り上げる。
なお、今後の当記事の名称については掲示板で意見を募っている。
概要
琉球方言・琉球語
琉球語は二つの方言に大別され、さらにその下に六つに別れる。更に島ごとに分かれて場合によっては島の地域ごとに別れる場合もある。
沖縄方言 / 沖縄語
成立年代・本土(大和)からの影響から二つに大別される。
勿論、島単位、地域単位で言葉の細かい違いが有る。又、別々の地域の方言が個人単位でも混在して使われる事も珍しくはない。
- 沖縄方言 / うちなーぐち
- 古来からの琉球地方の言葉。那覇を中心とする方言。
交流の深い中国・薩摩藩(鹿児島県)からの影響がある。 - 沖縄弁 / うちなーやまとぐち
- 近代~現代に成立した比較的歴史が新しい沖縄方言。
九州弁、日本語標準語、英語の影響がある。
方言間の差
琉球列島と本州の地図を重ねてみると、琉球列島北端の喜界島が青森、奄美が仙台、沖縄本島が松本、宮古島から与那国島までが瀬戸内あたりになる。しかも、本州と違って、この間には海があるため、島々の間の往来は非常に制限されていた。それ故、島ごとの方言が多様である。ありがとうという言葉一つとっても、
となる。この差が津軽-鹿児島間の差よりも激しいという人もいる。例えば、宮古と沖縄の人がそれぞれの方言で喋っても理解できなかったとか。
そもそも、本土にはせいぜい六母音体系の方言があるくらいだが、琉球方言には与那国の三母音から長短合わせれば十四つにもなる奄美方言まである。また、子音だけの言葉がある方言があったり、や行がだ行に変わる方言があったり、よりどりみどり。
日本語(標準語)との関係
琉球語では基本的には、日本語の「え」段が「い」段もしくは中舌母音(「いぅ」の音)に、「お」段が「う」段に対応している。
また、かつての日本語においてぱ、ぴ、ぷ、ぺ、ぽ、あるいは、ふぁ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉと発音されていた「は」行がそのまま残っているところもある。
北琉球方言では、二重母音「あい」が「えー」にかわってたりする。
南琉球方言では、わ行がバ行に変わっている。更に、先に述べたように与那国方言では、や行がだ行へ変化している。(山がダマ、夜がドゥル、与那国はドゥナン、等)
また、「き」の音は「ち」の音になっている。母音に挟まれた「わ」行は脱落する。
故に、「きよら」が「チュラ」となるので、美ら海は大和の方言では「清らな海」と言うことになる。高校野球などでよく聞く「チバリヨー」というのは「気張れよ」がなまったもの。
標準語の形容詞は「い」か「しい」で終わるが、沖縄では「さん」で終わる。朝ドラのタイトルの「ちゅらさん」というのはきれいや美しいという意味で、上記の清らにあてはめると「清らさん」になる。
民俗学者の柳田国男は新しい言葉は中央で使われ地方に古い言葉が残る「方言周圏論」を唱えていた。沖縄と東北地方ではトンボを古語の「あきづ」と呼び、関東ではそう呼ばないことが一例と言える。沖縄本島のいくつかの地域ではは行を標準語と同じように発音するのに対して石垣島のほとんどの地域と宮古島や西表島、小浜島、黒島、多良間島などは「ふぁ」や「ぱ」になっているのも同じ理由であろう。
言語か方言か
1873年(明治6年)に来日したお雇い外国人のバジル・ホール・チェンバレンは、沖縄の方言と日本語は同系統の言語である(同一の祖語を持つ)と言及している。ただし、「同一の祖先を持つ」というだけであり、「同じ言語」とまでは言及していない。
2016年(平成28年)に東京外国語大学の五十嵐洋介准教授は、「日本語派」という系統が成立しえない等の立場から、日本の言語は「日本」と「琉球」ではなく、「中央日本語派」と「九州・琉球語派」に分けるべきと提唱している。
ただし、そもそも「言語」「方言」の区別には言語学でも統一的な見解がなく、政治的・社会的な要因もこの区別に影響してくる。そのため、「琉球語/琉球諸語」と「琉球方言/沖縄方言」のどちらで呼ぶべきか、またそれが日本語(標準語)に対してどういう分類・立ち位置にあるのかの全体での結論は、2022年の現在ではまだ出ていない。
確実視されているのは、これらの言語または方言が「同じ系統にある」「同じ祖語を持つ」ことぐらいである。
単語
- はいさい・はいたい
- 「はいさい」は男性が使う挨拶、「はいたい」は女性が使う挨拶。
朝昼晩問わず使える便利な挨拶言葉。若年層の女性の間では本来男言葉の「はいさい」を使う事もある。 - めんそーれ
- 沖縄方言でいらっしゃい・ようこそを意味する歓迎の挨拶。面候(めんそうらう)が語源か。
- かなさんど・かなさんどー
- 愛おしい。古語の「かなし」に相当。
ニコニコ動画、ニコニコ大百科では頻出する。 - にふぇーでーびたん
- 有り難う御座いました。にふぇーだけで、ありがとうの意になる。
【用例】どう聴いてもうちなーぐちです。じゅんににふぇーでーびたん
【関連地ビール】二へデビール(南都酒蔵所) - じゅんに
- 本当に
- なんくるないさ・なんくるないさー
- なんとかなるさ
→なんくるないさー の項目を参照のこと
【対義語】ちゃーならん
【非関連語】→なんくるねぇな - ちゃーならん
- 何ともならない。転じて「もう駄目」「お手上げ」の意味。
【対義語】なんくるないさー - てーげー
- 適当。大概が語源と思われる。
儒教・仏教・東洋哲学で言えば「中庸」相当?「良い加減」「良い塩梅」「程々」と言う意味にも使える。 - あがー
- 痛みを感じた時の魂の叫び。「痛い」の意味。
- あげー・はげー
- 驚きの魂の叫び。
「おおっ!」"Oh!"「うわっ!」「ええっ!」 - あんまよー、あんまよぉ
- 「あきさみよー」「あいえーなー」とも言う。
母親を意味する「あんまー」から派生した「ありゃぁ」、「うそっ!」、「マジでっ?!」と言う意味合いに相当する感動詞。英語の感動詞では"Wao!","Woops!"に相当する。 - でーじ
- 大変。凄く
- ぬー
- 何?何だ?
「ぬーぬー」と二回続けると、「何だ!何だ!」
標準語と同じく、疑問から「何奴!」的威嚇まで幅広い用途で使われる。
【非関連語】→ぬーぬー - ワシミルク
- コンデンスミルク、練乳。
沖縄で主流のコンデンスミルクがネスレイーグル(Nestle EAGLE)製品で、製品にイーグル=ワシのイラストが描かれていたからワシミルクと呼ばれる。 - ティーダ
- 太陽のこと。沖縄独特の語
- ンチュ
- 「~の人」を指す。例として「海人」「島人」など。詳しくは「人(んちゅ)」の記事へ。
『ちゅらさん』以後の新しい沖縄言葉
NHK連続テレビ小説『ちゅらさん』で登場した、主人公の父親役である堺正章が使う「さー」をあらゆる文末に使う、簡易化された『正しくない沖縄方言』は制作側が意図的に作り出した人工言語である。
広島・大阪を舞台にしたヤクザ映画での似非広島弁・大阪弁が視聴者に方言への抵抗感を減らし、模倣を促した様に、簡易化された架空の沖縄弁は琉球方言を使わない沖縄県外の視聴者のみならず、沖縄在住の人々からも前向きに支持される側面もあった。
琉球方言による会話・文章
どなたか喋れる、書ける方がいたら、追記してください。下の掲示板に書いて下さっても構いません。
ニコニコ動画での琉球方言
沖縄のテレビ局動画、沖縄出身タレント出演動画や、沖縄出身の架空のゲームキャラクター我那覇響の動画の視聴者コメントで沖縄方言が登場する。
関連動画
左:NBGIのゲーム『アイドルマスター』の沖縄出身キャラクター我那覇響は公式楽曲『スタ→トスタ→』を歌う時に「なんくるないさー!」と叫ぶ。
右:アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』谷口のキャラクターソング、『俺の忘れ物』の歌ってみたうちなーぐちVer.
右:TBS『三宅裕司のいかすバンド天国』より山内吉仁 『ナチカシャヌ頃』
左:文化放送『テニスの王子様 オン・ザ・レイディオ』より、比嘉中学校テニス部部長木手永四郎を講師に迎えた沖縄方言講座。生徒は青春学園中等部テニス部員乾貞治
左:RBC(琉球放送)テレビ公式チャンネルのゆうりきやーの漫談動画
右:その後のゆうりきやーの漫談。
左:歌い手ヲニマによるVocaloid楽曲『バビロン』の三線演奏沖縄Ver。
右:歌い手石敢當と三線の奏者530によるVOCALOID楽曲「ドレミファロンド』の沖縄方言での歌ってみた。
関連チャンネル
関連項目
- 鹿児島県
- 沖縄 / 沖縄県
- なんくるないさー / 人(んちゅ)
- ゲーム /アイドルマスター / 我那覇響
- 漫画 / アニメ / テニスの王子様 / 琉神マブヤー / はいたい七葉/世紀末リーダー伝たけし!/沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる
- 言語の一覧
関連サイト
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