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琵琶湖疏水（琵琶湖疎水）とは、滋賀県の琵琶湖の水を、京都市に流す水路である。
概要
明治時代に作られた、滋賀県大津市と京都府京都市を結ぶ水路。京都市内で複数の方向に分岐する。
農業・生活用水の供給のほか、水力発電の利用による市電の運行、工場への電力供給、蹴上インクラインなどに代表される水運の活用など多くの利益をもたらした。現在でも蹴上浄水場や松ヶ崎浄水場を経由して生活用水に使われるほか、水路が市民や観光客の癒しの場としても役立っている。
大津市と京都市は隣り合っているので、他の県庁所在地同士ほど距離があるわけではないが、現在と比べて技術が乏しい明治時代に山を2つ越える水路を開削するということもあり、難工事であったとされる。
ちなみに「琵琶湖の水止めたろか」という滋賀県民が言いがちな台詞もあるが、琵琶湖疏水の堰は京都市上下水道局が管理しているため、滋賀県や大津市は琵琶湖疏水の水を止める権限を持っていない。
ルート
第一疏水
1890年開通。おそらく最も有名な区間であり、疏水として一番最初に作られた部分でもある。
大津市の三保ヶ崎（三井寺の辺り）を起点として、山の地下を貫通して京都市山科区に入る。山科駅の北側を通り、さらにもう1つ山を越えて京都市東山区蹴上水力発電所に通じる。
蹴上にはインクラインがあり、かつて水力発電で舟をレールの上の台車に載せ、山科側へ引き上げていた。現在は「ねじりまんぽ」等と合わせた観光地であり、レールの上も歩けるようになっている。長らく舟運は途絶えていたが、2018年からはインクラインの東側～大津市の間で観光船が運航されている。
その後岡崎公園・平安神宮の南～西を通って、夷川発電所を通って鴨川へと向かい、冷泉放水口で鴨川と接続する。
第二疏水
1912年開通。琵琶湖の水位が低下した際にも取水できるように作られた新しい水路。第一疏水と同じく三保ヶ崎から蹴上までを結ぶが、ほぼ全線がトンネル・暗渠となっている。
鴨川運河
1894年開通。
冷泉放水口の手前で鴨川沿いに二条～十条通を貫いて南下し、京阪鳥羽街道駅のあたりで鴨川と別れる。そのあとは伏見稲荷・深草・藤森へと京阪線に沿って進むが、墨染発電所からは近鉄伏見駅の方へ向かい、堀詰町のあたりで濠川に接続する（一部は西に進んで東高瀬川から宇治川に注ぐ）。
そのあとの濠川は丹波橋を通って伏見の町の中を流れた後、中書島の辺りで宇治川に合流する。
疏水分線
第一疏水と同時期に開削されたとされる。上記の疏水群と比べると現在の水量は少なめである。
蹴上で北方向に分岐し、南禅寺水路閣の上を通って哲学の道の横を流れた後、京都大学農学部の東を通り、高野から松ヶ崎浄水場へ進む。正確には浄水場に行く水は南禅寺裏の若王子取水池で導水管へと分岐しているため、そこから先の表面を流れている水はあくまで一部に過ぎない。
高野の辺りまでは、京都の多くの川の向きと異なり、南から北に流れている。
現在の疏水分線の水は高野川に多くが流出しており、川を越えた松ヶ崎から先の下鴨地区の水路では、松ヶ崎浄水場から流出する少量の水や、北側から来る農業用水、疏水と平面交差する泉川の水が流れている。
かつては賀茂川を越え、堀川紫明辺りにあった「小川」に注いで宝鏡寺の東側を経由して堀川に合流していた。現在では紫明通・堀川通の真ん中の新しい水路を通って、今出川通との交差点から堀川へと注いでいる。
その後、堀川は二条城から暗渠となり、近鉄京都線・国道1号に沿って進んだのち、京都南ICの辺りで鴨川に流れている。
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関連項目
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