概要
基本的には肉にショウガを加え、醤油、砂糖、みりんなどで作ったタレで味付けして焼く料理。ショウガ風味はあらゆる肉に合うため、牛、豚、鶏、その他とどんな肉でも作れるが、最も一般的なのは豚肉を使ったものであり、単に「生姜焼き」と呼んだ場合はまず間違いなく豚の生姜焼きのことを差す。以下、本記事でも豚の生姜焼きを念頭に解説する。
ショウガは食欲を増進するとともに肉の臭みを消す効果があるため、甘辛く濃い味付けもあって安い肉でも美味しく食べられる調理法。家庭料理としてはもちろん、定食屋や弁当屋などのメニューにも十中八九はラインナップされており、「白飯の進むおかず」の定番として不動の地位を築いている。
一方、そのメジャーさに反して決まった形のない料理でもあり、人によってさまざまな好みが存在する。特に「どんなタイプの豚肉で作った生姜焼きが好みか」はしばしば食べ物議論のネタになる。主に以下の3タイプが存在する。
- こま切れ肉タイプ
豚バラ肉の薄切りやこま切れ肉など、薄く小さく切った不定形の肉を炒めるタイプ。玉ねぎなどの野菜を加えることも多く、この場合「野菜炒め」との境界が曖昧になる。後述の「チェンソーマン」でデンジが作ったのもこれ。 - 薄切り一枚肉タイプ
薄からず厚からずの厚さに切った肉を、1人前につき3~5枚ほど焼くタイプ。この厚さの肉はスーパーなどで「生姜焼き用」として売られていることも多く、恐らく生姜焼きの最も一般的なイメージ。 - 厚切り一枚肉タイプ
トンカツやポークソテーに使うような厚切りの肉を用いるタイプ。それなりにいい肉が必要なので安い定食屋ではあまり見ないタイプで、洋食屋さんなどで「ポークジンジャー」の名前でよく見かける。
この他にも「肉はタレに漬け込むか、漬け込まないか」「ショウガはすりおろすか、すりおろさないか」「マヨネーズは添えるか、添えないか」など、人によって生姜焼きの好みは千差万別。単純さに反して様々なバリエーションがある料理と言えるだろう。
その「バリエーション」の極致と言えるのが……。
『チェンソーマン』の生姜焼き
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この項目は、漫画『チェンソーマン』のネタバレ成分を多く含んでいます。 ここから下は自己責任で突っ走ってください。 |
『チェンソーマン』第96話にて、最愛の女性にして全てを奪った宿敵・マキマとの最終決戦に臨む主人公デンジ。奇襲によりマキマの体にチェンソーの一撃を食らわせ勝利したデンジだったが、驚異の再生能力を持つマキマはいくら切り刻んだところでそのうち復活してしまう。それを防ぐため、デンジが取った策は……。
場面は変わり、自室で料理をしているデンジ。冷蔵庫に入っている大量のタッパーから肉を取り出し、玉ねぎ、ショウガと一緒に手際よく炒めていく。味噌汁と白ご飯も添え、美味しそうな生姜焼き定食をしつらえた。
「マキマさんってこんな味かあ」
そう、デンジはマキマの肉を生姜焼きにして食べ、彼女と「一つになる」ことで彼女の蘇生を阻止したのである。
ジャンプ漫画における人肉食描写は過去にないわけではなく、かの有名な『封神演義』(藤崎竜)の伯邑考ハンバーグなどはその最たる例であろう。ただ、「封神演義」でこれを行なったのは物語の大ボスにして超のつく大悪人であり、「主人公が率先して人間を料理して食べた」というのはさすがに前代未聞ではないかと思われる(厳密にはデンジは悪魔と融合した人でも悪魔でもない存在で、マキマも見た目こそ人間だが、悪魔なので「人間を共食いした」と呼べるかは少々怪しい面はあるが……)。
元々少年漫画らしからぬ非常にハードな展開が特徴だった『チェンソーマン』だが、このジャンプの限界を軽々と突き破る描写に読者は騒然。「推しが生姜焼きになった」と衝撃を受ける者、その日の昼食を生姜焼きにして「これがマキマさんの味かあ」を実践する者、これまでのデンジの成長を思い返してむしろ感動する感覚がマヒした者が続出し、Twitterでは「生姜焼き」が丸一日トレンド入りし続けることになった。
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