留萌本線(るもいほんせん)とは、北海道深川市の深川駅から留萌市の留萌駅までを結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線である。
概要
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留萌本線とは、その名の通り留萌地方と他の地方を結ぶために作られた鉄道路線である。
1997年までは萌の字が旧字体の「萠」で表記されていた。
1910年に深川-留萠間が開業したのが始まりで、1921年に増毛まで延伸され現在の形となった。
札幌~留萌間を最短距離で行こうとするなら、日本海沿岸を通れば最短だが、この沿岸ただものではなく、沿岸の崖の区間が長かったり、複雑に入り組んでいたりとしている。よって鉄道建設当時の技術ではとてもじゃないが最短区間では鉄道を引くことはできなかった(ちなみに、日本海沿岸経由で直接留萌と札幌を行き来できる道路ができあがったのは1980年代に入ってからである)。
だが、留萌港でとれる豊富な海産物を素早く輸送するにはやはり鉄道が必要。だが、当時の技術でも山の中にトンネルを作ることは可能だ。そこで建設されたのがこの留萌本線である。
そのため、この留萌本線は札幌に海産物を輸送するために建設されたのに、留萌~深川間を結んでいる。
そして、日本海沿岸でも比較的平地が多い留萌~増毛間に路線を延伸し留萌本線は完成した。
留萌本線と名乗っているが、現在支線は存在しない。かつては羽幌線という支線が存在したのだが、この支線ただものではなかった。留萌本線の66.8km(当時)という長さに対し、羽幌線は留萌駅から宗谷本線幌延駅まで141.1kmもあり、とても支線とは思えない規模であった。
その後留萌本線は利用者減により段階的に路線が縮小し、2023年3月の部分廃止により総路線距離が14.4kmとJR北海道とJRグループの本線の中では一番短い路線となった(それ以前は日高本線の30.5kmに次ぐ2番目に短い路線だった)。
留萌本線には特急や快速などのいわゆる優等列車は設定されていない。それどころか、普通列車は全てワンマン列車となっている。なお普通列車と各駅停車は違うため、当然普通列車しか運行されてなくても止まらない駅はある。ダイヤをよく確認したうえで乗車していただきたい。
なお、臨時列車としてゴールデンウィーク近辺には「増毛ノロッコ号」というトロッコ列車が運行されていた。かつては「SLすずらん号」という蒸気機関車が運行されていたが、現在は運行されていない。
2015年6月27日に留萌~増毛間が2018年度までの廃止が検討されていることが報道された。その後、2016年秋にも廃止する方針で検討していることが報道され、2015年8月10日にJR北海道から2016年度の留萌本線部分廃止のプレスリリースが公表された(詳細)。2016年4月28日にJR北海道は"2017年4月29日で廃止"予定とする届出を国土交通省に申請することで、廃止が確定。その後同省北海道運輸局によるヒアリングの結果を受けて、廃止日の繰り上げが認められた
ことから、2016年12月5日を以て留萌~増毛間が廃止となった。
しかし同じように末端区間が廃止された札沼線と違い、残された区間が安泰というわけでもない。札沼線の存続区間は北海道随一の大都市である札幌に通じているが、こちらは旭川にすら乗り入れていないのである。留萌市に関しては留萌本線を使うより高速バスに乗った方が札幌まで早く着く。そんな留萌本線存続区間も2018年6月17日、JR北海道から2020年度を目処に全線廃止の方針である事が表明された。
存続区間については恵比島駅〜留萌駅間は廃止が確定的となったが、残る深川駅〜恵比島駅間は深川市と沼田町が反対していることもあり方針が決まっていなかった。なおJR北海道が廃止方針を示した他の路線は2022年までに廃止済みまたは廃止で合意したと言う状況であり、方針が決まっていないのは留萌本線だけであった。
だが結局現実は厳しく、石狩沼田駅〜留萌駅間は2023年3月で廃止とし、深川駅〜石狩沼田駅間は3年程度JRが運行した上で、最終的に全線バス転換する方針が2022年7月17日に報道された。そして8月30日、JR北海道と沿線自治体は石狩沼田駅〜留萌駅間は報道の通り2023年3月で廃止、深川駅〜石狩沼田駅間は2026年3月で廃止することで合意した。
これにより、留萌本線は開業から115年で全区間が廃止されることになる。
これに伴い、2022年9月9日に、石狩沼田駅〜留萌駅間の鉄道事業廃止届出書(廃止日:2023年9月30日)が提出された。なお、11月11日に意見聴取を北海道運輸局主催で行い、廃止を繰り上げしたい旨の陳述を行い、12月1日に認めらたため、12月9日に繰上げ申請を行ったため、2023年4月1日付での廃止(最終運行日は前日の3月31日)になった。部分廃止後は深川駅構内を除き全区間1閉塞となる。
現在使用中の車両
駅一覧
すべての列車が普通列車。ただし、深川駅~石狩沼田駅のうち全列車が止まる駅は両端の深川駅・石狩沼田駅のみで、その他の駅は一部列車が通過することがある。
駅名 | 読み | 接続路線・備考 | 所在地 |
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深川駅 | ふかがわ | JR北海道:函館本線に接続。 かつてはJR北海道:深名線と接続していた(1995年廃止)。 |
深川市 |
北一已駅 | きたいちやん | 全国有数の難読駅名。 | |
秩父別駅 | ちっぷべつ | 2007年、高校生が列車に乗れずホームに置き去りにされる事件が発生し、全国放送のワイドショーでこの駅が取り上げられる。 | 雨竜郡 秩父別町 |
北秩父別駅 | きたちっぷべつ | 民営化の時に仮乗降場から昇格。 一日に上り4本、下り2本しか停車しない。 |
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石狩沼田駅 | いしかりぬまた | かつては国鉄:札沼線(現:JR北海道札沼線)と接続していた(1972年廃止)。 | 雨竜郡 沼田町 |
以下、2023年4月1日廃止 | |||
真布駅 | まっぷ | 民営化の時に仮乗降場から昇格。 一日に上り6本、下り5本しか停車しない。 |
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恵比島駅 | えびしま | 駅を訪れると「明日萌駅」と書かれた駅名標が掲げられているが、連続テレビ小説「すずらん」のロケ地跡のセットである。本物の駅舎はそのセットの横にある倉庫みたいなもの。 かつては留萠鉄道が接続していた(1971年廃止)。 |
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峠下駅 | とうげした | いわゆる秘境駅。交換可能駅のため、周りに民家が一軒しかなくとも全ての列車がこの駅で止まる。 | 留萌市 |
幌糠駅 | ほろぬか | 映画ロケ地となったことがある。 | |
藤山駅 | ふじやま | ||
大和田駅 | おおわだ | ||
留萌駅 | るもい | 留萌本線の運行ダイヤの起点。映画ロケ地となったことがある。かつては国鉄:羽幌線、天塩炭砿鉄道が接続していた。 (羽幌線は1987年、天塩炭砿鉄道は1967年廃止、留萌-増毛間は2016年12月5日に廃止) |
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以下、2016年12月5日廃止 | |||
瀬越駅 | せごし | 国鉄時に仮乗降場から臨時駅へ昇格する。その後、民営化の際に駅へ昇格。 | |
礼受駅 | れうけ | ||
阿分駅 | あふん | 民営化の時に仮乗降場から昇格。 | 増毛郡 増毛町 |
信砂駅 | のぶしゃ | 民営化の時に仮乗降場から昇格。 | |
舎熊駅 | しゃぐま | ||
朱文別駅 | しゅもんべつ | 民営化の時に仮乗降場から昇格。ホームの長さは約1両分しかない。 | |
箸別駅 | はしべつ | 民営化の時に仮乗降場から昇格。ホームの長さは約1両分しかない。 | |
増毛駅 | ましけ | 映画ロケ地となったことがある。 |
関連動画
関連項目
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