矢倉(やぐら)とは
- 将棋の戦法。「将棋の純文学」と呼ばれる。本稿で扱う。
- 町名。静岡県静岡市清水区矢倉町、岐阜県岐阜市矢倉町、鹿児島県薩摩川内市矢倉町。
- 大字名。滋賀県草津市矢倉、徳島県鳴門市大津町矢倉。
- 日本の苗字。読みは「やぐら」「やくら」「やのくら」。世帯数は1,200程度。
概要
矢倉とは、将棋の戦法及び囲いの名称の一つで、相居飛車の戦型によく見られる。
矢倉戦はその歴史の長さや格調の高さから、
と言われる。この言葉は故米長邦雄永世棋聖が残した言葉で、矢倉について扱った本においては必ず引用されるほど有名な言葉である。記者からいちゃもん付けられたみたいだけど、もう既成事実。
棒銀戦法とセットで将棋を覚えたての初心者によく教えられる戦法・囲いであり、基本中の基本といえる。ニコニコ動画的に言えばレッツゴー!陰陽師のような存在といったところか。
一方で、プロでの実践例も非常に多く、今もなお新たな発見がされている奥の深い戦法でもある。
矢倉囲いは上からの攻めに対して強く、横からの攻めにはそこそこ対応こそできるもののあまり堅固ではない。そのため、対振り飛車戦では矢倉よりも居飛車穴熊や左美濃が選択されることが多い。
振り飛車の囲いと違って角をうまく移動させる必要があり、玉が囲いに入るタイミングも重要になってくる。そのタイミングを誤った瞬間こそが矢倉の最大の弱点とも言える。
矢倉囲いの種類
矢倉囲いにはいくつかの種類があり、状況や個人の好みで使い分けられている。下に比較的有名なものを挙げていく。
金矢倉
一般的な矢倉囲い。単に矢倉と呼んだ場合はこれを指し、むしろ金矢倉と呼ばれることのほうが少ない。
銀矢倉
6七の金を銀にした形。腰掛け銀を引いてできることが多い。持久戦に多くみられる囲い。
総矢倉
5七に銀を加えた形。金銀4枚による鉄壁の防御を誇る囲いだが、攻め銀を守りに使用している関係上攻めあぐねることが多く、両者ともに総矢倉に囲った場合は飛車がうろつくだけの千日手になりやすい。
片矢倉
8八の玉が7八へ、7八の金が6八へと1個右にずれた形。天野宗歩が愛用したため「天野矢倉」とも呼ばれる。わずかに早く囲うことができ、角の打ち込みに強い。金の利きが無くなった8筋が弱点。
右矢倉
相振り飛車戦でよく見られる形。振り飛車のスタンダードナンバーである「美濃囲い」は横からの攻めに強く、寄せ合いで競り勝つのに適しているが、上部に対しては弱い。そこで上部から攻められる相振り飛車戦では矢倉がよく用いられる。
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関連項目
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