男色ディーノとは、DDTプロレスリングに所属する人気プロレスラーである。ファンからは「男色先生」と呼ばれることが多い。
DDTプロレスリングのアイコン(象徴)とも言われている。
概要
業界きってのゲイレスラーとして、レスラーや観客から恐れられる一方、2010年の第一回DDT48総選挙で第一位に輝くなど、DDT所属レスラーの中ではトップクラスの人気を誇る。クレバーなセンスの持ち主でもあり、興行最後の締めなど団体内のとりまとめをすることも多い(いわゆる男色締めと呼ばれる)。さらにDDTプロレスアワーのニコニコ生放送では、鶴見亜門GMとともにナビゲーション番組のパーソナリティーも務めている。
体はとてもぽっちゃりしているが、ニコニコ動画のコメントでは「しっかり体を作ってきているな」と評されることが多い。ちなみに若い頃のディーノは普通にイケメンで、今も某緑な団体を退団したと思ったら戻ってきたS崎G選手に似ているとも言われている。
大手芸能事務所オスカー・プロモーションにも所属しており、たまにバラエティ番組にもあのキャラのまま出演している。
様々なニコニコ生放送にもゲスト出演しているためか、プロレスをよくわからないニコニコユーザーの間でも、よく知られているプロレスラーのひとりとなっている。現在ではニコ生番組とYouTube LIVEにてオンザボード運営の「ゲイムの時間」を配信中。
キャラクターとしてはボケよりもツッコミタイプ。暴走した高木三四郎を止められるのはディーノだけとも言われている。
学生プロレス時代~DDT入団以前
大阪学院大学のプロレス同好会OWFにて『魁!!男塾』の男爵ディーノをもじった男色ディーノとしてデビュー。学プロ出身のプロレスラーはプロになるとほとんどがギミックを変更するが、ディーノだけは実に10年以上も一貫したギミックでプロレスをしている(本人曰く「ガチでありギミックではない」そうだが)。また、特徴的なディーノのタイツは学生プロレス出身で現在は大日本プロレス所属のMEN'Sテイオーをリスペクトしたものである。
大学卒業後はライター志望として上京(本人曰く、学プロのパンフとか作っていたからイケると思っていた)するも、編集プロダクションの仕事だけでは生活ができず、当時どインディーのプロレスラーでもあったゲームライターのジャンクハンター吉田に紹介されてCMAプロレスでプロデビューする。このCMA時代にCROWNのリングで行われた透明人間との試合でインディープロレス業界から注目を浴び、やがてDDTにも参戦するようになって、現在に至る(なおライター業としては、プロレスラーとして有名になった現在でも4Gamer.netにて「男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ」を連載中)。
DDTプロレスリングでの実績
DDT内では過去に、マッスル坂井や猪熊裕介との「ドラマチック三銃士」や坂井、橋本友彦との「B-52スペシャル」、矢郷良明やマサ高梨、坂井による「ベルトハンター×ハンター」、高梨、佐藤光留、ヨシヒコらによる「ベルト HUNTER×HUNTER」といったユニットを結成。2012年は、飯伏幸太、大石真翔、KUDOらを中心メンバーとする「ほもいろクローバーZ」としても活躍していた。
タッグチームではグレン“Q"スペクターとの「ゲイマシンガンズ」、MEN'Sテイオーとの「ネオ・ゲイマシンガンズ」、越中詩郎との「侍シロージロー」などが知られている。この侍シロージローのジローは、当時ディーノが患っていた痔ろうに由来している。一時はディーノ最大の弱点だったが、今は手術済みとのこと。
その試合スタイルから地上波での放映はムリと言われてきたが、GPWA興行の中継(日テレG+)で日本テレビの蛯原哲アナにキスしたシーンが地上波のプロレスリングNOAH中継にも流れたことがある。
メジャー団体では新日本プロレスのSUPER J-CUPにも出場し、邪道に勝利するもプリンス・デビッドには敗れる。このとき、そのゲイスタイルレスリングに解説の山本小鉄が激怒したが、ディーノも「小鉄さんのやり方で行き詰ったから、今こんなにいっぱい団体があるんじゃない。私のような生き方も許されると思うわよ」と堂々と反論し、男を上げた。
シングル王座では2005年と2012年にKO-D無差別級王座を獲得。特に2005年の初戴冠はイロモノ扱いのゲイレスラーが団体の至宝であるタイトルを、当時のエースだった高木三四郎から獲ったことで大きく話題となった。本人も、このときの戴冠には思い入れが深いようである。2009年の両国国技館大会ではEXTREAM級王座やGAY世界アナル級王座などを含む統一11冠戦をマサ高梨と争い、これに勝利した。このとき獲得した王座で今も定期的に防衛戦をしているのは大森夢フェア認定世界大森級選手権で、ディーノがこの王座に就いている間、大森は(DDT内で)ゲイタウンとして扱われる(ついでに言うと、選手権試合に負けた対戦相手の出身地もゲイタウンとなる)。
近年、KO-D無差別級王座戦線にはなかなか絡まないが「ワタシはプロレスの外側にいる人たちをこっち側に連れてくるのが役目」ということで、様々なイベントや番組に「DDTのゲイなプロレスラー」として異彩を発揮している。
2021年には飯野雄貴とともに「フェロモンズ」を結成。リングネームも「男色“ダンディ”ディーノ」に改めている。
DDT本体以外のブランドでは、マッスルで坂井の右腕的存在として重要な役割を果たしていた。またかつてのBOYS、現在のBOYZにはディーノによく似たジャニー江田島塾長が出演している。
ディーノとHG、恩讐を越えた関西学生プロレスレジェンドの決戦
2010年7月25日のDDT両国大会で行われたレイザーラモンHG&RGと対戦はディーノ本人、そして学生プロレスマニアとかつてのハッスルファンにとって意義のある戦いだった。
ディーノが大阪学院大学で学生プロレスをしていた頃、HGとRGはそれぞれ同志社、立命館大のプロレス研究会で「ギブアップ住谷(HG)」、「チン先真性(RG)」のリングネームで活動しており、京都の学プロ界で一目置かれる存在だった。そして、ディーノがDDTで活躍するようになった頃、HGとRGはDDTよりスケールが大きく地上波でも取り上げられていたハッスルのリングで活躍していた。(余談だが、RGは学生時代、学プロの後輩で現在では日本のプロレス界を代表するスーパースターでもある棚橋弘至より人気があったという)
学生プロレス出身かつゲイという、あまりにも被ったキャラクターであるディーノとHGの対戦を望む声は両国以前からずっとささやかれており、ハッスルが潰れなければそこで対戦するという話もあったという。しかし、HGが試合中に足を骨折し、ハッスルという団体も巨大な負債を抱えて倒産してしまった。そして2010年、ディーノが対世間かつ過去の清算として選んだ相手がHGだった……。骨折のダメージが完全に癒えず、もはやかつてのような動きができなくなったHGは当初対戦要求を断り、RGはそのスポークスマンとしてDDTファンからのブーイングと帰れコールを浴びながら、何度もディーノの前に立ちふさがった。だが、ディーノの熱意にほだされたのか、HGとRGのタッグVSディーノというハンディキャップマッチでついに対戦が実現した。試合は終盤、HGの脚を極めきれないディーノに対し、当時ヒザを負傷していたマサ高梨と大家健がリングサイドに駆けつけて「ディーノさん、迷うな!決めろ!」とアピール。それを聞いて鬼の心となったディーノはHGをヒザ十字固めで仕留めた。
試合終了後、HGに向かってディーノは「あんたがケジメをつけないでプロレス辞めると聞いて、そうさせるわけにはいかない!ケガで心が折れて引退するなんて本当にイヤ!ワタシ、まだあんたの口からプロレスやっててよかったという言葉聞いてない!」と叱咤。これにHGも「どんな芸人よりもプロレスを愛してリスペクトしてきました。ケガが治るまでプロレスファンとしてプロレス界を盛り上げるために協力したいと思います」と応えた。そして最後に2人で「プロレス、フォー!」を決めた。
マサ高梨との11冠統一戦、ボブ・サップとの一騎打ちなど両国ではこれぞ文化系プロレスという試合を披露してきた男色ディーノだが、歴史と人生の積み重ねという点では、このHG戦が一番の試合だろうと思われていた……。
2012年8月18日、日本武道館。透明電流爆破マッチ
2012年8月18日、日本武道館大会でのディーノの試合は、試合経過5分後にロープへ100万ボルトの電流が流れ、接触すると爆破する「透明電流爆破デスマッチ」として行われた。かつての盟友、マッスル坂井や猪熊裕介らとともに入場したディーノは、「透明人間が見えるメガネ」を着用して透明人間と相対する。序盤から、かつて一度も見せたことがない鉄柱からのトペ・コンヒーロを放つ(ただし、避けられる)など、最初から飛ばすディーノ。だが、試合中に大事なメガネが外れてしまう。相手が見えなくなり一転してピンチになるも、手探りで相手の体を探し当てたディーノは、リップロックで相手をとらえる。ここで試合時間が5分を経過し、ロープに電流爆破が流れる。そして透明人間が男色ドライバーを拒んだ際に、ついにディーノが被爆する!と、そこへ流れてきたのはマッスルでおなじみの「エトピリカ」。ディーノのこれまでの回想シーンが流れる。そして次は透明人間が被爆。すると今度はDDTの旗揚げから現在まで、そしてメインイベントである飯伏幸太とケニー・オメガの一戦に向けての煽りVがスクリーンに流される。まるでどこかの大社長のような大人げない透明人間の声。そして透明人間はスタナー連発からディーノをロープに叩きつけた。ディーノが松井レフェリーを伏せさせると場内は暗転。そして大きな爆音が響き渡った。証明が戻ると、松井レフェリーとディーノはダウン。そこへ透明人間がカバーし、試合は決着がついた。
ビッグマッチのセミファイナルを、15年の総決算とメインイベントの煽りに使うなんてDDTプロレスリングでなければできない!そう思わせる、恐るべき一戦だった。試合後、ディーノは「今日、透明人間に勝てなかったことが、私の伸びしろなんだと思う。プロレスじゃないものも、プロレスは受け入れてくれる。それが今日、見えた。透明人間と闘って何も見えないかと思ったら、それが見えた。それだけで私はまだ前に進める。DDTはこれで終わりじゃない、それがわかっただけ、本当に今日は私にとってよかった。すごいね」と語った。
最後に彼はこう言っている「DDTの男色ディーノはこんなもんじゃないです。でも今の時点の私の力は全部出しました。これからを楽しみにしてください、もっとおもしろくします」と。
得意技(あるいは男色殺法)
GK金沢がZERO1-MAX中継で「股間を支点にした攻撃」と評したものこそ、ディーノのレスリングスタイルである。その技は「男色四十八手」と呼ばれ、動画でも公開されているので、関連動画で確認して欲しい。
技以外では、男子レスラーのタイツを脱がしたり食いこませるなどして、相手のお尻を露出(さらにはスパンキングも)させるムーブも、試合中によく見られる。その一方、試合によってはキラーディーノと呼ばれる観客が凍りつくような非情かつシリアスなファイトを見せることもある。さらに最近ではリバース・えびぞりジャンプ(ムーンサルト・プレス)や男色トルネード(カンクン・トルネード)などの空中殺法もここ一番で披露するようにもなった。
入場テーマである布袋寅泰の「スリル」に合わせて観客席側から登場し、客席に好みの男性がいたらキスやまさぐりといったセクハラ行為をしつつリングへ向かう通称「狩り」はディーノの試合の恒例で、(最近はビッグマッチや地方興行でしかしなくなったが)毎回客席を阿鼻叫喚に包ませる。なお、女性客にはグーパンチまたは被っている帽子を取り上げて遠くへブン投げるなど、非常に乱暴を働くので注意が必要である。
ディーノと手が合うレスラーとしては、KUDOやマサ高梨、アントーニオ本多などがよく挙げられる。逆にZERO1-MAXのリングでディーノに気に入られた藤田ミノルは、今も彼をとても苦手としている。
男色48手(+α)の代表的な技
- 男色ドライバー(相手の頭を自身のタイツに入れてから放つドリル・ア・ホール・パイルドライバー。ゴッチ式、ツームストン式、生の股間に入れるリアル男色ドライバー、コーナー最上段から相手の頭をコーナーポストに叩きつける男色ドライバaaaaahhhhh!!!!!などのバリエーションがある)
- ファイト一発!(かけ声とともに顔面パンチを放ち、後ろを向いた相手の尻を股間で突き押す。コーナーポストに飛ばされた相手はフラフラとなり、男色ドライバーの餌食となる)
- 垂直落下式ブレーンバスター(キラーディーノのときにか使わない、いわば裏技)
- ダブルリストロック(こちらもキラーディーノのときにしか使わない技。“鉄人”ルー・テーズの得意技であり意外にもテクニシャンなのである。
- リバースエビ反りジャンプ(いわゆるムーンサルトプレス。連発するときはタイツを一枚ずつ脱ぐ)
- コックボトム(相手の片手をタイツに入れてから放つ、ロック・ボトム。基本はここからナイトメアにつなぐ)
- 男色ナイトメア(「ナイトメア!」のかけ声とともに、仰向けに倒れた相手の顔面の上でタイツを脱ぎ、スクワットでお尻を近づけることで精神的ダメージを与える。Tバックのアンダータイツを脱いで生尻を見せつけるファイナルナイトメアも存在する。タツグマッチでカットプレイをすると、座りこんで顔面騎乗状態になるので却って危険。DDGでCIMAに仕掛けた際には手鏡を利用されナイトメア中の自身の生尻を逆に見せられて催すという反撃を食らった)
- 男色回転体(股間を軸に相手の体の上を回転し、ポジションを入れ替える技。意外なところでは元WWEのサンティーノ・マレラも使用している)
- リップロック(男色ベーゼとも言う。いわゆるキス。なぜか関節技の扱いを受け、この技がかかると会場から「落とせ」コールが起きる)
- 男色ベアハッグ(首投げから「死ね~」のかけ声とともに、背後から抱きつき全身をまさぐる)
- ゲイ道クラッチ(基本は外道クラッチだが、技に入る前にタイツを一枚脱ぐ。この技で邪道を下した。)
- シャイニングあてがい(旧名:シャイニング・チンザード。シャイニング・ウィザート式に相手の顔に股間をぶつける。最近では単にあてがいと言われている。)
- ホモイェ(助走をつけてから相手の顔面にヒザならぬ股間をぶち当てる、男色式ボマイェ)
- 男色クロー(相手の股間をつかむ。そこから股間を引きちぎるように回転すると男色スクリューにハッテンする)
- 地獄門(タッグマッチでよく見られる。生尻をむき出しにしたディーノがコーナーポストに固定され、そこに相手レスラーの顔を押しつけるという地獄技。ただし、味方に誤爆することも多々ある)
エピソード等
- 実家では女系家族で唯一の男の子であるため、結婚はどうするのかという圧力がハンパないらしい。
- そのため、過去に何度か偽装結婚企画がDDTプロレスアワーで立ち上がったがその都度挫折している。
- かつては親バレしたら引退を表明していたが、実際にバレてもこのように現役を続けている。
- 入場時の「狩り」ではかつてのように女性へのグーパンチは減ったが、女性客の帽子を奪って被るパフォーマンスへと移行している。
- ゲームはライターをするくらい好き。特に歴史シミュレーションとサッカーゲームはガチ。
- テレビゲームだけでなく、アナログゲームにも造詣が深い。
- 高校時代まではサッカー部に在籍していた。
- 幼少時に、故郷の島のミカン畑で変なおじさんにベロベロなめ回されたのが今でもトラウマであり、それがゲイ化のルーツではないかと言われている。
- ゲイレスラーで女性にはおざなりな態度なのに、女性人気がやたらと高い。
- ディーノのタイツを履くと、男色化するプロレスラーが跡を絶たない。
- アントーニオ本多とは、かつてルームメイトだった。
- 色々な意味で、一番体の相性が合うのはKUDOとのこと。
- 入場時にHHHのように水を噴くパフォーマンスを見せる。そういえば団体内でのポジションもHHHに近くなっているかも?
関連動画
2012年KING OF DDTトーナメントで見せた、キラーディーノの一面
4Gamer.netにて週刊連載をしている縁で、RADIO 4Gamerにたびたびゲスト出演している。
関連項目
- プロレス
- プロレスラー
- 男爵ディーノ - 漫画「魁!!男塾」の登場人物
- ヨシヒコ
- DDTプロレスリング
- ほもいろクローバーZ
- 4Gamer.net
- 8
- 0pt