白石温麺(うーめん)とは、宮城県白石市および周辺地域で作られる小麦粉を原料とした麺である。
概要
今から約400年ほど昔の江戸時代、白石城下に鈴木浅右衛門とい
う青年がおったそうな。浅右衛門の父親は病により胃腸が弱く、「父が元気になるような何か消化が良い食べ物はないか」と方々を探し歩いておった。
ある日、流浪の旅の僧から西方より学んだと言う油を一切使わない麺の製法を教わったそうな。浅右衛門はその製法を元に麺作りを始めたものの上手くいかず、苦心の末に細い乾麺を作り上げた。乾麺を短く切り釜で茹で上げ、温かいつゆを張った麺を父親に勧めると、その美味しさに父親はあっという間に麺をたいらげ、その後も食欲は増し、快方に向かったそうな。
その話を聞いた白石城主・片倉景綱(通称:小十郎)より「温かい思いやりの心」を称られ「味右衛門」の名を賜り、味右衛門の麺は「温麺」と名付けられ仙台藩の地場産品として製造を奨励された。つまり温とはハートウォーミングであったとさ、めでたしめでたし。
白石温麺は油の代わりに澱粉を使用しており、この伝承話を真実とすればルーツは同じ製法を持つ中国福建省の麺線と考えられる。引き延ばしに澱粉を使う製麺手法は戦国から江戸時代にかけて中国から渡来した僧により日本海沿岸に伝わっており、一説には稲庭うどんもその流れを汲む麺の一つとされている。
そうめんとの違い
白石温麺は白石温麺である。
その前提で話を進めるが、白石温麺の太さは1.2mmである。
日本農林規格(JAS)の規定では、そうめんは直径1.3mm未満、冷や麦は直径1.3mm以上~1.7mm未満、手延べそうめんおよび手延べ冷や麦は直径1.7mm未満とされているため規格自体は満たしている。
そうめんと名乗ろうと思えばいつでも名乗れるが、表示は「干しめん」「手延べ干しめん」である。
つまり白石温麺は前述の歴史があり、白石温麺こそが麺のブランドであるから、である。
ぶっちゃけ白石温麺のメーカーは白石温麺とは別にそうめんとかうどんとかそばも作ってるから、
そうめん食べたい人はそれ食べて下さい。
と言いつつも2006年に「世界一長い流しそうめん」でギネス世界記録を目指していたのは黒歴史である。
(なおギネスの記録名は『竹樋(たけとい)に麺を流した最長距離』であり、麺であればなんでもいい)
そうめんとの違い
白石温麺の長さは9cmである。これは白石温麺の特長でもあり情けない話ではない。
一般的な素麺の長さは19cm前後であり、特異な短さも白石温麺の個性を象徴付けている。
なぜ9cmなのかは諸説あり……
今の所、有力とされているのが……
とあるがハッキリした説は無い。
製造メーカー
白石温麺は2023年現在、白石市内の5社、蔵王町の1社が製造している。
きちみ製麺
創業明治30年、家印は片倉家の家紋を使った『つりがね印』。片倉家の家臣のひとつ吉見家が創業家であり、片倉家に許可を貰いつりがね印を使用している。
地元消費向けの「丸吉」普及品の「つりがね(銀印)」高級品の「金印」フラグシップの「手延べ白石温麺」をラインアップ、伝統の手延べを引き継ぐ「手延べ白石温麺」は秘密のケンミンSHOWでも取り上げられ人気を博している。
キャラクターコラボにも積極的であり、ポケモン、戦国BASARA、エヴァンゲリオン、呪術廻戦にすみっコぐらしと来る者拒まずに商品展開している。それもそのはず、あの「東北ずん子のずんだ温麺 肉味噌たれ付」の製造元である。なお現在は終売しているので似た味を求めるなら「仙台弁こけしうーめん」を買おう。最近になってターコイズブルー筋肉おじさんのターコイズ温麺も作られたようだ。ラプラス麺の流用と言ってはいけない
2022年に、事業承継を目的としたM&Aにより八戸東和薬品の子会社となっている。
佐藤清治製麺
創業明治16年
さらりとした口当たりが特徴、一般品の「みちのく風味白石温麺」と手延べの「手延清温麺」をラインアップ、珍しい生麺タイプの「生ううめん」も扱っている。
直営店舗「ううめん茶房 清治庵」では、昔から親しまれているけんちんううめんと自家製ごまだれで食べる冷やしううめんをいただける。
白石興産
普及品の「だるま白石温麺」一般品の「金だるま印」と手延べ製法で作られる「大畑屋手毬うーめん」をラインアップ。鈴木味右衛門の屋号・大畑屋を引き継ぎ、コシがあり伸びにくい麺が特徴である。
2004年に民事再生法を申請、2010年にヨシムラ・フード・ホールディングス傘下となっている。
高野製麺
一般品の「蔵王こけし温麺」と厳選した小麦を使った「蔵王の誉」をラインアップ。
白石温麺でありながら白石市内では売られていない、主に遠刈田温泉の旅館・飲食店を中心とした業販卸で扱われているためである。蔵王町内の土産店か直販店でのみ購入できる。
はたけなか製麺
白石市で唯一組合非加盟の独立メーカー。一般品の「軍配印」と手延べ製法の「みちのく手のべ温麺」をラインアップ。温麺メーカーでいち早く製麺工程の機械化に着手し製法を研究、その知見を活かしそうめんやうどん等温麺以外の製品も手広く手掛けそれらの評価も高い。その分手延べ製法を復活させたのは昭和50年代と後発であるが天皇御召しの名誉を賜っている。
油はおろか食塩も使わない「無塩ZERO温麺」といった鍋にそのまま投入できる新しいタイプの高機能商品も展開している。
近年市内の有名な養鶏場の卵を使ったプリンも製造販売するなど多角化が図られている。
都内でも見かける機会が多いメーカーである。
松田製粉
スタンダード商品の「クラウン白石温麺」と厳選素材で作られる「特選伝承白石温麺」をラインアップ。
温麺の製法を生かして作られる「ひっぱりうどん」も同社の人気商品となっている。
茹で上げのひっぱりうどんを納豆やサバ缶で食べる山形県の郷土料理は美味しい。
かつて製造していたメーカー
高野本店
白石市の隣にある蔵王町のメーカー、「行列のできる法律相談所」で同社の「甘ったれうどん」が大ブレイクし白石温麺より売れて全国レベルの人気になるも現在は事業を終了している。
関連動画
関連商品
関連項目
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