相棒(あいぼう)とは、マジック:ザ・ギャザリング(以下、MTG)の能力である。初出は2020年発売の『イコリア:巨獣の棲処』。
概要
相棒は、ゲームの外部で機能するキーワード能力である。「相棒―[条件]/Companion - [条件]」という形式で書かれる。ゲームを開始する前に、ゲームの外部から自分が所有していて自分の初期デッキが条件を満たしている相棒能力を持つカード1枚を公開してもよい。そうしたなら、そのゲームの間1回、あなたはそのカードをゲームの外部からプレイできる。
伝説のクリーチャーを1体、文字通り“相棒”にできるキーワード能力。例として《夢の巣のルールス》というカードを挙げる。
Lurrus of the Dream-Den / 夢の巣のルールス (1)(白/黒)(白/黒)
伝説のクリーチャー — 猫(Cat) ナイトメア(Nightmare)
相棒 ― あなたの開始時のデッキに入っている各パーマネント・カードが、それぞれ点数で見たマナ・コストが2以下であること。(このカードがあなたの選んだ相棒であるなら、あなたは1回のみゲームの外部からこれを唱えてもよい。)
あなたの各ターンの間、あなたはあなたの墓地から点数で見たマナ・コストが2以下のパーマネント呪文を1つ唱えてもよい。
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相棒カードを使うためには、まずデッキが条件を満たしていなければならない。上の例の《夢の巣のルールス》なら、デッキに入っているパーマネント・カードのマナ・コストを2マナ以下で揃えなければならない。
条件を満たせば、相棒に指定したカードをゲームの間に1回、ゲームの外部から唱えることができる。公式戦においては、ゲームの外部とはサイドボードのことなので、相棒を使うと実質的なサイドボードが1枚減ることになる。
スタンダードで使えるエキスパンションでの再録可能性を表す「ストーム値」は、10段階中の「9」となっており、「10にすべきかもしれない」とまで言われている。マーク・ローズウォーター曰く、「相棒は、我々が評価を初めて以来最低評価のメカニズムの1つである。その理由には、我々がバランス調整を間違い、ほとんどあらゆる構築フォーマットに渡る問題を引き起こしたことが含まれる」[1]。
なんかヤバそうだぞ……
以上を読んで「なんかヤバそうだぞ……」と思った人は正解である。相棒の中には条件が緩いものも多く、なおかつ強力な能力を持っていたため、環境の解析が進むと様々なデッキが考案されるようになった。
- デッキの土地以外のカードのマナ・コストを偶数のみにしなければならない《深海の破滅、ジャイルーダ》
- 逆に奇数のみにしなければならない《獲物貫き、オボシュ》
- デッキを80枚以上にしなければならない《空を放浪するもの、ヨーリオン》
- デッキの土地以外のカードのマナ・コストをすべて3マナ以上にしなければならない《巨智、ケルーガ》
- デッキのカード全てが起動型能力を持っていなければならない《黎明起こし、ザーダ》
など、一見条件は厳しそうだがリターンも大きい相棒が一挙に登場したため、カードプールが広がる下の環境に行くほど、「相棒を使わないと損」状態になり、ありとあらゆるデッキが相棒を使うようになってしまった。
特に、《Black Lotus》を始めとする軽いパーマネントだらけのヴィンテージでは、《夢の巣のルールス》の条件があってないようなものなので、ありとあらゆるデッキで《夢の巣のルールス》が使われるようになってしまった。
その結果……
2020年5月18日 禁止制限改定
レガシーで《黎明起こし、ザーダ》と《夢の巣のルールス》が、ヴィンテージで《夢の巣のルールス》が禁止カードに指定された。
レガシーにおいては、最速禁止記録である(0日禁止の《精神の願望》を除けば)《記憶の壺》の45日を上回る32日での禁止となった。
また、ヴィンテージでの禁止カード指定は異例中の異例である。サイドボードに1枚入れるという相棒カードの性質上、もとから制限カードとして設定されているようなものだからである。
ちなみに、過去のヴィンテージにおける銀枠や策略以外の禁止カードを挙げると、
- 日本の法律では賭博罪に問われる恐れがある【アンティ】に関わるカード
- 『1フィート高い場所からカードをはじく』という、お前は何を言っているんだと言いたくなる《Chaos Orb》、《Falling Star》
- ゲーム中に、残ったライブラリでサブゲームを行う《Shahrazad》
おわかりいただけただろうか。どいつもこいつもMTGをMTGとしてプレイできなくなるようなものばかりである。そんなやつらと同じ釜の飯を食うことになったルールスは誇っていいのかもしれない。プレイデザインチームは社長室に行ってこい。
2020年6月1日 禁止制限改定
2週間後の6月1日に禁止制限告知が発表され、相棒に関する新しいルールが発表された。
相棒は、ゲームの外部で機能するキーワード能力である。「相棒―[条件]/Companion - [条件]」という形式で書かれる。ゲームを開始する前に、ゲームの外部から自分が所有していて自分の初期デッキが条件を満たしている相棒 能力を持つカード1枚を公開してもよい(rule 103.2b 参照)。ゲームの間に1回、優先権を持っていてスタックが空で自分のターンのメイン・フェイズの間に、「{3}を支払い、そのカードを自分の手札に加える。」を選んでもよい。これはスタックを用いない特別な処理(rule 116.2g 参照)である。これは過去のルールからの変更である。
相棒を使うために追加で3マナを支払って手札に加えなければならなくなった。このルールにより、各相棒はかなりの弱体化を余儀なくされた。
関連動画
関連項目
脚注
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