直接税単語

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直接税とは、租税の種類を示す言葉である。
 

概要

定義

負担者と納税者が一致することを立法者が予定している税を直接税という。
 

主な直接税

直接税は次のように分類できる。資産課税と消費課税は人類が古代から導入した税で、所得課税は人類が近代になってから導入した税であるので、資産課税・消費課税・所得課税の順番で並べた。
 

相続税 資産課税
贈与税 資産課税
固定資産 資産課税 地方税(市町村
都市計画税 資産課税 地方税(市町村
事業所税 資産課税 地方税(市町村
不動産取得税 資産課税 地方税(都道府県
 
環境客税(出税) 消費課税
自動車税 消費課税 地方税(都道府県
軽自動車 消費課税 地方税(市町村
自動車取得税 消費課税 地方税(都道府県
鉱区税 消費課税 地方税(都道府県
狩猟 消費課税 地方税(都道府県
 
所得税 所得課税
法人税 所得課税
地方法人税 所得課税
復興特別所得税 所得課税
府県民税(住民税) 所得課税 地方税(都道府県
市町村民税(住民税) 所得課税 地方税(市町村
法人府県民税 所得課税 地方税(都道府県
法人市町村民税 所得課税 地方税(市町村
事業税[1] 所得課税 地方税(都道府県

 
※参考資料・・・松戸市財務部税制課が作成したウェブサイトexit
 

所得税が間接税のようになることがある

直接税というものは「この税金をかけると、納税義務を負った者は素直に自分の財布からお金を差し出すだろう」と立法者が予定する税金である。

立法者が予定しているだけなので、そうならないことがある。つまり、直接税と分類される税金であるにもかかわらず、負担者と納税者が一致しないことがある。

チームの勝敗を左右するような大物サッカー選手がいて、その選手にかかる所得税が20で、クラブからもらった年棒1億2500万円から2500万円の所得税を納め、1億円を手取りにしていたとする[2]。そこに所得税が25に増税されたので、大物サッカー選手クラブに対して「今までどおり手取り1億円の生活謳歌したいから、年棒を1億3333万円にしてくれ。自分は3333万円の所得税を納める。嫌なら、移籍するまでだ」と交渉した。クラブ側は大物サッカー選手の代わりになる選手など見つからないから、泣く泣く年棒を1億3333万円に増額した。この場合は、所得税の引き上げ分をクラブが負担したことになり、引き上げ分だけは間接税のような状態になった。

チームの勝敗を左右するわけでもないサッカー選手がいて、その選手にかかる所得税が20で、クラブからもらった年棒1250万円から250万円の所得税を納め、1000万円を手取りにしていたとする。そこに所得税が25に増税されたので、サッカー選手クラブに対して「今までどおり手取り1000万円の生活謳歌したいから、年棒を1333万円にしてくれ。嫌なら、移籍するまでだ」と言い出すことがとてもできず、黙っていた。クラブ側はサッカー選手の代わりになる選手がいくらでも見つかるから、サッカー選手の負担が増えることを知りつつ年棒を1250万円のまま据え置きにした。サッカー選手所得税312万円を払い、手取額が937万円に減少した。この場合は、所得税の引き上げ分をサッカー選手が負担したことになり、引き上げ分も直接税のような状態になった。

大物サッカー選手は「優秀な選手が少しだけ参加する労働市場」の参加者である。この労働市場は参加する選手が少なく、参加するクラブの方が多くて、供給が少なくて需要が多いインフレの状態である。為政者が直接税を増税した場合に納税義務者を雇う企業の負担が増えて、直接税としての性質が実質的に薄らぐ。

サッカー選手は「イマイチな選手がどっさり参加する労働市場」の参加者である。この労働市場は参加する選手が多く、参加するクラブの方が少なくて、供給が多くて需要が少ないデフレの状態である。為政者が直接税を増税した場合に納税義務者の負担が増えるので、直接税としての性質が維持される。

の労働市場全体でも似たようなことが言える。少子化が進み、なおかつ政府移民受入れを制限すると、労働市場の供給が少なくて需要が多いインフレの状態になる。いわゆる「売り手市場の就職市場」となり、企業は人を集めるのに必死になり、「所得税分はウチで負担しますよ、給を高くします、だから就職してください」というようになる。こうなると為政者が直接税を増税したときに、負担者と納税者の分離が進む。

多子化が進み、なおかつ政府移民受入れを緩和すると、労働市場の供給が多くて需要が少ないデフレの状態になる。いわゆる「買い手市場の就職市場」となり、就職氷河期となり、学生は就職するのに必死になり、「所得税分は自分が負担します、安給でいいので雇ってください」というようになる。こうなると為政者が直接税を増税したときに、負担者と納税者が一致したままになる。
  

以上のことをまとめると次のようになる。

供給が多くて需要が少ないデフレの労働市場に身を置く人 供給が少なくて需要が多いインフレの労働市場に身を置く人
直接税所得税を増税すると、労働者が増税分を払うようになり、増税分に関して負担者と納税者が一致し、直接税の性質を保ち続ける 直接税所得税を増税すると、雇用企業が増税分を払うようになり、増税分に関して負担者と納税者が分離し、間接税のような性質を持つ
賃上げ要が起こりにくく、増税分の転が起こりにくい 賃上げ要が起こりやすく、増税分の転が起こりやすい
労働者への負担が増え、労働者への罰といった様相を呈する。 雇用企業への負担が増え、雇用企業への罰といった様相を呈する。

 

法人税が間接税のようになることがある

法人税というのは直接税とされるが、「消費者に転される」「従業員に転される」などという評価がつきまとう租税である[3]

法人税を支払うのは法人であるが、負担分が転されることがある。このことを考えるため、次のような企業を想定してみよう。

売上高1000億円で、営業外収益が0円で、費用900億円で、税引前当期純利益が100億円で、益算入額と益不算入額と損算入額と損不算入額がすべて0円で法人所得が100億円の企業があるとする。

法人所得に法人税20が掛けられて20億円を納税し、税引後当期純利益が80億円になった。この会社は1だけ持っている10000人いるので、1につき配当を80万円ずつ配ることにした。

そんなときに、法人税が30になった。この場合、が増税分を負担するのだろうか?

  

ステークホルダー資本主義の風潮が強い場合、株主が増税分を負担する

世の中にはステークホルダー資本主義という考えがある。企業に利益をもたらすためだけに存在しているのではなく、従業員・取引先・顧客・地域社会といったあらゆるステークホルダー(利関係者)へ貢献するために存在している、という考え方である。

この潮が強い場合、法人税が増税されたときに「じたばたせずに納めよう」となり、税引後当期純利益が減少することを甘んじて受けるようになり、その結果としての手に入る配当が減らされる。先ほどの黄枠の例でいうと、税引後当期純利益が70億円になり、1だけ持っている10000人いるから1につき配当70万円を渡すことになる。は配当の減少を受け入れ、の取り分は10万円減ることになる。
 

株主至上主義(株主資本主義)の風潮が強くてインフレの場合、消費者が増税分を負担する

世の中には至上義(資本主義という考えがある。企業に利益をもたらすためだけに存在しているという考え方である。

この潮が強い場合、法人税が増税されたときに「への配当が減ることや税引後当期純利益が減るのは絶対に許さない」という態度になり、が増税分を負担することを拒否するようになる。

税引後当期純利益を維持するには、売上高を理矢理に上げるか、費用を理矢理に減らすか、のどちらかしかない。そしてインフレの世の中だと需要に対して供給が少ないので値上げしやすいから、「値上げして売上高を増やし、消費者に法人税増税分を転してしまおう」ということになる。

先ほどの黄枠の例でいうと、税引後当期純利益80億円を維持するには、税引前当期純利益を(80÷0.7と計算して)114億円に増やさねばならない。そのためには売上高を1014億円に増やさねばならない。それを実現するため値上げする。
 

株主至上主義(株主資本主義)の風潮が強くてデフレの場合、従業員や協力企業が増税分を負担する

至上義(資本主義潮が強い場合、法人税が増税されたときに「への配当が減ることや税引後当期純利益が減るのは絶対に許さない」という態度になる。

税引後当期純利益を維持するには、売上高を理矢理に上げるか、費用を理矢理に減らすか、のどちらかしかない。そしてデフレの世の中だと需要に対して供給が多いので値上げしにくいから、「原材料費や人件費を減らして費用を減らし、従業員や協企業法人税増税分を転してしまおう」ということになる。

先ほどの黄枠の例でいうと、税引後当期純利益80億円を維持するには、税引前当期純利益を(80÷0.7と計算して)114億円に増やさねばならない。そのためには費用を886億円に減らさねばならない。それを実現するため従業員の給料を下げたり、原材料提供する協企業に対して値下げを要したりする。
  

関連項目

脚注

  1. *事業税は一部で外形標準に課税していて、資本課税の一面がある
  2. *本来ならクラブからもらった年棒から経費を引き、さらに各種の所得控除を引き、そうして得られた課税所額に税率を掛けて税額を算出する。この例え話では話を簡単にするため「経費は一切認めず、所得控除も一切なし」ということにする。
  3. *このことは『わが国税制の現状と課題-21世紀に向けた国民の参加と選択- 税制調査会2000年答申exit』の法人課税の章で書かれている。以下、長いが引用する。

    法人税に関する古典的な議論によれば、法人税は、短期的に見ると、消費者や労働者よりも、として企業とそのに帰着するものとされ、また、法人税は、利潤に対する課税であり、企業の利潤極大化行動を前提にすると、短期的には、企業の生産量には影を与えないものとされていました。

    しかし、現実市場企業行動を踏まえると、法人税の「負担」は、企業の価格設定や賃・利潤の分配、さらには生産活動にも影を与えていると考えられます。法人税の転の度合いは、その企業が生産する財・サービス市場の競争状態や需給関係、価格弾性がどのようになっているか、企業が資本や労働などの生産要素の組合せをいかにく変更することができるか、資本や労働の移動可性があるか、といった点に左右されます。近年の経済動向を踏まえれば、経済自由化・際化を通じて企業の価格支配が一般に弱まっていることから、消費者に対する短期的な転の可性は以前より低下しているという見方があります。その一方、生産要素の間では、資本市場の拡大や際的な流動性の高まりの中で、相対的に移動が困難な労働の対価である賃への転が容易になっているとの見方もあります。

    法人税の「負担」は、このように、法人(あるいはその)のみならず労働者や消費者などにも帰着しているものと考えられます。 法人税の「負担」をがどの程度負うのかについては、一義的に想定することはできませんが、一般に、中長期的には、法人(あるいはその)のみが「負担」すると考えるのは適当ではありません。

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